著者 : カロル・バック
リリーは、児童劇団の資金調達係。助成金を受けるため、白雪姫の扮装でチェイス財団を訪ねる。応対に出た男の貴族を思わせる魅力的な顔立ちに惹きつけられてリリーは熱心に話をした。その時、ドアの向こうから別の男が現れた。リリーは相手を間違えていたことに気付いた…。
深夜、部屋に忍び込んでくる男の影にサラは身を硬くした。ここはニューヨーク-。どんなことが起こってもおかしくない街。でも、引っ越し早々に、いったい何者が?しかし、じっとしているわけにはいかない。サラはテニスラケットを手にすると侵入者に向かって思い切り振り下ろした。
ジョージア州アトランタ。1年前に夫をなくしたジェニーヴァは、刺繍を教えたりしながら幼い娘とともに静かに暮らしている。こうして穏やかな日々を送れるのも、亡夫の弟ローディの存在があればこそ。彼は、ジェニーヴァのことをなにくれとなく気にかけてくれるのだ。しかし、ローディの瞳に燃える炎をみとめるたびにジェニーヴァの心はかき乱されるのだった。
コネチカットの田舎町ファーミントン。ロックンローラーのマロリーは、皆の期待するセクシーシンボルの役に嫌気がさし、静養のため、この町に引きこもったのだった。ある日、スーパーで買い物をしているとき、ふとしたことから、医者デビッドと知り合いになった。そして、彼に、自分のいる世界にはない誠実さを感じ、マロリーは、強くひかれていった。しかし、デビッドが知っているのは素顔のマロリー。マロリーは、彼に真実を打ち明けることができなかった。ところが、デビッドは、レコード屋で、マロリーのレコードを見かけてしまった。マロリーの正体を知り、デビッドは…。
カウボーイブーツを響かせ、マローンがやってきた。ジェーシーはマローンと組んで昼の連続ドラマのシナリオを書いている。今のところ、番組は高視聴率をあげている。ところが、彼は、いつになくうかない顔をしている。きいてみれば、プロデューサーの意向で昔ジェーシーの恋人だった俳優デレクがもう一度ドラマに戻ってくるという。私を裏切った男、あのデレクが帰ってくる!ジェーシーは動揺のあまり彼女を見つめるマローンの複雑なまなざしにも気づかなかった。
ブルックは、研究機関WIWEの研究員。海外出張中の研究員、ミードの家の2階に住んでいる。ある夜、階下から響く奇妙な音楽で目をさました。家主のミードが、出張から戻ったようだ。ミードは民俗学の研究者で、世界各地をまわっていて、ブルックは、まだ会ったことがない。意を決してミードの部屋へ赴いたブルック。目の前に、現れたのは、ギリシャ神のようにたくましい体に、褐色の肌の魅力的な男だった。
新聞に載っている写真に、ジャズは驚いた。イーサン・ワイルディング。ボストンの名門出身の銀行家。私を泥棒とまちがえた男-。非行少年カウンセラーをしているジャズは、腹を立てていた。まったく言いがかりもはなはだしい。車のホイールキャップを盗んだ少年をさとし、それを元の場所に戻してあげただけ。それなのに、車の持ち主に泥棒と思われてしまうなんて。後日、こんな相手に再び会うことになるとは夢にも思わなかった。
サンフランシスコのとある病院で、キルシーは今まさにパイを投げつけようとしていた。といっても、これは笑い療法という治療法のひとつで、コメディアンのキルシーは患者を笑わせるのが仕事なのだ。と、相棒に命中するはずのパイが、突然ドアを開けて入ってきた男の顔面に…。慌てて謝るキルシーと、クリームをぬぐう男の目が合った。天才物理学者とキュートなコメディ・ガール、2人の胸の鼓動は高鳴り出した。
ボストンの法律事務所で弁護士を目指して働くローラ。そんなローラのもとに、何と母が逮捕されたという知らせが飛び込んできた。とるものもとりあえず駆けつけてみると、もう辣腕弁護士が身受けしていったというではないか。その弁護士とは、ボストンでは知らない人はいないという存在、ケイシーだった。古きよき街並を守るために、現在D・J・K社の地域開発計画を阻止しようと戦っている彼に、ローラは正義感の強かった前夫の姿をだぶらせる。2人は互いに惹かれ合うが、そこには意外な落し穴が待ち受けていた。
「すごいわ…」アスレチックジムの受付で、パットはとまどっていた。豪華な設備…。ふだんのつつましやかな生活が嘘のようである。オロオロしているパットに、ステキな男性が近づいた。彼の名は、マイク・テイラー。その彼が実は、このジムのオーナーで、有名なオリンピックの選手だったとは…。パットの中で、ときめきの胸さわぎがはじまった。