2024年10月30日発売
新しく、鮮明に浮かび上がる〈読み〉 何度も教科書に掲載され、映画化も繰り返されてきた川端康成の「伊豆の踊子」。日本人にとってもっとも馴染みある文学作品のひとつであるが、その成立過程などはいまだ未知の領域を残す──。 本書では、小説「伊豆の踊子」を形成する要素を複合的に検討し、新たな「伊豆の踊子」論を浮かび上がらせる。 はじめに 第一章 「伊豆の踊子」の事実と虚構 一 「伊豆の踊子」執筆とその周辺 二 「伊豆の踊子」成立史考 三 「伊豆の踊子」発表時期への疑問──偶然か必然か 四 被恩恵者根性──精神面と物的面 五 孤児が抱く家族への憧憬 六 川端康成、清野少年、そして大本教 七 川端、踊子、清野少年、初代〈ハツヨ〉──慰安と苦悩 八 「伊豆の踊子」の新たなモデル問題 第二章 「伊豆の踊子」の豊かな、そして確かな〈読み〉をめざして 九 「空想」の解釈に関する見解 十 「私」の金銭感覚の疲弊 十一 四十女の生き方、近代的思考の「私」 十二 湯ヶ野の夜──感覚の麻痺と「私」の混迷 十三 「三」踊子の「真裸」の解釈と踊子・薫の二面性 十四 「物乞ひ旅芸人村に入るべからず」と感情のもつれ 十五 「流行性感冒」の効果 十六 自然描写省筆に関する川端発言 十七 現実的世界と虚構世界との境界領域 十八 テクスト分析による読みの展開 十九 「私」によって語られる〈一人称小説〉 第三章 「伊豆の踊子」研究の展開 二十 「伊豆の踊子」が名作になった理由 二十一 アダプテーションとしての映画「伊豆の踊子」 第四章 川端康成と「地方」──「伊豆の踊子」「牧歌」「雪国」の場合 二十二 「牧歌」「雪国」の場合 二十三 「伊豆の踊子」の場合──旅の目的と、なぜ「伊豆」なのか あとがき
従属国の証として大帝国の皇太子アランのもとへ嫁ぐことになったマリエットとアニエス。虐待を受けながらも心優しい王女に育ったマリエットは側妃として、一方、創生主の神子と崇められて育った気位の高いアニエスは皇太子妃として。しばらくは白い結婚という形だが、美しい心を持つマリエットにアランは引かれ愛し合うようになる。しかしアニエスは彼女が稀有な魔力を持ち秘密にしていることを知り、自分の力だと偽り利用しようと企んで!?
偉大なる聖王国の第二王女であるにもかかわらず魔力を持たないために、王家の恥さらしと虐められてきたリーナ。戦争終結の証として厄介払い同然に元敵国のヴァリオ王太子のもとへ嫁ぐことに。しかし、冷たいと思っていたヴァリオは、実はリーナが以前新年祭を一人ぼっちで過ごしていたときに出会い、淡い思いを抱いた青年だった! 技術大国の王太子妃として、また両国の友好のために尽くそうとするが、リーナを羨む聖王家が陰謀を企て始め!?