制作・出演 : 林英哲
積極的に他領域と交わって和太鼓そして新たな音楽の可能性を拡げてきた林英哲。そのソロ活動25周年を記念する演奏会ライヴ。オケの響きとわたり合って、すっくとパワフルにエモーションを掻き立てるその音の快は健在。石井独自の響きのラッシュが今なお圧巻だ。
佐渡・鬼太鼓座から鼓童の立ち上げを経て、ソロ活動25周年を迎えての記念アルバム。ステレオからあふれんばかりの音楽を想像していたら、彼の歌がちりばめられた哲学的でさえある不思議な世界。記念演奏会のアンコールがそうだったが、新たな世界を開拓したようだ。
佐渡・鬼太鼓座出身のパーカッショニスト、林英哲が87年に行なったソロ・コンサートを収録したアルバムが初CD化された。太鼓、鳴り物類だけの、林氏ひとりによる演奏なのだが、時にはシンセサイザーを使っているかのような響きもある。
和太鼓奏者の林英哲が韓国のカヤグム奏者の池成子、中国の二胡奏者の姜建華、日本の津軽三味線の木下伸市ら伝統音楽の演奏者と競演している。アジアを強く意識した作品で、沖縄民謡「塩道長浜節」を林英哲、姜建華、木下伸市らと演奏・展開していくさまは美しい。
横笛の藤舎名生と和太鼓の林英哲が、上空より撮影された九州の山々(噴火口)を見ながら、即興で演奏しあったという。お互いの魂の音がぶつかりあった、荒々しくも逞しいセッション作。雅楽同士のぶつかりあいが、こんなにも高い緊張感を生み出すとは……。
和太鼓の林が佐藤や坂田といったジャズ・ミュージシャンを含む素晴らしいメンバーと吹き込んだ意欲作。和太鼓特有の体の底から響き渡るようなビートが、日本的でありながらどこか日本的でないー形にとらわれない不思議なムードを織りなしていく。
このところズッと、フュージョン領域での欠かせぬ脇役として、謂わば他流試合にその活動の場を置いてきた感のある林英哲が、久々に自らの名を冠したアルバムで「和太鼓」の領域に還ってきた。異種混交の楽しみは薄れたが、林流新邦楽、真のファンに迫る。