2013年12月25日発売
大学に進学した小暮井ユキが出会ったのは、「ラバーグラス」という演劇サークル所属の大野さんと、シーンごとにバラバラとなった脚本にとり憑いているという幽霊の噂。「その事件、解決しちゃいませんか?」ユキは、サクッと持ちかけるが、駆り出されるのは、もちろんあの2人の“探偵さん”で…。“小説家”と“編集者”のコンビが、幽霊にまつわる謎を、物語を創るように議論しながら解き明かす、異人館の街をやさしく彩る探偵物語。
女であることを隠し、伊勢崎町の『松波屋』で船頭を務める弥生。この船宿には裏稼業があった。何かから逃げだいと望む者を、金子と引き換えに綺麗に逃がす、「とんずら屋」。宿に長逗留する丈之進は、こちらもわけあって呉服問屋の跡継ぎを装っているが、国許からの「仇討の助太刀をせよ」との要請に、頭を悩ませていた。そんな船宿に、お鈴という新顔の女中が。どこか武家の匂いが漂うお鈴、それぞれの事情が交錯してー。シリーズ第2弾!
丹沢山中で相見えた大鳳と久鬼。大鳳の眼の前で、久鬼は己のキマイラを制御してみせる。共に闘おうと差し伸べた手を拒絶された久鬼は、ある企みを持ち、織部深雪のもとへ。一方、龍王院弘を退け、己の殻を破った九十九。誘惑され脇田涼子を抱くが、深雪への思いは募る。そして行き場を失った大鳳は渋谷の街を彷徨うー。龍王院対ボック、久鬼対菊地、久鬼対九十九。闘いは加速し、物語は大きくうねる。怒涛のシリーズ第4弾!
イラクで戦うアメリカ人傭兵と、日本で薬学を専攻する大学院生。まったく無関係だった二人の運命が交錯する時、全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは何か。そして合衆国大統領が発動させた機密作戦の行方はー人類の未来を賭けた戦いを、緻密なリアリティと圧倒的なスケールで描き切り、その衝撃的なストーリーで出版界を震撼させた超弩級エンタテインメント、堂々の文庫化!
研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。一方、戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けていたのは、人間という生き物が作り出した、この世の地獄だった。人類の命運を賭けた二人の戦いは、度重なる絶対絶命の危機を乗り越えて、いよいよクライマックスへー日本推理作家協会賞、山田風太郎賞、そして各種ランキングの首位に輝いた、現代エンタテインメント小説の最高峰。
関東の覇者・北条氏康の七男に生まれ、幼少期を箱根権現で過ごした三郎は、越相同盟の証として上杉謙信の養子となる。謙信から初名「景虎」を受け継ぎ、越後、相模・甲州の平和という理想を抱くが、覇権を争う三国間での同盟関係がめまぐるしく変転するにつれ、上杉景勝との家督相続争いにも巻き込まれてゆく。悪と欲に満ちた世に義の旗を立てるべく、己の理想を貫き、乱世を駆け抜けた若き武将の生涯を描く、本格歴史小説!
元八丁堀同心の川路波之進は、品川宿の外れで妹の志乃と串の見世を開いている。浜の無事を守る救け組の面々や臨時廻りの跡部、油問屋の隠居ら常連に支えられ、見世は連日大繁盛だ。ある日波之進は救け組の元太と、身投げした娘を助ける。聞くと、兄が黒夜叉という悪党の仲間になってしまったという。どうも黒夜叉は、波之進が同心を辞めるきっかけとなった敵の手下らしく…。四季の料理と心に沁みる人情話で贈る時代長編。書き下ろし新シリーズ!
密告により、火付盗賊改方の待ち伏せを食らい壊滅した「夜隠れ党」。頭目の娘おせんは父の仇を討つため、裏切り者源三郎の命を狙う。一方、江戸では夜隠れ党と似た手口を使い、はるかに手荒な仕事をする賊が現れた。与力の雲井竜之介は、その頭として源三郎を追うが、手練2人の挟み撃ちに遭ってしまう。竜之介の「雲竜」は必殺の剣「鍔打ちの太刀」を破ることができるのか?大人気書き下ろし時代小説シリーズ第6弾!
おたみが切り盛りする髪結床の猫字屋は今日も大賑わい。近所の住人たちがそぞろ集まり、おしゃべりや噂話に花を咲かせる。そんな折、居職の箸師・得次郎が刺されたという。なぜか自身番には届け出ないでほしいと懇願する得次郎が今わの際につぶやいた「忘れ扇」とは一体何なのか?姿を消した女房のお阿木、遺された3人の子供…一筋縄ではいかない男女の情や、血は繋がらなくとも通いあう親子の情。涙をしぼる人情時代小説シリーズ、スタート!
平凡な日常をそれなりにこなす印刷会社のサラリーマン・石井は、人身事故を起こし、パニックで逃げてしまう。伝説のギタリストでありながら、今はホームレスの辰吾、メジャーを夢見るバンドマン・小嶋を巻き込んで辿り着いた先は、寺の土蔵。そこは引きこもりの高校生・聖矢の住処だった。年齢も人生もバラバラ、けれど唯一の「共通点」を持つ彼らが出会ったとき、起こった「キセキ」とはー!?小路幸也が描く大人の青春小説!!
居酒屋の2階で女を人質にたてこもる事件が起きた。同心・新之助は、犯人への説得を試みるが、男は聞く耳を持たない。その時、近くを通りかかった浪人・藤次を見つけた新之助は、彼に協力を仰ぐ。犯人を捕まえた礼をと思い長屋を訪れると、藤次に「あの男、牢に入ることが目的だったのではないか」と言われる。念のため、調査を開始したものの、不審な点は見つからない。藤次の杞憂か…と思っていた矢先、牢内で病死体が発見される。
平凡な25歳のサラリーマン、大森連はツーリングに出かけた先で道に迷い、滝の裏に落ちてしまう。目覚めると、そこはなんと天明6年の武蔵国中郡青畑村ー!?時次郎とさな兄妹の許に身を寄せ、川の氾濫や重い年貢が招く貧困等、江戸の過酷な現実を目の当りにしていく連。天明の大飢饉のさなか、村の庄屋が殺害される事件が起こり、連は思い悩みながらも自らの運命を切り拓いてゆくー。感動の長編時代小説!
筌堂塔太郎は長崎奉行の松平甚三郎から切支丹の疑いをかけられる。来航した阿蘭陀船に乗っていたミランダという女が「服部半蔵に会いたい」と懇願しているらしい。塔太郎こそが5代目服部半蔵なのだ。疑惑を晴らすべく塔太郎が船に忍び込むと、そこにいたのは生気を失った金髪の美女だった…(「服部家秘録 阿蘭陀くノ一渡海」)。美しくも儚き忍びの女と、それに翻弄される男たちを描いた、色欲あふれる4つの歴史伝奇小説!
ちょいとドジを踏んでしまった“鼠小僧”こと次郎吉。忍び込んだ大名屋敷で、狙った大金はなく、いつもならそこで諦めるところ、ちょいと好奇心が頭をもたげた。開いている土蔵の扉に近づいた途端、侍と鉢合わせてしまったのだ。たちまち捕手が集まってきて、細い路地へ追い詰められる。一軒の長屋へ身を隠そうと戸を開けると、そこには血に染って死んでいる母と娘の姿がー。痛快エンタテインメント時代小説、第6弾!
本所の蕎麦屋に正月四日、毎年のように来る客。彼の腕にはある彫ものがー。(池波正太郎「正月四日の客」)新川の酒問屋で神棚から出火。火元の注連縄にはこよりに包んだ髪が隠されていた。そこに秘められた母子の悲しい思い出とはー。(宮部みゆき「鬼子母火」)他、松本清張「甲府在番」、南原幹雄「留場の五郎次」、宇江佐真理「出奔」、山本一力「永代橋帰帆」と人気作家がそろい踏み!冬を舞台にした、時代小説アンソロジー。
仙堂、間山たちの調査が功を奏し、ようやく霧の正体が明らかになりはじめる。なんと長年東京を覆い続けるこの霧は、ある目的のための準備段階に過ぎなかったのだ!計画の中心人物であるゼロは、最終段階へ向けて都内地下に隠された巨大兵器を動かそうとしていた。そしてそれは、4年前の大惨事を再現することだったのだー仙堂と切り札であるミアは未来への道を拓けるのか!?話題騒然のオーディオシマネ小説化、完結!
料理人で殺し屋の佐和は、幼いころから“もう一人の自分”であるバイロケーションと和解していた。だがある日、完全に情報共有していたはずのバイロケーションが、勝手に暗殺の依頼を受け、何も言わずに姿を消した。ターゲットは一体誰なのか?なぜ姿を消したのか?怒りを覚えた佐和は、自らの追跡を始める。それが、新たな恐怖を生み出すとも知らずにー。二重存在“バイロケーション”をめぐる、新感覚ホラーミステリ!
小学生の夏子はある日「六〇六号室まで届けてください。お礼します。魔女」と書かれたへんてこなステッキを拾う。半信半疑で友達5人と部屋を訪ねるが、調子外れな魔女の暴走と勘違いで、あっさり2人が銃殺&毒殺されてしまい、夏子達はパニック状態に。反省したらしい魔女は、お詫びに「魔法で生き返してあげる」と提案するがー。日常が歪み、世界が反転する。夏子と魔女が繰り広げる、吐くほどキュートな暗黒系童話。
庭に咲く艶々とした椿の花とは対照に、暗い座敷に座る小山内君は痩せ細り、土気色の顔をしている。僕は小山内君に頼まれて留守居をすることになった。襖を隔てた隣室に横たわっている、妹の佐弥子さんの死体とともに。しかしいま、僕の目の前に立つ佐弥子さんは、儚いほどに白く、昔と同じ声で語りかけてくる。彼女は本当に死んでいるのだろうか。「庭のある家」をはじめ、計8篇を収録。生と死のあわいをゆく、ほの瞑い旅路。