2024年2月8日発売
中高年が主人公のショートストーリー集。-私の見てきた商売の裏側を、洗い浚い書いちゃおうと思うの。…今お偉いさんになっている連中が、実名で、ばんばん出てくるのよ。みんな、青くなるな、きっと…-夜の店のママが、客の行状を洗いざらいぶちまける回顧録を書いていると聞いて、やましいところのある元常連たちが“対策協議会”を開く「近火御見舞」をはじめ、妻の浮気が原因で別れたのに、浮気相手に捨てられると元夫に秋波を送る女性に振り回される「あとの祭」、社員からも恐れられ、“財界の狼”と異名をとる男が、ひょんなことから海辺の町の女性と出会い、心癒される「狼男」など、中高年男性を主人公にした17のショートストーリー。P+D BOOKS『曲り角』に続く、味わい深い短篇集。
東京で学生をしていた仲代庫男は空襲で焼け出され、列車で佐世保の実家へ向かう途上、同年輩の芹沢治子と出会う。長崎の浦上に住むという治子と庫男は文通を始めるが、“新型爆弾”により治子の消息は不明にー。一瞬にして未来を断たれた原爆被害者、日本人であることを強いながら差別される朝鮮人炭鉱労働者、敗戦前から英語の辞書を買い漁っていた抜け目ない同級生…戦争によって生まれたさまざまな矛盾や理不尽を、富国強兵の象徴であった旧佐世保海軍工廠250トン起重機(クレーン)になぞらえてあぶり出した名作。
末期がんで余命3カ月と宣告された女性が、最先端科学の技術によって人間の平均寿命をはるかに超えて生きる力を身に付けた“超長寿者”に会いに、アメリカ、香港、ドバイへ!カリフォルニアで132歳だという“超長寿者”のマイケルに会った知世。半信半疑の彼女に、マイケルは驚愕の事実を明かす。「あんたの目がエックス線だったら度肝を抜かれただろうよ」。意味がわからず、「どうして?」と尋ねる知世に、マイケルは「わしの身体が半分ロボットだからだよ」と言い、左胸を拳で叩いた。