著者 : 新庄耕
いじめをきっかけに不登校となっていた中学生の進。親の勧めで夏の二ヶ月を沖縄の離島で過ごすことになるが、美しい海の前に建つ家で、進は大人たちの恐ろしい素顔を目の当たりにする。命がけの脱走を図るが…。
ある事件で母と妻子を亡くした辻本拓海は、大物地面師・ハリソン山中の下で不動産詐欺を行っていた。ハリソン山中を首謀者とし、拓海を含む五人のメンバーが次に狙ったのは、市場評価額百億円という前代未聞の物件だった。一方、ハリソン山中を追う定年を間近に控えた刑事の辰は、独自の捜査を続けるうち、ハリソンが拓海の過去に深く関わっていたことを知る。一か八かの最大級の詐欺取引、難航する辰の捜査、そして、地面師の世界の深奥に足を踏み入れた拓海が知る事実とはー。
人生や社会を豊かにすると喧伝するネットワークビジネス。ある日大学時代の友人から突然かかってきた電話で勧誘されたユウキ。今、彼の勤める会社ではリストラが始まり不安な気持ちが膨らんできていた。そんな状況の中、副業のつもりで入会し、順調に会員を増やしていき、次第にそのビジネスにのめり込んでいくものの、周囲からは冷ややかな目で見られるように。そして思ってもみない落とし穴に嵌まりー。
日本人のカセは、バンコクでケチな西洋人に大麻を売って生計を立てている。恋人は浪費家のホステス。観光客を脅して小遣いをせびる強盗まがいの行為も慣れっこだ。あるとき幼馴染から、タイに来ているので会いたいと連絡が入る。“こっちでもバリバリやってるの?聞いたよ、六本木で豪遊してたって”ああ、そうさ。あそこでヘマをしなければ、おれをコケにした奴らを全員見返してやれたのにー。金もツキも度胸もない、逃げ足だけは速い究極のダメ男が、タイと日本を疾走する!
大企業の過重労働を特別捜査する東京労働局「カトク」班の城木忠司は、今日も働く人びとのために奮闘する!ブラック住宅メーカー、巨大広告代理店、IT系企業に蔓延する長時間労働やパワハラ体質。目標達成と“働き方改革”の間で翻弄されるビジネスパーソン達を前に、城木に出来ることは?時代が待望した文庫書下ろし小説。
大手総合電機メーカーの関連会社に勤務するユウキ。かねてから噂されていたリストラが実施され、将来に不安を募らせる中、救いを求めた先はネットワークビジネスの世界だった。成功と転落、失ってしまった仕事と友人…。あげく、ユウキが選び取った道とはー。
学歴も経験も関係ない。すべての評価はどれだけ家を売ったかだけ。大学を卒業して松尾が入社したのは不動産会社。そこは、きついノルマとプレッシャー、過酷な歩合給、挨拶がわりの暴力が日常の世界だった…。物件案内のアポも取れず、当然家なんかちっとも売れない。ついに上司に「辞めてしまえ」と通告される。松尾の葛藤する姿が共感を呼んだ話題の青春小説。第36回すばる文学賞受賞作。