2018年2月15日発売
突如、世界中で株価が暴落して大不況に。食糧を巡り国内でも略奪・暴動が横行ー二〇二九年、半年後に開かれるウェブ万博「日本館」企画部に出向した別所暉は、恐るべき光景を目撃した。日本館の目玉企画として披露されるスーパーコンピュータによる未来予測が、どう転んでも「恐慌」だったのだ。何かの間違いでは?万博協会の上層部は製作サイドに苦言を呈するが…。
恋人に捨てられ、絵が描けなくなった日本画家の沢井西陽は十年前に家出同然で飛び出した故郷に戻る。かつて活気があった商店街はすっかり寂れ、光を失っていた。変わり果てた街で唯一待っていてくれたのは、飼い主はいないけれど、みんなに可愛がられている不思議な犬“ブック”だった。人々はなぜか“彼”の前だと素直になれて…。一途な犬の愛に満ちた心温まる物語。
算盤の腕を買われ神田青物市場に職を得た唐木市兵衛は、高熱の童女を助けたことから浪人親子と親しくなる。そんな折、吉野山金峯山寺から修験者が市兵衛を訪ねてきた。祖父・忠左右衛門に縁をもち、市兵衛も知らない出自を明かすという。逡巡の末、市兵衛は急遽、吉野へ。一方、江戸では一刀のもとに首を刎ねる連続強盗が発生。だが、犯行の手掛かりは掴めず…。
蕎麦を打つ手に、力が籠る。柔らかだけれど、こしのある蕎麦。その蕎麦が、大切な人たちと結びつけてくれた。しなやかだけれど、決して途切れない縁をー。そう料理に感謝する縄のれんの女将お園を、かつての店の居候里江が訪ねてきた。再会を喜び合う二人。そんな中、常連の吉之進のはとこという娘が、お園を目の敵にし始めて…。心づくしが胸を打つ絶品料理帖。
江戸の空に放たれた一本の矢。それは律儀な魚売りの命を奪った。北町奉行所同心鷲津軍兵衛は、矢の作りから、大身旗本を疑う。すると、手先の下っ引を同じ矢が襲い、軍兵衛も柳条流の遣い手の旗本家用人と対する。その折、一家皆殺しの残忍な押込み一味の潜伏が知れ…。軍兵衛は旗本を裁けるか?凶賊を捕えられるか?八丁堀同心の心意気が胸に響く捕物帖。
侍に斬り付けられた江戸近在鎌伝村の村役を救ったのは、人宿「相州屋」の寄子、羅宇屋の仁左だった。その少し前、相州屋の主忠吾郎は「狐の徘徊を赦さない」という妙な高札が鎌田村にあると聞く。やがて、村で年貢を搾り取り、逃散する村民を斬り捨てる、残虐で過酷な暴政が明らかに…。怒りを秘め忠吾郎ら“影走り”が立ち上がる。奉行が裁けぬ悪を討つ、第六弾。
「人も同じ、身分は違えども煙草の銘柄ほどのもの」煙管の吸い口を見つめ、平蔵は人の儚き生を思い、正義と悪との境を憂えていたー。京都西町奉行長谷川平蔵は、火を用いた奇っ怪な連続殺人を止めるため、最も頼りにする江戸の火消、松永源吾を京に呼ぶ。源吾は平蔵の息子・銕三郎と真相に迫るが、やがて銕三郎が暴走しー。勇壮な男たちが京の街を駆け抜ける!
竹花のパリ時代の旧友で、有名作家の国分英二郎の遺体が軽井沢の別荘で発見された。警察は自殺と決めつけ、事件とはならなかったが、竹花は現場の状況に違和感を覚えた。やはり自殺を疑う国分の娘・麗子の依頼で調査を開始した竹花だったが、事態は意外な展開に!圧巻の長編ハードボイルド!
同棲している彼女・桃里から、無差別殺傷事件を起こした犯人に似ていると言われた蒼太は、どこが似ているのか気になり、殺人犯との類似点を探っていく…。-蒼太と桃里が交互に語る二人の日常は、一見平穏。だが物語が進むにつれ、日常は不穏なものになり、蒼太の違う一面が見えてくる。果たして桃里は?巧みな心理描写に、一気読み必至の長編ミステリー。
“神様”の棲む社のあったハルばあさんの家が解体されるということで、瑛太はお秡いの手伝いをすることになった。瑛太はそこで、ハルばあさんの使い古された手帳を手に入れる。夏休み、瑛太と薫は、薫の祖母と三兄の住む九州への旅行に乗じて、神社巡りをすることに。まず向かったのが、筥崎八幡宮と太宰府天満宮。果たしてそこで謎は解決するのか…幼馴染二人と“神様”の名前探しの奇妙な旅、第二弾。
陰陽師学校を優秀な成績で卒業した新米陰陽師、大春日拓也。人々を苦しめる悪霊たちと戦うべく、花形である京都や鎌倉での仕事を希望していた彼だったが…配属先は、まさかの東京・八王子の電気店だった!しかもその店には、人間たちの暮らしにあこがれる「神様」や「あやかし」たちが次々とやってきてー。美顔器を愛用するのっぺらぼうに、スマホを契約する神様まで!?不思議な客が集う、街の小さな電気店を舞台にした笑って泣けるあやかしドラマ!!
『望んだ物が何でも手に入る』不思議な館に囚われた12人の男女に襲い来る惨劇。何者かの凶刃によって、一人、また一人と増えていく犠牲者。犯人は誰なのか。事件の真相は?“究極の飽和状態”が生み出す、惨劇と絆の物語『飽食の館』下巻。過去の館での出来事を描く『エピソード0』、犯人サイドの視点で描く短編『リバース・エッジ』も収録。超人気サスペンス・ホラーゲーム、待望の小説化。
意中の未亡人をものにすべく、箱根の別荘に招いた還暦過ぎの男が、清楚で気品溢れる彼女の意外な一面をうかがい知ることになる(「鬼縛り」)。旅館の若女将から、知り合いの娘の身に起こっているある出来事について相談を受けた官能小説家が、奇妙で淫猥な事件の真相に迫る(「月影亭擦淫事件」)など、第一線の人気作家による書き下ろし官能アンソロジー。
廻船問屋戸川屋から借金百二十七両の返済を求める書状が届いた。戸川屋のひとり娘は、元国家老園田頼母の妻女だ。頼母は正紀暗殺を企てたとして腹をつめている。復讐のにおいがするが、新江戸家老佐名木源三郎の調べでは、借金は高岡藩としてなした正式なものであるという。進退窮まった正紀は、ついに商人に屈してしまうのか!?待望のシリーズ第三弾!
百年の平和と栄華を誇る奥州平泉にとって、落ちのびてきた源義経はまるで疫病神であった。新たに覇権を握った源頼朝が、追討令が出ている義経を口実に、奥州藤原氏を潰しにかかるは必定ー。対応を巡って意見が対立する中、突如として義経は死んだ。あたかも妻子を伴っての自害に見えるが…。平泉の天才文官・清原実俊が、従者の葛丸らとともに真相解明に乗り出す。運命に翻弄される者たちの熱誠が胸を打ち、恐るべき真実が結末に待ち受ける、歴史ミステリーの傑作がここに誕生!
三好小次郎が師匠をつとめる手習い所「長楽堂」に、山伏の善海坊が二人の子どもを連れてやって来た。二人の親は結垣藩の御用商人で、江戸に来て商いをしていたが、ある日突然、両親が姿を消してしまったので、しばらく預かって欲しいという。二人の境遇に同情した小次郎は、刀林寺に住まわせることにするが、二人はお供え物を盗んだり、近所の饅頭屋から饅頭を盗むなど、悪さばかりして小次郎を困らせる。好評のシリーズ第四弾。
三島由紀夫『豊饒の海』は社会的事件ともなった一九七〇年の自衛隊での自決とともに完結した作品として大きな話題となったが全四巻の大著ということもあり充分な読み解きがなされているとは言いがたい。本書は『豊饒の海』を、作品の重要な背景でもある高度経済成長を経て、長い不況に陥り、さらには東日本大震災と原発事故を経験した二一世紀の日本を見通していた予見的な作品と考えるという一点を基調にして読み直すことを試みる。この大作で終局に示される「虚無の極北」は、現代社会すべての人々の深層に共通する感覚と言っても良いだろう。その状況を越え目の前に現前している世界とは別の「もう一つの日本」を探すための水先案内に三島文学はなるのだろうか。
ある理由から現実に落胆していた兄妹、宗也とみぐは、突如異世界に召喚される。だが、喚び出された王国は侵略を受けており、攻めてきた竜人族の大軍団が王都を包囲しているようなありさまだった。苦境にも怯まず二人は、助けを求める王女エクレアの頼みを引き受け、現代で得たミリタリー知識を駆使した秘策を仕掛けていく。まず手始めに襲い来る竜を驚きの奇策で退けてー!?滅亡寸前だった王国に、希望をもたらすのはまさかの『ミリオタ』!?兄が秘策を組み立て、妹が実弾で武力を行使する、異世界軍事ファンタジー、ついに開戦!
カレリア王国の第十五王子イェルケルは悪徳領主の罠にかかり絶体絶命の危機に陥ったが、そこに救いに入ったのは女騎士のアイリとスティナであった。異常なまでに腕の立つ彼女らと命からがら帰還したイェルケル。しかし更に反乱鎮圧の最前線に送り込まれてしまう。たった三人で、三千人との戦闘を命じられ、彼らは果敢に敵軍に斬り込んでいくー。戦い後の彼らの日常を描く書き下ろしエピソードも収録。彼らのあとに積み重なる死体は数千体!?疾風迅雷、天下無双の剣技が冴え渡る、無双アクションファンタジー!