著者 : 堂場瞬一
ヘルシンキ五輪(1952年)に派遣された無頼派の人気アナウンサー和田信賢は、長年の無理がたたって心身ともにボロボロの状態だった。現地から「日本」を鼓舞する中継を懸命に続けるも、次第に目も見えなくなり…。
日本新報記者・南康祐は、社内で要注意人物とみなされ、編集局から社長室へと異動。その頃、経営悪化の為、外資系企業への身売り工作が始まっていた。社長が交渉の中心になり、南も渦中に巻き込まれていく。身売りに関して社員や組合が徹底的に反発し、ライバル社への転職者も出る事態に。交渉相手は、紙メディアの存続に関わる買収条件を提示してくるが…。現代メディアのあり方を問う事件小説。
「あの事件の日」から、すべては始まったー。1974年10月14日、過激派の次代のエース・下山が突如、東京から失踪した…仲間を、家族を、そして最愛の人を残して。警察は下山を追ったが捕まえることができず、捜査は打ち切りに。そして42年の時を超え、下山は突然、東京に戻って来たーかつての仲間を助け、過去にケジメを付けるために!あの日、下山はなぜ逃げたのか?ケジメの先に彼が知った衝撃の真実とは?極上のエンターテインメント!
神奈川県警捜査一課生え抜きエリートの萩原哲郎に突然の異動命令が下された。赴任先は重大事件が希な湘南・鎌倉南署。しかも署長職。実はこの異例人事には密命があった。それは女性前任者の不審死の謎を署長として潜入捜査せよというもの。協力者もなく孤立無援の中、萩原は秘密裏に捜査を始めるが署員達の口は固く容易に進まない。そんな時、管内で殺人事件が発生。それは過去の未解決殺人事件と繋がっていた…。正義を貫くべき警察官たちが頑なに隠蔽していた真実とは一体何なのか。組織トップの孤独と葛藤、渦巻く人間模様を描く堂場瞬一警察小説の到達点。
ブラック企業として知られるハウスメーカー社長の娘が殺害された、二年前の事件。意外な犯人の自供で捜査が急展開するなか、怒りを爆発させる被害者の父・大崎と村野は再度向き合う。執拗に取材を続ける記者と部下の不審な接触。悪名高き男は守られるべきか?疑念が支援課の根幹を揺さぶる。
あるコンサルティング会社の男性社員が死体で発見された。その社では一人の女性社員が行方不明となっている。ほぼ時を同じくして同社の海外贈賄事件を内偵していた刑事が姿を消す。実は所轄署の刑事課長と同社社長とは、かつてある事件で刑事とネタ元という形の信頼関係を築いていた。しかも二人にはラグビーという固い絆もあった。しかし今、部下の失踪について調べる刑事課長は署長への道を探り、社長は本社役員の座を狙う。二人の道はどこへ向かうのか?二人にとっての正義とは?男たちそれぞれに決断の刻が迫る。
北海道大沼で雪の中から、平田の射殺体が発見された。函館中央署の保井凛は、平田に暴行されたと被害届が出ていたことを思い出す。早速、被害者の珠希を訪ねると、姿を晦ましていた。進展なく迎えた初夏、東京で女の射殺体が発見される。凛は、警視庁の神谷と捜査を進めていくが…。連続殺人の狙いは金か怨恨か?巧妙に計画された重大犯罪に熱き刑事魂の捜査チームが挑む。待望の「検証捜査」兄弟編。
法律事務所を経営する北見貴秋は、薬物依存症の入院療養から戻った日、同級生の服部奈津から、幼馴染の今川出流の死を知らされる。今川は作家としてデビューを飾り、期待されていた矢先の出来事だった。彼は本当に自殺したのか。北見は、死の真相を確かめようと行動を起こす。一方、北見の父の親友だった刑事の藤代もまた、今川の死と北見の行動に疑問を抱いていたー。衝撃の結末が最後に待ち受ける長編ミステリー。
マンハッタンで発生した立てこもり事件は人質救出で解決したかに見えた。だが上層部にその後の捜査を阻まれたNY市警のブラウンは、逆に事件を追う決意をする。一方、NYに潜伏中の探偵・濱崎は、人質が旧知のヤクザの情婦だったことから裏があると睨み…人種や立場を越えて互いの正義を信じるブラウンと濱崎ーかつて東京でタッグを組んだ水と油の名バディが復活する!相棒ハードボイルド『over the edge』続篇。
球界を代表する投手としてメジャーでも活躍した川井秀人。45歳となった今も、日本の独立リーグで現役を続けている。リーグの新構想としてハワイのチームに移籍することになった彼は、そこで娘の美利と再会する。若手選手やフロントとの軋轢の中、川井が現役にこだわる理由とはー。堂場野球小説の金字塔。
女子大生殺人事件の容疑者として逮捕されていた田岡勇太が、地裁でまさかの無罪となり、自宅に戻った。近所は不穏な空気に包まれ、田岡への嫌がらせも発生。そんな中、女子大生の恋人だった男が殺される。判決後も田岡に執拗に迫っていたため、返り討ちも疑われたが、一方で今度は田岡が襲われたー。これは復讐の連鎖なのか。
この独立は、四五〇〇年前に預言されていたことだー亡国の民・ラガーンの建国宣言は世界中を震撼させた。鷹見はラガーン過激派の襲撃をかいくぐり“バビロン文書”の解読に奔走。彼は一人の天才日本人少女のもとに辿りつく。預言の日が近づく中、鷹見の秘策が世界の運命を決する。物語は今、極限まで加速する!
定年まであと十年のベテラン刑事岩倉剛。五十歳の誕生日の目前、捜査一課より南大田署に配属となった直後に管内で独居老人が殺される。異動の先々で事件を呼ぶと言われる岩倉は、元交番勤務の後輩・伊東彩香と捜査に加わるが、さらに新聞記者の自殺が発覚。二つの出来事に関連はあるのかー。待望の新たな警察小説が誕生!
地方紙の支局長として20年ぶりに地元に戻って来た福良孝嗣は、前市長の息子が銃殺された事件を着任早々、取材することになる。一方、高校の陸上部で福良とリレーのメンバーを組んでいた県警捜査一課の芹沢拓もまた同じ事件を追っていた。記者と刑事ー交わってはならない関係となった2人。だが、事件の背後を洗ううち、2人は、もう1人の同級生の重い過去によって引き寄せられていく。青春+警察ミステリ、待望の文庫化。
現職知事の後継者が、選挙告示前に急死。後継候補を巡る争いに、突然名乗りを上げたオリンピックメダリスト、地元フィクサーや現職知事のスキャンダルを追う記者の思惑が交錯する。これまで四期連続当選してきた現職県知事・安川(76歳)は、今期限りでの引退を決める。後任については副知事の白井に任せるということで内々に話がまとまっていた。しかし、選挙告示の2ヶ月前に白井が急死し、次期知事候補は白紙に戻る。一方その頃、地元出身でオリンピックメダリストの中司涼子(42歳)が、突如知事選への出馬を表明する。公約に「冬季オリンピックの招致」を打ち上げ、一気に有力候補に躍り出る。混沌とした様相はさらに加速しー。隠された利権、過度な忖度、県民性の謎…。圧倒的な権力を持つ「地方の王様」を決める熾烈な争い。選挙小説の新機軸!
大手総合商社テイゲンに、同社と旧ソ連の不適切な関係を指摘する文書が届いた。現会長の糸山が、30年前に旧ソ連のスパイ活動を行ったというものだった。警察に届けるわけにいかないテイゲンは、秘密裏に危機管理会社「TCR」に解決を依頼。元刑事の長須恭介が真相究明に動き出す。そして犯人から現金10億円を要求する第2の脅迫状が届けられた。長須は、正義とクライアントの利益に葛藤しながら、巨大企業の“闇”に挑む。
北多摩団地交番で警察官が射殺された。被害者は益田護。支援課にも出動要請が掛かる。遺族に面会する村野だが、その息子・智樹は捜査一課の刑事だった。さらに事件に使われた拳銃が五年前の交番襲撃事件で奪われたものだと判明する。自らの手で犯人逮捕をと息巻く智樹に、村野は二人だけの秘密捜査を提案する。
亡くなった父親の遺品を整理中、作家の本谷は意外なものを発見する。1963年、日本初のメジャーリーガーが誕生する以前、マイナーリーグのサクラメント・ゴールドハンターズで野球をする若き日の父が写った一枚の写真。厳格で仕事一筋、自分と相容れなかった父の過去を知るべく、本谷はアメリカへー。