八八艦隊物語(5)
「よし、Z旗一旒!」大和のメインマストに赤黄青黒四色のZ旗が翻った。「皇国の興廃この一戦にあり。各員、一層奮励努力せよ」を意味する、連合艦隊の勝利と栄光の象徴が掲げられるのは、この大戦で通算3度目そして史上通算4度目だ。第一艦隊を率いる近藤信竹大将は、ウィリス・リーの第一任務群と遭遇していた。正面の空には、グラマンF6Fヘルキャット約200機が双眼鏡に認められた。日本海軍誕生以来、最強の戦艦群を率いて米海軍の最新鋭戦艦と戦う一大決戦。完結篇。
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「大正6年8月28日に本艦の工事を開始して以来、今や艦隊の完成を見るに至った。ここに、本艦を『長門』と命名するものである」大正8年11月9日広島県呉軍港で“鋼鉄の浮かべる城”は誕生した。日本海海戦以来、僅か13年、国防の基本を海として強力な戦艦部隊でこれを守るという構想-戦艦8隻、巡洋艦8隻を基幹とする88艦隊計画が樹てられたのである。『長門』に続く15隻、海軍の夢は着実に実現しつつあったが…激動の世界史に抗う東洋の島国にとって、これは苛酷な試練の序曲だった。大型新人の渾身の大作。 1992/11/01 発売
巨艦の群れは、よろばうように入港して来た。3隻の空母を除き、排水量1万トン以上の艦で、無傷のものは1隻もない。爆炎になでられ艦上構造物は完膚なきまでに破壊されている。マーシャル沖海戦で壮絶な戦死を遂げたキンメルに代わって米太平洋艦隊司令長官に就任したチェスター・ニミッツは、この無惨な帰還を復仇の炎に燃える眼で眺めていた。「黄色いならず者め!」日本の勝利は条約違反して18インチ砲戦艦を投入した卑劣な行為によるものだ。太平洋に敵影なし-日本は大勝の熱狂に酔っていたが…。傑作第2弾。 1993/02/28 発売
昭和18年1月、マッカーサー元帥が率いる南西太平洋方面連合軍によってポート・モレスビーから叩き出された第35旅団は、ブナを目指して、撤退を開始した。豪州方面艦隊司令長官・南雲忠一中将から「生きて還れ!」と海中へ突き落された松尾次郎少尉もこの中にいた。オーストラリア軍の追撃と米軍の地上攻撃にさらされ、行く手には標高数千メートルのオーエンスタンレー山脈が阻んでいた。彼らの食料空輸のために零戦隊を率いた西沢広義は、敵編隊を発見し舌打ちした。「新型機か?こいつは強敵だ」-。渾身の第3弾。 1993/06/30 発売