著者 : 山之口洋
2029年、科警研で情報科学を研究する逆神は、警察庁副長官の木戸から三つの異なる事件の検証を命じられる。いずれも日本海側の各県で起きた奇妙な事件だが、一見すると何の繋がりも脈絡もないものだった。逆神は自らが率いる情報科学第四研究室をあげて解明に挑むものの、それは、東アジアの安全保障をも脅かす危機の端緒にすぎなかったー。現役AI研究者にして直木賞候補の著者が活写する次世代警察小説。戦争と犯罪の境界がなくなった近未来、AI捜査を武器に、敵対国家、テロリスト、犯罪者を取り締まる「超知能警察」が誕生した!
「ガッコウがなくなるぅ!?」房総の底辺大学でおバカな青春を謳歌する学生たちに、突如襲いかかった大災難。経営が破綻し、即廃校にするという。「じゃ、俺ら卒業できないわけ?」極楽鳥研究会の面々も青ざめた。“楽に生き抜く法を追求する”サークル活動から一転、真相に迫ろうとする七人組。そして浮かび上がる理事長、官僚、暴力団までが仕組んだ大陰謀…。落ちこぼれパワー炸裂だ!
宮廷文化が華ひらく平城宮。木っ端役人の葛木連戸主は、ひょんなことから夫婦となった和気広虫とともに粛々と日々を送っていた。ところが穏やかな日常の裏では魑魅魍魎が跋扈し、権謀術数が渦巻き、戸主も知らぬ間に政治抗争に巻き込まれ…。あの世とこの世、政界も俗界も入り乱れる痛快歴史ファンタジー。
「コップ5杯のビールなら、3杯は税金だ」財務省酒税課に出向中のキャリア警官魚崎は、アルマーニを着る変わり種官僚の根津に、ある秘密パーティへ誘われた。熱気あふれる会場に集う怪しげな紳士淑女。彼らは非合法の麦酒自家醸造家たちであった。魚崎は、自らも密造に手を染めてしまう。だが、これこそ、自称特別捜査官・根津の狙いだった!アンタッチャブルな暴走官僚に翻弄される魚崎。そして、自ビール愛好家たちとの、妄想だらけの闘争!悪夢の脱税取締の行方は!?芳醇なコク、極上のキレ味!傑作エンターテインメント誕生。
ドイツの音楽大学で教鞭をとるぼくに、一枚のディスクが持ち込まれた。ブエノスアイレスで活動するというそのオルガニストの演奏は、超絶的な技巧に溢れ、天才の出現を予感させたのだが…。最上の音楽を奏でつづけるために神に叛いた青年、そして哀切な終焉。バッハのオルガン曲の旋律とともに、音楽に魅入られし者の悦びと悲しみを描出する第10回ファンタジーノベル大賞受賞作。
大泥棒にして人殺し?だのに「フランス文学史上最高の抒情詩人」と今なお讃えられる破天荒な男フランソワ・ヴィヨン。謎につつまれていたその生涯を現代に甦らせたピカレスクロマン。