2021年3月11日発売
大正時代の北海道を舞台に、貧しい家庭に育った“私”が、少年から青年になるまでの紆余曲折を描いた自伝的小説。幼いころからひそかに恋心を抱いていた「姉や」のシモがなぜか家を出ていき、やがて父の子を出産する。ショックでしばらく疎遠になっていたが、やはり気持ちが抑えられずに会いに行くと、シモは“私”を心身ともに受け入れてくれるー。“私”と家族の性生活や厳しい暮らしを、赤裸々に、かつ独特の歯切れのいい筆致で綴る傑作長編。第9回日本文学大賞受賞作。
川端康成文学賞受賞作を含む秀逸な短編7編。「もう来たらあかんよ。ほんまに来イへんな」昭和11年、大阪の置屋で出会った若い娼婦は、男が深みにはまってしまいかねない魔性を秘めており、実際に6人の男が破滅に追いやられていた。“私”ももうしばらく一緒にいたいと願うがー。和歌山、大阪をめぐる旅に出た男が40年前の一夜の記憶を辿っていく「なぎの葉考」のほか、70代の老夫婦が重い病気を抱えながら命を長らえていることにささやかな幸福を感じる「しあわせ」、“私”と確執のある父とその2番目の妻、子が入水自殺してしまう「耳のなかの風の声」など全7篇を収録した名作短編集。
真っ白なのに汚れている、かわいそうなうさぎ。ぼくになついたかわいいその子を、ぼくは一人で飼うことにした。「かわいそうなうさぎ」武田綾乃。京都市内にある、静かで素敵な喫茶店で、大好きな彼が私に切りたしたのはー。「フレンチプレスといくつかの嘘」岡崎琢磨。人間国宝の陶芸家が焼死体で発見され、妻が自分の犯行だと自供した。寺の和尚が解き明かす、事件の意外な真相とは?「盆帰り」中山七里。3分であっと驚く珠玉のどんでん返し、16作品を収録!
最初で最後の大全集。全180篇を初めて完全集成。『完本 人形佐七捕物帳』全10巻、ついに登場!江戸を舞台に、人形のような色男である佐七が繰り広げる推理劇。
四年前、殺人罪に問われた女性の無罪判決を勝ち取り、脚光を浴びた弁護士の大石。医療過誤の裁判で、彼は依頼人である原告・長瀬の尋問に向け、準備を整えていた。しかし当日、時間になっても長瀬が法廷に現れず、大石は裁判官や相手の弁護士に頭を下げる破目に。大石が原告の自宅を訪ねると、そこにいた「長瀬」は、昨日まで打ち合せをしていた原告とは似ても似つかぬ、全くの別人だった。弁護士生命さえ危うい事態に、真相究明に乗り出した大石だったが…。
発行部数700万部、日本で一番売れたとされる小説を、気鋭のBL漫画家が描いた美しいイラストとともに読める。 この作品では、エゴイズムと心の機微、罪への葛藤などが描かれ、高校の教科書にも掲載。 読み仮名が多く、用語解説もあり、中学生も大人も読める