2020年5月7日発売
運送会社の事務として働くママは、同僚の池ちゃんと帰りにおでん屋へ寄るのが最近の楽しみ。そこで出会った佐々木君と仲良くなり、「さくら」と「もも」が産まれる。しかし、ある事情で夫婦生活はあっけなく破綻し、離婚。子どもたちは順調に育っていく一方で、手取り十数万円の給料は変わらず、家賃、保育料、そして借金の返済をすると、手元に現金は残らない。様々な事情を抱えながらも笑いの絶えない同僚たちやタフな娘たちの明るさに救われてはいるのだが、ママは誰にも「助けて」とは言えず…。ギリギリの日々を全力で生きる、すべての「ママ」におくる物語。
横溝正史がもっとも多くの作品を残した捕物帳「人形佐七」シリーズ。 残されたすべての作品180篇を収めた決定版全集!! 江戸を舞台に、人形のような色男である佐七が繰り広げる推理劇。 戦前~戦後に書き継がれた妖艶・怪奇・戦慄の作の全貌を知らしめる! 好評シリーズの第三巻! ■編集委員 浜田知明 本多正一 山口直孝 ■校訂・解題 浜田知明 ■解説 末國善己 ■装幀 クラフト・エヴィング商会 全巻に横溝正史次女・野本瑠美氏のエッセイを連載 日華事変(日中戦争のこと)が泥沼の様相を呈してきた昭和13、4年頃から、探偵小説は不健全で好ましからぬ読物として、軍や情報局から圧殺されてしまったが、捕物帳のほうはふしぎにお目こぼしにあずかった。しかし、それも長くはつづかず昭和17年頃、その人形佐七にも弾圧が下った。雑誌連載まかりならぬということになったのである。そのときの身を切るようなつらさを、私はいまでも思い出すことが出来る。(略)長く書き続けてきたお粂、佐七のご両人、辰や豆六との訣別がつらかったのである。長く書きつづけているうちに、いつか自然と情が移っていて、最後の一編を書くときには、断腸の思いであったといってもいい過ぎではないであろう。 (横溝正史「人形佐七捕物帳1」/『真説 金田一耕助』より) ■収録崎品一覧 「血屋敷」 「敵討走馬燈」 「捕物三つ巴」 「いろは巷談」 「清姫の帯」 「鳥追人形」 「まぼろし小町」 「身代り千之丞」 「出世競べ三人旅」 「怪談閨の鴛鴦」 「人面瘡若衆」 「蝙蝠屋敷」 「笛を吹く浪人」 「狼侍」 「日蝕御殿」 「雪達磨の怪」 「坊主斬り貞宗」