2016年10月11日発売
異界の地平に七人の勇士が見た“暗黒都市”。魔都・破里の中枢、魔界王宮は次元回廊への扉だった。加賀四郎ら七人の勇士たちは、クトゥルー次元に幽閉された北斗多一郎と美少女セイヤを救出すべく、ダークテリトリーの異空を飛び続ける。そこに広がるのは延々と果てることのないゼリーの海、虚無の時空間ー。そして、彼らが異界の地平に目撃したのは、“暗黒都市”という名のカオスそのものだった。大河小説の第16弾。第二部「地球聖戦編」の第5作目。
若き仏教僧の懊悩を描いた筆者の自伝的巨編。恥ずかしがりのくせに強がりな十九歳の仏教僧・柳。大東亜戦争へと向かう昭和10年頃の騒然とした時代を背景に、性と政治と宗教という相容れないテーマに心と身体を悩ます若き仏教僧の悲喜こもごもを描いた長編小説の上巻。寺の子として生まれ育った武田泰淳の自伝的な大作であり、筆者の病気により未完にも拘わらず第5回日本文学大賞を受賞した“第一次戦後派作家の巨人”の代表作の一つでもある。
厳しい戒律の中でさまざまな煩悩に身を焦がす仏教僧・柳。若き僧侶・柳は布団の中でひとり思う。「宝屋夫人がしまいこんでいる快楽の要素を、すべて引き出してしまわないうちは、人生の味は感得できないのでは」-と。やがて教団活動と左翼運動の境界に身をおく柳は革命団体の分裂抗争にも巻き込まれていく。模索する人間の業、そして集団悪ー。柳の精神は千々に乱れる。中央公論社で最後の武田泰淳の担当編集者であった作家・村松友視氏があとがき解説を特別寄稿。
吉行文学の真骨頂、繊細な男の心模様を描く。戦後の混沌とした時代、男は安定を求めて大会社のサラリーマンとなった。だが、人員整理でクビとなり退職金を受け取った日、ヌードモデル志望の少女と出会う。丸顔に濃い化粧、大きな頭でアンバランスな躰の彼女にやがて愛憐の情が湧きはじめるー。空虚感を纏いながらこの時代を生きていく男と雑誌編集者の友人との交流、戦禍に散った友人への回顧など、卓越した心理描写で綴られた珠玉の作。他に「水族館にて」「白い神経毬」「人形を焼く」の短編3作品を収録。
真野朱音は、勝裕と夫の連れ子・裕也との3人家族。朱音が南郷不二美を訪ねたのは、近所の公園に面した南郷宅の金網フェンスを覆ったイバラの棘で、子どもの怪我が続いたためだった。南郷は50代後半の一人暮らしで、愛犬はドーベルマン。イバラの剪定をお願いすると、けんもほろろに断られた。市役所が、公園にロープを張って注意喚起のプレートをかけてくれたが、その夜寿司屋から特上にぎり8人前が届く。翌日には、ケーブルテレビが契約の確認をしたいと訪ねてきた。どちらも身に覚えがなかった。やったのは南郷だー。同じ頃、いじめられている息子の裕也と話したところ、いじめられても平気な強い人間になる、という。朱音は、やられたらやり返せということを、身をもって裕也に教えようと決心した。
名家の娘ながら、ブタクサ姫と呼ばれ蔑まれていたシルティアーナ。暗殺事件を機に、嫌われ者だった過去の自分と決別し、魔女レジーナの弟子「ジル」として、修行とダイエットに励むことに。突然のレジーナの失踪により、姉弟子でもある女男爵クリスティの養女となったジルは、クリスティの名代として北の開拓村を訪問。そこで、妖精族プリュイと出会う。妖精族の里に向かったジルは、生母クララを知っているという美貌の里長と対面するが…!?「小説家になろう」の話題作、シリーズ書籍化第3弾!
ストームで高歌放吟、ロー勉でデカンショを学び、寮雨で男を気どる。ここには、男達の真の青春があった。戦時下、陸奥旧制弘前高校で繰り広げられる、純粋な若者達の群像を圧倒的筆力で書き下ろす著者処女小説。