2019年3月13日発売
岡山に生まれ早稲田大学へと進学した北野譲治は、契約社員として損保会社に就職した。明るい性格で仕事熱心な譲治は、歩合制のこの仕事で優秀な成績を収める。独立した譲治に、「イーパーセル」という電子宅配便を扱う会社の社長から、ぜひ働いてほしいとの依頼が来た。新しいことに挑戦したい譲治は、この依頼を引き受けるが、会社の経営は困難を極めていてー。Googleに勝利し世界に名を馳せたイーパーセル株式会社。熱血社長・北野譲治の驚くべき手腕とは?著者初のITベンチャー小説。
都内でIT関係者を狙った連続毒殺事件が発生。警視庁捜査一課殺人班・入間祐希は新興IT企業のCEO佐伯亨に目をつける。佐伯を尾行中、中国黒社会の殺し屋に襲撃され、激しいカーチェイスの末、イルマは重傷を負う。入院中のイルマに「蜘蛛」を名乗る正体不明の男が命を狙って接近し…。獣のような鋭い嗅覚と追跡力で女刑事が疾走するバトルヒロイン警察小説!四ヶ月連続刊行第一弾!
侍火消にして府下十傑に数えられる鳥越新之助。新庄の麒麟児と謳われた“ぼろ鳶組”頭取並は、闇に堕ちたのか?豪商一家惨殺及び火付けの下手人として手配された新之助は、一家の娘を人質に逃走を続け、火盗改、江戸の全火消の包囲を次々と打ち破っていく。一方、幕府の命で動きを封じられたぼろ鳶組頭取松永源吾は、仲間のため、己のため、決意を胸に立ち上がる。書下ろし長編時代小説。
大名旗本から切腹の介錯を請け負って糊口を凌ぐ居合道場の道場主狩谷桑兵衛は、介錯した若党の仲間が再び商家に押し入って盗みと殺しを働いた件で、御目付筋より探索を依頼される。凄惨な殺しの跡で目にしたのは、一瞬で喉を掻き斬られた傷口だった。桑兵衛は、いずれ秘剣・鬼哭の剣を継ぐ嫡男の唐十郎とともに、物悲しい笛の音が鳴るという剣の遣い手を追う。野晒唐十郎の若き日と生前の父の指南を描く、新シリーズ!書下ろし長編時代小説。
十三歳になった吉法師は元服した。師沢彦宗恩は長寿で天下を手にするという意味を込め、織田三郎信長と名付ける。さらに、美濃の蝮斎藤利政の娘帰蝶を信長の正室に迎え、着々と尾張統一の足場を固めていく。一方、信長は初めて手にした鉄砲に夢中になり、一万人を擁する鉄砲隊設立の準備を極秘裡に始める。そんな中、今川義元の軍師、太原崇孚雪斎死去の噂が…。驚愕の歴史大河第二弾。
松坂に雌伏し、憎しみの刃を研ぎ澄ます廣澤和之進。その切っ先が狙う宿敵ー江戸の浮世絵師宗次に否応なく政争の渦が襲い掛かる。謎の刺客は、母と敬する長屋の住人チヨの娘吾子をも脅かした。さらに四代様(家綱)容態急変の報に接し登城すると、思いもよらぬ事態に発展、さしもの宗次も慄然とする。最愛の女美雪、そして己を慕う「妹」のため、宗次は迎撃の剣を握る!長編時代小説。
友人と旅行代理店を経営している四十二歳の鞠子は、十一歳も年下の男と付き合っているが結婚する気はない。そんな鞠子が、亡くなった父から相続することになった元遍路宿の古民家を訪れ、その家で古い遍路日記を見つける。四国遍路で果てる覚悟の女遍路が戦前に書いたと思われる旅の記録。彼女はなぜ絶望し、自分を痛めつけるような遍路旅を続けたのか。女の生と性に揺れる鞠子はこの遍路日記にのめり込んでいくー。
本や人との「縁」で紡がれた不思議な古書店『止まり木』。この店で働く名取司は、自分の小説を出版するため、懸命に執筆を続けていた。そのひたむきな姿に触発され、古書店の店主であり、魔神の亜門は本の出版というものに興味を抱き、ある場所へと向かったー。(「第一話亜門、初めての同人誌即売会」より)。人気キャラクターが織りなす、笑えて、心がほっこり温まる五つのストーリー。幻想古書店シリーズ、ファン待望の番外編、はじまり、はじまり〜!!
公儀武芸修練所の師範を請われるまでになった剣客・峡竜蔵。引き受けるかどうか悩みながら過ごしていたある日、路地で揉めごとに遭遇し、渦中の人が竹馬の友・助七だと気づいて声をかけた。助七の娘が行方知れずで、不安からむきになり、若い連中に絡んでしまったという。道場の師範として立派に暮らす幼馴染みの助けを遠慮する助七だったが、正義漢の血が騒いだ竜蔵は居ても立ってもいられず…。亡き父の放浪癖と暴れ者気質を持ち合わせた竜蔵が、真の剣客として求める生きざまとはー。大人気シリーズ、爽快に完結!(特別対談収録)
人生の塩辛いところばかり舐めようとして生きるため「ソルティ」と呼ばれている若月真一郎。数年ぶりに大雪が降った日、若い男女を見かけ、ソルティは何気なく声を掛けた。この二人が新たな抗争の火種になることも知らずにー。一方、ひとりの男がこの街に降り立つ。男の名は川中良一。N市で「ブラディ・ドール」という酒場を経営しているという。ソルティが見かけた女と、川中が探している女が同一人物と判明したが、その女は殺し屋に狙われていたー。シリーズ第十六弾!!
甲賀の忍びあがりの土豪、滝川久助は、男の陰謀で父を失い、兄を殺め出奔。久助は名を一益と改め、諸国を放浪中に織田信長と運命的な出会いをする。一益は、射撃や忍びの腕だけでなく、武将としても力をつけ、信長の寵臣として存在を大きくしていく。天下への道を着々と進んでいく信長だったが、天正十年(一五八二)、家臣・明智光秀の突然の謀反によって斃れてしまうー。一益を頼みとする若き前田慶次郎、伝説の忍者・飛び加藤といった魅力的な脇役も登場。謎多き武将、滝川一益の波乱に満ちた生涯を描く。選考委員が大絶賛した、第九回角川春樹小説賞受賞作。待望の文庫化!!
蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなるー。「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、碧は見知らぬ女の人から小さな蜂蜜の瓶をもらった。それから十六年、三十歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに。頼りない恋人の安西、養蜂家の黒江とその娘の朝花、スナックのママをしているあざみさん…さまざまな人と出会う、かけがえのない日々。心ふるえる長篇小説。
江戸の真ん中、日本橋伊勢町の小間物商「丸藤」は、紅やおしろい、櫛やかんざしなど、きらびやかな品揃えが自慢の大店だ。その「丸藤」の娘ふたりのうち、幼いころから病弱で品川で暮らしていた姉の里久が、年頃を迎え、家族のもとに戻ってきた。ところがその里久、漁師町の暮らしにすっかり染まり、まっすぐな物言いと大店の娘らしからぬ立ち居振る舞いで、実の母も妹・桃も戸惑うばかり。だが、里久の底抜けの前向きさが、閑古鳥が鳴き始めていた店を少しずつ変えていってー。おてんばな姉と小町娘の妹、看板姉妹の物語。
間抜けた馬面の同心・布引左内は、容貌に似た仕事っぷりで、世間では『昼行燈』で通る四十男だ。美人で気が強い妻の田鶴に頭が上がらず、長男の坊太郎と慎ましい生活を送っている。だがそれは仮の姿。彼には中西派一刀流皆伝の腕で、法で裁けぬ悪人を斬る影の本性があった。ある時、左内たちに御金蔵破りをした「大鴉の弥蔵」の探索が命じられる。昼行燈ぶりから同僚より蔑まれながら、左内は下っ引きの娘で知恵者のお雀らの協力により、かつて弥蔵の女で、現在は坊太郎の通う寺子屋の師匠をしている浜路にたどり着く…。傑作捕物帖の開幕!