2016年1月5日発売
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第8回配本、第14巻『格闘者の血』は、格闘小説の名作3本の長編を軸に、強さを目指し闘った古今東西の男たちを描いた傑作全11編! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 男の子は強くなりたかった。チャンピォン・ベルトか金色のメダルか黒帯か。ともかく強い自分を夢見ていた。 しかし、成長とは、自分の可能性が、実はただの不可能であったことを確かめる長い旅路だったのかもしれない。 ベルトやメダルがどんどん遠くなり、かつて強くなりたいと願っていたことを、時々、思い出すだけになっていくかもしれない。 これは、そういうかつての「男の子」すべてに捧げる巻である。 【長編】 夢枕獏「餓狼伝I」 今野敏「惣角流浪」 中島らも「超老伝 カポエラをする人」 【短編】 新宮正春「少林寺殺法」 北方謙三「殺さない程度」 椎名誠「生還」 船戸与一「からっ風の街」 【掌編】 大坪砂男「憎まれ者」 夢枕獏「どもごっつぁんどぇす」 原田宗典「レフェリーの勝利」 景山民夫「元禄異種格闘技戦」
青年剣士・沖田総司の数奇な一生を描く 不運な出会いを持たねばならなかった武家の娘・千鶴。その形見の懐中鏡に、新選組副長助勤・沖田総司はつぶやく。 「また、ひとり斬った」、命令のまま人を斬る! 組織に属し、その命に服しながら……。 だが、人斬りの空しさ、新選組への絶望、局長・近藤勇への不信、そして労咳に冒された肉体。幕末の青春とは、そして死とは? 筆者の美意識が投影された終章。多くの作品のテーマとなっている新選組を、沖田総司の視点から、組織に属しながらも“一匹狼”として厭世的な目で見つめた青年剣士の数奇な一生を描く異色の時代小説。