制作・出演 : オリヴィエ・メシアン
20世紀を代表する作曲家、オリヴィエ・メシアンが亡くなって16年あまり。これほど大規模な作品集がリリースされるという事実。独自の音楽語法を発展させる一方で、鳥の声の研究でも知られるような音色への関心と図抜けた表現力、宗教心をベースにした深い思想性が、彼を偉大な作曲家へと成長させた原動力だった……と、あらためてアルバムを聴き通して感じる。90年代に録音された音源が中心だが、なかでもチョン・ミュンフンが指揮した「トゥランガリーラ交響曲」がすばらしい。彼は「世の終わりのための四重奏曲」ではピアノを弾く。そのほか、メシアンのスペシャリストでもあるブーレーズの指揮や、錚々たるソリストたちが参加しており、メシアン作品の規範とも言える内容になっている。
どの作品でも、明晰なタッチとこの作曲家特有のエーテル的な響の味わいを両立させているのはさすが。「鳥のカタログ」では多彩な音色で鳥の歌声を弾き分けているし、「火の鳥2」も切れ味鮮やか(特にラスト)で、メシアン作品との相性のよさを実感させる。★
伝統を誇るレーベルが擁する歴史的名演から最新の話題盤まで、名曲名演を厳選した“RCAレッド・シール★ザ・ベスト”の1枚。ライヴ的臨場感の録音で、完成度の高い小澤征爾の表現が際立っている。
ベロフは、第1回メシアン・コンクールの優勝者(当時17歳)で、メシアンは得意な作曲家のひとり。当時のフランス音楽界の名手らとともに作り上げた、代表的録音のひとつ。カップリングの「黒つぐみ」も名演。
メシアン最後の大作。音楽的に目新しい要素は見当たらないが、築き上げてきた独自の語法が多彩にちりばめられていてさながらエッセンス集の趣。濃密な情をさらりと聴かせるラトルの耳、超高域でゆっくりと透明な官能を響かせるオケの技も相まって熟成の音だ。