著者 : 実川朋子
21世紀で最初のkissをしよう21世紀で最初のkissをしよう
1995年最後の夜。そびえたつ、街の摩天楼の谷間で。「…21世紀の年明けは。もう一度ここで、キスしようよ」望がわたしの目を見つめて言った。わたしも望を見つめてる。5年たったら。同じ場所、同じ時刻に。…キスをしよう。それは、20世紀で最後の。21世紀で最初の。-永い永いキスを。
卒業までの1000時間卒業までの1000時間
「卒業まであと1000時間、藤崎なんか、それっきりになっちゃうぜ」だから告白すればって、北原クンは、あっさり言ってくれたけど。わかっては、いるんだよ。千堂クンと話すことができるのも、同じ学校にいるうちで。高校はべつだから、街で会っても気づいてもらえないかもしれない…。でも、もし告白して断られたら。あたし、どうすればいいの。
いつか、夢の中でいつか、夢の中で
「あの奥の窓で出会うと、そのふたりは必ず恋人同士になるのよ」クスッと笑ってそう言った、司書の千葉さん。あたしは思わず手を止めて顔を上げた。それ、違うよ。ウソだよ。だって、桜が満開のあの日、あたしが窓のところで出会ったのは-羽鳥センパイ。あたしが、ぜったいに好きになるはずがない人だもの。あたしの、かけがえのない親友の“彼”なんだから…。
マ-マレ-ドの夏マ-マレ-ドの夏
「おはよう。カズ兄、次」玄関を飛び出したあたしを迎えてくれるのは、次の不機嫌そうな声と-カズ兄の笑顔。じつはあたし、この柔らかい笑顔のひとに、ずっと恋してる。もちろん、伝える勇気はまだないけど。だから、こんな朝がいつまでも続けばいい、ううん、続くんだと信じてた。でも、あたしたちは、子供のままではいられないってことに、気づいてしまったの…。第1回ティーンズハート大賞《佳作》受賞。
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