著者 : 二宮磬
判事ジョージ・メイソンは苦悩していた。世論が厳罰を望む悪質な暴行事件には、法手続き上の穴があったのだ。第一審どおりの刑を科すべきか、あるいは出訴期限の超過を理由に被告人を放免すべきか?裁くことへの苦悩の果てに、メイソンは忘れかけていた自身の暗い記憶と直面することになる…。『無罪INNOCENT』で翻訳ミステリー大賞を受賞したリーガル・サスペンスの巨匠が、またも放った傑作。
かつて検事補殺しの裁判で無罪を勝ち取り、今や判事の座に昇りつめたラスティ・サビッチ。彼の妻バーバラが変死した、遺体の発見から通報までに空白の一日があったことに疑惑を抱いた検事局の調べで、サビッチに愛人がいたという事実が浮かび上がった。次々に状況証拠が積みあがる中、かつてサビッチの裁判で屈辱的な敗北を喫した地方検事トミー・モルトは、ついにサビッチを妻殺しで訴追することを決意した。そして因縁の法廷が幕を開ける。サビッチは妻を殺したのか、遺体発見後の空白の時間は何を意味するのか、彼は何を隠しているのか?嘘と真実と駆け引きが白熱する。そして衝撃の真実はすべてが終わったあとに明かされる。それはあまりに悲しく痛ましく、人間の愛と憎悪を描き出すー歴史的名作『推定無罪』続編の名に恥じぬ重厚なる傑作。
元MI6工作員のハーランドが乗った小型ジェット機が墜落ー彼はその事故の唯一の生存者だった。事故直後、彼はFBI及びMI6の元同僚の接触を受ける。犠牲になった彼の友人で、元CIA工作員グリズウォルドに両者は強い関心を示した。ハーランドは危険を承知で独自の捜査を開始した。そんな折り、彼はある若者から驚くべき話を聞かされる。新時代の鮮烈エスピオナージュ誕生。
グリズウォルドは、旧ユーゴスラヴィアで大物戦犯を追い詰めていたことが判明。また謎の若者トマスは、自分はハーランドの息子で、母はチェコの諜報員だと主張。さらに彼は戦犯の情報も握っていた。しかしトマスは何者かに狙撃されてしまう。ハーランドは墜落事故が自分と友人を狙った破壊工作だと確信。彼は真相究明のため、懸命に封印していた過去の記憶を必死に呼び起こすー。
ある日、連邦検事の訪問をうけた弁護士ロビー・フェヴァーは、脱税と判事への贈賄を指摘され、罪の軽減を条件に取引を持ちかけられる。家族を抱えるロビーに選択の余地はない。かくして法曹界の大規模贈収賄事件を摘発するべく、連邦検察局とFBIの囮作戦が始まった!「推定無罪」を凌ぐと絶賛されたリーガル・スリラーの傑作。
でっちあげの事件を法廷に持ち込み、贈収賄の現場を最新鋭の機器で盗聴・盗撮するという捜査が、大胆かつ用意周到に進められていく。囮となったロビー、弁護士補助職員として事務所に送り込まれたFBI女性捜査官イーヴォンの心の葛藤を描きつつ、緊迫した人間ドラマは予断を許さぬ結末へと一気に突き進む。
次期大統領を目指す上院議員が路上で射殺され、黒人医学生が容疑者として逮捕される。“ゆきずりの殺人”として処理したい検察に対し、“陰謀”のにおいを嗅ぎ取った被告側弁護人アントネッリ。事件の鍵を握る人物から予想をはるかに越える罠の存在を知らされるが…。サスペンス度満点のリーガル・ミステリ。
1950年、正月ー共産主義の脅威に怯えるLA。異常殺人を追う若き保安官補アップショー、アカ狩りで名声を狙う警部補コンシディーン、暗黒街の始末屋ミークス。策謀と欲望の迷宮で翻弄される三人の男たちは、暗い道の果てに何を見るのか?傑作「LAコンフィデンシャル」前夜を描く「暗黒のLA四部作」その二、待望の文庫化。
残虐な殺人者と共振するように事件に没入するアップショー。その粘りを買って、コンシディーンは彼をアカ狩り捜査班に加える。だがアップショーの執念の捜査が一つの事件を結ぶカギを探り当てたとき、闇にひそむ悪辣な罠が動きはじめたー「LA四部作」中、もっともヘヴィな余韻を残す現代ノワールの傑作。
サンタ・フェの中年弁護士ウィルは、辣腕ながら、自らの素行ゆえに公私共に窮地に陥っていた。パートナーからは三行半、二度目の結婚は破綻、最愛の娘は近々遠くに行ってしまう。そこへ街を震撼させた異常殺人事件の弁護の依頼。第一級謀殺容疑を受けたのは、凶悪な嫌われ者、暴走族4人組。だがウィルは無実を直感する。圧倒的な劣勢の下、自身の復活をもかけて挑むウィルに勝機はあるのか。
ウィルには十分な勝算があったのだ。検察側の重要証人は頼りなく、一方バイカー達のアリバイは完璧で、弁護チームは最強。だが結果は有罪、第一級謀殺罪で被告の死刑は確定する。失意のウィルに、さらに刑務所での暴動勃発の知らせが。リーダーはバイカー達で交渉役に彼を指名した。
19世紀末。アイルランドの貧しい農民の子に生まれたジョーゼフは大地主に家を焼かれ、土地を奪われる。復讐を決意したジョーゼフは地主の屋敷に忍びこむが、反対に囚われてしまう。処刑寸前に地主の娘シャノンに救出されたジョーゼフは、シャノンとともに2人の共通の夢のために、新天地アメリカへ向かう。だが、たがいに反発しあいながらも惹かれあう2人に苛酷な運命が待ちうける…。
ダンは霧の山道を妻とともにドライブ中、崖下に転落して瀕死の重傷を負った。無残に潰れた顔は手術でもとに戻ったが、失われた記憶は蘇らない。そして、ようやく退院したダンの前に立ちはだかる不可解な謎の数々。同乗の妻がかすり傷だけですんだのはなぜか?書斎に隠されていた妻と男の絡み合った写真は?ダンの心に恐ろしい疑念が暗雲のように拡がっていく…。