2018年5月9日発売
孤独の中で強さを渇望する芥菊千代。組から追われる身となった竹智完。美しき獣のごとき志村礼二。愚直に武道に邁進する加倉文平。優しき巨躯の室戸武志。世界を放浪する陳家太極拳の達人・羽柴彦六が五人の若者と出会った時、運命の歯車は俄かに動き出すー。血潮たぎる迫力と息をもつかせぬテンポで繰り広げられる夢枕獏のノンストップエンタテインメント!
幕閣の重鎮、御小姓組番頭の橘右近が死した。橘から「裏御用」を命じられ、数多の奸臣を成敗してきた将軍の毒味役、御膳奉行の矢背蔵人介はその死を引きずっていたが、突然、何者かから「密命」が下った。蔵人介の周囲には次々と異変が起こる。はたして密命を命じてきた人物は味方なのか、それても敵なのか。鬼役シリーズ、新たな幕開けとなる第二十四弾。
江戸奉行の手が及ばぬ関八州に逃げ込んだ悪人を追う賞金稼ぎ、追い首。旗本三男の新三郎もその一人。馴染みの大黒、利吉と共に精を出す。此度請け負ったのは牢屋敷から脱獄した男の追跡だった。手がかりを求め印旛沼に赴いた彼ら。そこで新三郎は百々木という凄腕の老浪人と思いがけず再会し…。関八州を舞台に痛快なドラマと剣戟が織りなす時代シリーズ!
日本一の本の街・神田神保町にあるベルサイユ書房。テレビで有名なイケメン写真家・ジョージ久保田のサイン会が脅迫された。彼の新作写真集の中に、脅迫犯に都合の悪い何かが写っているらしい。剣崎店長の指令で、作家志望の書店員・研介らは写真の謎を追うことに。卑劣な脅迫犯を捕まえ、写真集を刊行中止から救えるか?タダモノじゃない七尾ワールドが大展開!
三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで青いスーツケースに一目惚れし、憧れのNYへの一人旅を決意する。出発直前、ある記憶が蘇り不安に襲われるが、鞄のポケットから見つけた一片のメッセージが背中を押してくれた。やがてその鞄は友人たちに手渡され、世界中を巡るうちに“幸運のスーツケース”と呼ばれるようになり…。人生の新たな一歩にエールを贈る小説集。
「白い雪に、真っ赤な血…」それは何かの警告か?新婚の三田村刑事夫妻は、冬の北海道を満喫するつもりだった。だが、宿泊先の札幌やトマムのホテルに不吉なメッセージが届く。知らせを聞いた十津川警部には心当たりがあった。十津川が夫婦で行く予定の旅だったのだ。過去の事件の復讐なのか…(「石勝高原の愛と殺意」より)。旅情あふれる北海道ミステリー作品集。
“猫の世話をするだけの簡単なお仕事”こんな求人募集を見つけて僕は一軒の古ぼけた喫茶店を訪ねた。『喫茶 虹猫』で待っていたのは、“猫バカ”で引きこもりの女主人と里親募集中の迷い猫たち。僕に任された仕事は認知症のお婆さんが棲む猫屋敷の掃除だったのに、いつのまにかワケあり客が持ち込む、“猫問題”に翻弄されていき…。寂しがり屋な人間と猫の不器用な愛の物語。
医療機器メーカー勤務の水崎は、新婚だが妻との関係に悩んでいた。同僚で素人童貞の八木を誘い、ナンパスポットと名高い銀座・コドリー街へ。そこでふたりは運命の出会いを果たす。OLの梨奈と詩織だった。水崎は誰もいない夜の小学校の校庭で、淫らに濡れる梨奈と情交し、八木はドMの詩織に触発され、SMプレイに興じることに。トレンディで情欲そそる東京恋物語。第1回「裏」八重洲本大賞受賞。
深川下屋敷に「預」の身となり、再起をはかる元若様須崎槇之補。狩人の魂と恃む気砲が壊れ、よからぬことが起こらねばよいが…と顔を曇らせた矢先、次々と難題が降りかかる。屋敷を見張る怪しげな目。義母加代の醜聞。人目を忍んで月に一度の外出をすれば、通りすがりの武士といざこざに。世が世なら大名だったのに、なんたる不運。いかに切り抜けるか槇之補!
番付のためかー。火消番付への関心は高く、お家の評判にも繋がる。その噂が人々の口に上りだす頃、ぼろ鳶組松永源吾は、無謀にも他の火消から手柄を奪おうと闘う仁正寺藩火消柊与市の姿を目にする。そんな折、火消による付け火を疑う読売書きが姿を消し…。真相を追う源吾らの前に現れたのは、火難の遺児を救い育て、「菩薩」と崇められる定火消進藤内記だった。