2020年3月28日発売
明治41(1908)年、15歳で東京の回米問屋へ奉公に出た山崎種二はやがて金融街・兜町を代表するまでになる証券会社を設立し、「売りの山種」として経済界にその名を轟かせる存在になる。しかし、二・二六事件を皮切りに、経済統制は苛烈を極めー。『日本国債』『天佑なり』を著した経済小説の第一人者が、国民生活に最悪の負担を強いた、戦後財政の真実を描く。天性の相場観と経験を頼りに、日本の経済復興に尽くした男の人生の物語。作家生活25周年記念作品。
ある秘密を抱え、家族と離れて暮らす高校1年生・鏡花は、特待生に選ばれるために入った風紀委員会で、眉目秀麗にして校内一の優等生・深見に衝撃を受ける。なぜなら、鏡花の秘密とは「他人の心の声が聞こえること」。そして深見の心の中では、初対面のはずの鏡花への、異常な愛の叫びが渦巻いていたのだ。全力で接触を回避し続けようとする鏡花と、冷静沈着を装いながら、内心でとんでもない妄想を繰り広げる深見。2人のすれ違いの行方は…。「小説家になろう」発異能ラブコメ×青春小説!
56歳の大原夢路は将来が絶賛不安な元・校正者、両親介護のために仕事をやめ、その上認知症の義父母のケアも…仲良しの旦那はいるけれど、そりゃもうストレスは満載。おかげで最近妙な夢をみる。地震で止まった地下鉄の中に閉じ込められ続けるのだ。友達の冬美と、袖振り合った見知らぬひと達と、そしてもうひとり、人類を捕食するいきもの「三春ちゃん」と!!…それぞれに問題を抱えた大人たちが、自分達の生存と、たまたま居合わせてしまった子供達の未来を守るために戦いを始める。憧れるのは猫のごとき平和な日常、いつか手にしたら、絶対そこから動いてなんかやるものか。でも、それまではー。
こうして僕こと二宮は、主人公にとって唯一人の“理解者”になるのだったーってそうはさせるか!同じクラスの神宮寺は、何かの主人公らしい。授業中に突然「なっ!?このエネルギーは…!?」と叫んで教室を飛び出し、次の日は包帯ぐるぐる巻き。しかもその翌日には大怪我がすっかり完治するときた。たぶん世界の平和か何かを守ってるんだろうけど、モブの僕には知ったこっちゃない。触らぬ主人公に祟りなしーのはずが、「なぁ二宮、ちょっといいか?」アイツと“友達”になった途端、非日常が僕の平凡な毎日を容赦なく侵食してきて!?
敵地にある墨俣の築城に成功し、織田信長の美濃攻略に大きく貢献した木下藤吉郎。だが彼の心は、晴れやかなものではなかった。信長の妹・於市が、浅井長政に嫁ぐことになり、想いを寄せていたことを妻の於禰に知られてしまったのだ。夫婦仲は険悪になり、藤吉郎は本来の明るさを失っていく。そんななか、越前の朝倉討伐に出ていた信長に於市からの驚くべき報せが届けられる。長政が信長を裏切り、朝倉義景側についたというのだ。藤吉郎は、信長から於市のいる浅井攻めを命じられるがー。狂おしいまでに想いを寄せる女のいる城を、藤吉郎は攻めることができるのか。
嘉永六年五月。圧政を強いる盛岡藩に抗して民百姓が立ち上がった。彼らを導いた首謀者の一人、三浦命助は、一揆に初めて参加したにもかかわらず数々の策を練って武士を翻弄。藩政への怒り、騒ぎに乗じた憂さ晴らし、取るものもとりあえずー膨れ上がる群衆をも巧みにまとめあげた。時を同じくして浦賀に異国船が渡来する。そのことが交渉の行方にも影響して…。果たして、一揆衆の要求は通るのか?時代の流れに翻弄される百姓たちのドラマを描く、熱き歴史長編!
2019年夏に放送された『胡蝶綺ー若き信長ー』のスピンオフ小説!儚き蝶が語る、若き信長の素顔とは?戦国の世を駆け抜けた、織田信長。池田恒興、帰蝶、織田信勝を中心に、幼き日の信長と彼らが紡ぎ出す新たな戦国絵巻!
唐沢龍二は、恋人の吉村久美子に誘われて大学の奇妙な会に入る。会の名は「グループ・アノニマス」。一見映画論を語っているようでいて、唐沢の理系の知識を利用して爆弾テロを目論む活動組織のようだった。怪しげなアノニマスから距離を取る唐沢はやがて久美子と破局し疎遠となる。1年後の1998年。東京都西神田のビルで自爆テロが発生した。死亡者でもある実行犯は久美子だという。アノニマスのリーダー・ハンクスこそが真の実行犯で、久美子は利用されただけだと唐沢は気付くが、いち大学生に地下に潜ったハンクスを捕まえることは容易ではなかった。やがて、警視庁公安部の捜査官から唐沢に声がかかる。地下に潜った組織壊滅のための切り札として、公安捜査官にならないかというのだ。公安捜査官となった唐沢だったが、アノニマスのスパイという風評や、危うい捜査はいくつもの敵をつくってしまい…。警察小説の旗手が放つ公安物語!