2017年8月8日発売
武藤類子は明峰寺学園高校の二年生。剣道部のエースにして、学園の有名人だ。自身の才覚もさることながら、彼女は天才囲碁棋士・牧場智久の恋人であり、カリスマ的な人気を誇るミュージシャン・速水果月の想い人なのだ。そんな彼女が遭遇する三つの不思議な事件を、智久が鮮やかな推理で解き明かしてゆく。ユーモアと魅力的な謎に彩られた連作本格ミステリ!
CIRO-内閣情報調査室の香月喬は、総理大臣周辺の金銭疑惑調査を命じられる。疑惑の火元はカジノ議員連盟。香月は過去にカジノ事案を担当した警視庁捜査一課の鹿取信介警部補と接触。そんななかフリーライターの死体が発見される。スクープを追っていたライターの死から浮かんできたカジノを巡る疑惑とは…。六年半ぶりとなる著者渾身のシリーズ第三弾。
テレビで人気の女性アナウンサー草刈彩香が殺害された。『羽賀組』の四代目組長ながら、警視庁捜査一課刑事の羽賀亮が捜査にあたったところ、被害者の交友関係から有力な容疑者が浮かぶ。しかし、その男にはアリバイがあり、捜査は行き詰まる。羽賀はついに容疑者の逮捕に踏み切るが、それがとんでもない事態にー。驚愕のラストが待つ大ヒットシリーズ第六弾。
消費者金融で働く新米社員・諸星雄太が延滞者を訪ねると、男は行方不明になっていた。家には男の妻と娘が残されていたが、返済は待ってほしいと言うばかりだ。取り立てに通ううち、雄太は奇妙な色気を滲ませるその人妻に搦めとられてゆく。やがて周囲の人間が、一人、また一人と変死を遂げてゆき…。衝撃の結末に凍りつく、一気読み必至の傑作ホラーサスペンス!
たかが二十万石の身代である石田三成が、なぜ西軍の大将として指揮をとったのか?西軍、東軍、どちらに道理があったのか?関ヶ原の合戦から三十年、当時を知る人々を訪ね歩く町人がいた。『関ヶ原合戦大名衆振舞ノ子細』としてまとめられた一冊から浮かび上がる歴史の真相とは!?そして、敗軍の将・三成について、町人を使って調べさせた「さるお方」の思惑は!?
「切られた縁を元に戻してほしい」-。縁切り寺の御用宿「橘屋」に駆け込んだ上総の女おふきは、そう訴えた。珍しい駆け込みに戸惑う用心棒の十四郎と主のお登勢。十四郎が、離縁した元亭主に会って話を聞いてみると、背後に上総の幕領を巡る事件の影がちらつく。上総へ渡った十四郎が掴んだ恐るべき「真実」とはー。壮大な物語を描いた著者の代表シリーズ第十六弾。
女手ひとつで釣り宿を営むおこうの前に、一人の男が現れる。若かりし頃、二人は雨宿りをした寺で、盗賊を殺め、五十両を掠めとったのだ。そして所帯を持ったが…。二度と会うとは思わなかった男との再会に動揺し、おこうは懐に包丁を忍ばせてー。第6回小説宝石新人賞受賞の表題作を含む五つの短編、それぞれの登場人物が、複雑に絡み合う時代小説連作集。
米沢町の相州長屋で、深夜に動物の死骸が置かれる嫌がらせが起きた。杢之助は、近頃様子がおかしい住人の若夫婦・重市、お恵を狙う何者かの存在を疑うが、はっきりしない。そんなとき岡っ引の捨次郎から、近隣に禁制の賭場があるらしいと聞き、探り始める杢之助。夜陰に紛れ町内に入り込む怪しい二人組を尾けといくと、向かったのは…。シリーズ、緊迫の第五弾。
「女官をひとり斬ってもらう」-将軍毒味役の矢背蔵人介は、御小姓組番頭の橘右近から裏御用を命じられる。水戸家の政を父親の陰陽師とともに壟断している奥向きの女官を調べる蔵人介の前に「天保銭」にかかわる悪事が浮かぶ。そして、現われた覆面の刺客。蔵人介はこれまでにない最大の窮地に。卯三郎の恋、矢背家の総力戦など、濃厚すぎる人気シリーズ第二十二弾。
雑誌で取り上げられた小料理屋“二ノ橋 柳亭”の場所は誰も知ることができない。なぜなら、食味評論家が書いた架空の店だからだ。ところが、「柳亭を探し当てた」という読者からの手紙が編集部に届き…。(表題作)代表作「ブラックバス」など全七篇を収録。繊細と洒脱が織りなす物語の妙に酔う、直木賞作家の粋が詰まった極上の短篇集。
カレー専門店「イカリ屋」の老創業者・篠原悟は、加盟店と一致団結してチェーンを日本一に押し上げた。だが、人口減少社会を迎えた国内だけでは成長は見込めず、アメリカに打って出ることに。それを機に、篠原は自らは経営から身を引き、海外進出と、この国の将来を見据えた経営を、コンビニやハンバーガーチェーンを立て直した実績を持つプロ経営者・相葉譲に託したが…。
あのルートを、たった一人で、しかも名もない日本人が登れるわけがないーアラスカからヒマラヤへ、数々の難壁に初登攀の足跡を残してきた新進気鋭のアルパインクライマー奈良原和志が、そんな周囲の雑音をよそに、初めて目指した8000メートル峰が世界第四位のローツェ、しかも最難関の南壁ルートだった。そこは伝説的な登山家トモ・チェセンの“疑惑の登頂”の舞台として、いまも世界の登山界で語り継がれる因縁の壁でもある。心の通い合う仲間に支えられ、いわれない妨害を受けながらも、心の師であるトモの初登頂の真実を証明すべく、和志は自らの限界を超えて世界屈指の壁に立ち向かうが…。