著者 : 山野辺太郎
孤島の飛来人孤島の飛来人
仕事で空を飛んで、この島にやってきた「僕」に人生2度目の決行のときが近づく。無人のはずの北硫黄島に住む人々、戦争の記憶、看守と囚人、6色の風船…人はなぜ飛ぼうとするのかそして飛ぼうとしないのか。書き下ろし「孤島をめぐる本と旅」を収録。
いつか深い穴に落ちるまでいつか深い穴に落ちるまで
戦後から現在まで続く「秘密プロジェクト」があった。発案者は、運輸省の若手官僚・山本清晴。敗戦から数年たったある時、新橋の闇市でカストリを飲みながら彼は思いつく。「底のない穴を空けよう、そしてそれを国の新事業にしよう」。かくして「日本ーブラジル間・直線ルート開発計画」が「温泉を掘る」ための技術によって、始動した。その意志を引き継いだのは大手建設会社の子会社の広報係・鈴木一夫。彼は来たるべき事業公表の際のプレスリリースを記すために、この謎めいた事業の存在理由について調査を開始する。ポーランドからの諜報員、作業員としてやってくる日系移民やアジアからの技能実習生、ディズニーランドで待ち合わせた海外の要人、ブラジルの広報係・ルイーザへの想い、そしてついに穴が開通したとき、鈴木は…。第55回文藝賞受賞作。
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