2018年5月18日発売
入隊しろ。新選組に。俺が局長に言ってやるよ、お前は、まかない専門にしようって。元治元(一八六四)年の京の大火、「どんどん焼け」で住んでいた長屋を焼かれた菅沼鉢四郎。妻子ともはぐれ、薩摩や会津の炊き出しの世話になる日々だ。ところが、会津の炊き出しが滅法まずい。思わず「まずい」と言った相手が新選組幹部・原田左之助だったことから、運命が変転をはじめる。果たして、鉢四郎ははぐれた妻子と再会できるのかー。新選組の知られざる内証を活き活きと描く、新直木賞作家の野心作。
武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが…。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉と出会い、名をたずねられた久斎は“無暁”と名乗り、ともに江戸に向かうー波瀾万丈の人生の始まりだった。
かつての賑わいを失った温泉街。その町で育ち、地元の信用金庫に勤める勇太は、蛇神伝説をもとに新たな祭りを開催し、観光客を呼び込もうという地元活性化案を企画した。その目玉として、大蛇神輿と高校生の蕎麦打ちイベントを提案する。その頃、春海たち高校生も全国高校生蕎麦打ち選手権大会に出場するため特訓に励んでいた。そんな中、東京のメガバンクに勤める勇太の兄・勇之介が、リゾート化計画を引っ提げてやってくるが…。
百貨店でバイヤーとして働く長谷川芹は、出張に来ていた板倉充と出会った。仕事一筋の芹は11歳も下の充を恋愛相手とみなかったが、ひょんなことから急接近。ところが充の実家は京都・西陣の由緒ある織屋で、両親は二人の結婚に大反対。おまけに充には女性の影も!?芹は会社を辞め、京都へ移り住むことを決意したが、はたしてー。
30歳を前に総務課の中間管理職になった優紀。役職に不相応なことは自分が一番分かっている。それでも課内の人間関係のもつれを解そうと奔走するがー『走れ、中間管理職』。残業代も有休も貰えるものはきちんと貰い、したたかに生きていたいと考える沙也。しかしかつて厳しく指導された上司が育休から復帰し周囲は「助け合おう」という空気に満ちていてー『エールはいらない』。ほか、仕事に疲れ気味な現代人の心を癒やす全六篇を収録!
貴族の令嬢・アメリアは、自分が同じ一年を繰り返していることに気がついた。なんとか破滅の末路を防ごうとするが、どうやっても抜け出すことができない。「ならばその運命を受け入れるしかない」と決意したアメリアは、皆に嫌われ、疎まれ、追われる運命を選ぶ!