著者 : 佐藤雅美
水戸・徳川家と会津・松平家の間になにやら秘密があるらしい。桑山十兵衛にその秘密を探れとの密命が下った。旅の絵師に扮した十兵衛は会津へ潜入するのだが…。同時に進展する上総の旧家の出戻り娘・登勢と十兵衛の恋の行方は如何に?八州廻り・桑山十兵衛が関東各地を駆けめぐる人気シリーズの第四弾。
父・信秀の亡きあと、尾張の織田家を継いだ信長は、苦心の末に乱れていた尾張を統一。そして、上洛のため西上を始めた駿河の大守、今川義元を、周到に練り上げた戦略のもと、桶狭間で見事に討った。美濃を手に入れた信長は、十五代将軍足利義昭を迎え入れ、上洛を果し、いよいよ天下布武へと動きだすのだが…。
足利義昭との溝が深くなった織田信長は、越前の朝倉義景や近江の浅井長政を滅ぼし、天下人への地歩を着実に固めていく。そして、甲斐の武田、本願寺を中心とする門徒衆、越後の上杉等と血みどろの死闘を繰り広げていく。次々と難敵を倒していく信長にとり、最後の大敵である西国・毛利討伐のため、京・本能寺へと向う…。
博奕打ちの親分・仁吉が殺しの指図をした疑いで、大番屋にしょっぴかれた。ところが仁吉は強請りもたかりも一切しない気性のさっぱりした男。腑に落ちない紋蔵は、仁吉を取り調べている北町臨時廻りの弥三郎に探りをいれるが…。見当違いをやりながら、ついには真相を明らかにする“窓際同心”捕物帖第五弾。
ころは文政の初年、相馬藩の宿割役人が主に先立ち、奥州街道は大田原宿の本陣にて明日の宿泊の確認にやってきた。そこへ会津藩が格式を笠に着ての無理難題。この騒動に巻き込まれた臨時雇いの槍持ち、佐五平の運命が翻弄されていく。表題作を始め、武家社会に生きる男たちの姿を赤裸々に描く時代小説短篇集。
関東取締出役、通称八州廻りの桑山十兵衛は悪党どもを追いかける毎日だ。そんなある日、昔の大盗賊日本左衛門の二代目らしき盗賊が関東各地を荒らしまわる。十兵衛たちは必死で一味を追跡するも行方はわからず、探索で浮んできたのは、虚無僧の影、そして老中と繋がる儒者・杉崎斂堂。一連の事件の真相は。
徳川幕府の崩壊は、薩長の武力のみにあらず、もう一つの大きな要因は通貨の流出にあった。ペリーの来航以来日本は、初めて世界経済の荒波に見舞われた。幕府の経済的な無知につけ込んで、一儲けを企む米外交官ハリス、駐日英国代表オールコックたちの姿を赤裸々に描く新田次郎文学賞受賞の傑作歴史経済小説。
拝郷鏡三郎は、もと勘定方で将来を属望されていた役人だったが、いささかの仔細あって、クビとなる。“しくじり鏡三郎”と呼ばれることもあるが、今ではかつての上司の尽力のかいあって八丁堀近くの大番屋の元締として再就職を果す。仮牢兼調所でもある大番屋では、町方から武士まで、あらゆる相談事がいつも持ち込まれる。
大番屋元締の拝郷鏡三郎の許には、町方の怪事件から老中の心配事まで相談事が持ち込まれる。鮮かに解決する鏡三郎の評判はあがり、遂には将軍から、ある難問を持ち込まれたー最近、長崎での交易が不振となり、赤字が続くようになっている。どうやら、陰に薩摩藩の存在があるらしい。長崎へ向う鏡三郎を待ち受けるものは…。
肥後の大大名細川家の基礎を築き、「神道歌道の国師」とも称された幽斎。第十三代将軍義輝の異母弟として生まれ、室町幕府の名門細川家の養子となり、足利将軍家二代を支え、それでいて信長、秀吉、家康のいずれからも厚遇を受けた。戦国動乱の興亡を如何に生き抜いたのか、その出処進退の鮮やかさと諸芸に通じた文人武将の生涯。
お役目とはいえ、今日も“八州廻り”の桑山十兵衛は関八州を駆け巡る。尽きることのない悪党、難事件…。大好評第二弾は、剣豪・千葉周作が、初恋の女性が、捕り物の背後で、彼の心を掻き乱し、微妙な影を落とす。決して恰好良くはない。が、人間味溢れる男やもめのヒーロー・十兵衛の見事な手腕と侠気をお楽しみあれ。
争いは世の常、人の常。江戸の世で、その争いの相談所が恵比寿屋のような公事宿だ。ある日、若者が恵比寿屋を訪れ、兄が知らぬ男に金を返せと訴えられたと相談した。喜兵衛は怪しい臭いを感じとる。事件の真相は如何に?江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編歴史小説。第110回直木賞受賞作。
相模屋の店先で雪駄が一足盗まれた。上野山下の助五郎親分は、懸命に追い、下手人・仙八を挙げた。そこで相模屋出入りの岡っ引・半次は、穏便に赦免してもらおうと、親分に頼みこんだ。ところが、うまくいかない。単純に見えた事件は意外な展開をみせはじめ、やがて大きな謎が…。直木賞作家の傑作捕物帳。
相模屋の店先で雪駄が一足盗まれた。相模屋出入りの岡っ引・半次は、下手人・仙八を挙げた上野山下の助五郎親分に会い、引合を付けて抜いてもらおうとした。だが、単純に見えた事件は意外な展開をみせはじめ、やがて大きな謎が…。サスペンスあふれる新・捕物帳登場。
10代将軍・家治の日光東照宮参詣費用20万両を、いかに捻出するか。この難事を克服した田沼意次は、次第に逼迫する幕府財政を立て直すため、新しい“事業”に着手する。だが意次の前には、反対勢力の厚い壁が…。賄賂の卸問屋といわれた田沼意次像を打ち破り、財政再建に懸けた老中の“志”を描く経済小説。
巨額な借金と経営乗っとりの大ピンチを救った、野性あふれる参謀の戦略とは何か。その男・広瀬宰平は、住友の礎である別子銅山を守りぬくため、幕府を相手に一歩も引けをとらぬかけひきを展開する。内にむかっては膨大な金利支払いを解決するため、大胆な経営大制を敷く。危急存亡に対処した手腕を描く。
膨大な額にふくれあがった借金をすべて踏み倒す。この役目を誰にやらせるか?思案に暮れた島津重豪は、茶坊主の調所を大抜擢、駄目でもともとと大坂に派遣する。回天の事業はまさにこの時はじまったー。地位も財力もない身で瀕死の薩摩経済を再建、維新の胎動に挑戦した不屈の男の経営手腕を描く長編。
10代将軍・家治の晃東照宮参詣費用2千万両を、いかにして捻出するか-。この難しい仕事を見事やり遂げた田沼意次は、次第に逼迫する幕府財政を立て直すため、新しい“事業”に着手する。だが、意次の前には、反対勢力の厚い壁が…。賄賂の卸問屋=田沼意次像を打ち破り、熾烈な政治抗争のなかに意次の“志”を定着させた気鋭の力作長編。