2017年2月14日発売
「霧のせいだと思います」依頼人の加奈江は、美貌の人捜し屋秋せつらに告げた。恋人で、将来を嘱望される人工知能開発者の神台省吾が失踪。霧が好きだったという。妖物ら異形の溢れる“魔界都市“新宿””は今、“霧の時”を迎えていた。霧に魅せられてその奥へ消える者、帰還する人々。やがて、神台を執拗に追う“区外”の男たちを、霧の向こうに巣食うものたちが呑み込んだ!前代未聞の霧の侵略から“新宿”を救うべく、せつらはドクター・メフィストを訪ねるがー。(「霧ふかき街」より)超人気シリーズ、最新作!
“第一次世界サイバー戦争”を回避させた功労者のはずの二人ー元防衛省サイバー防衛隊の出原しのぶと元警視庁サイバー捜査員のスモモこと東條桃花は、起訴こそ免れたものの、違法性を問われ、職場を去るしかなかった。その二人が転職したのはなんとIT探偵。超一流のハッカーとの自負があったものの、持ち込まれるのは浮気調査や迷い犬捜しなど非ITのものばかり。二人の愛称から「S&S IT探偵事務所」と名付けた事務所名も“エス・アンド・シット”と呼ばれる始末。それでもコツコツ、厄介な案件と格闘するうちに、闇に葬られかけていた二十年前のある重大事件が再び動き出し…。
上さまをもっともお慕いしているのは、この光秀であるー天正十年(一五八二)六月一日。織田信長は茶会を催すため、わずか三十人の警護を伴って京の本能寺に入った。そこに集まったのは信長に恨みを持つ公家や豪商ばかり。警護の増員を求める森蘭丸の進言を、「防備は城塞のごとくで、寝所は密室。誰も入れぬ」と聞き入れない信長。一方、明智光秀は、此度の京入りは状況を過信したしくじりと憂えていた。そして、信長が誰かに殺されるのをみすみす許すくらいならばわが手で、と挙兵を決意する。だが翌日、本能寺を取り囲んだ光秀は、信長がすでに殺害されたことを知る。いったい誰が?どうやって?恋敵ではあるが、切れ者の蘭丸は何をしていた?憤怒に包まれた光秀の犯人捜しが始まった!