出版社 : 作品社
明治32年に「中央新聞」に連載された『シャーロック・ホームズの冒険』全12作の翻案と、翌33年に同紙に連載された「マーチン・ヒューイット」シリーズからの5作品の翻案。日本探偵小説の黎明期に生み出された記念碑的な作品の数々を、120年以上の時を経て初単行本化!
高校を卒業して自立のときを迎えた双子の兄弟を取り巻く貧困、暴力、薬物ー。そして育ての親である祖母への愛情と両親との葛藤。全米図書賞を二度受賞しフォークナーの再来とも評される、現代アメリカ文学を牽引する書き手の鮮烈なデビュー作。
パリの街外れに生まれ、父がルーツを持つカリブ海のグアドループ島とは肌色と休暇時の記憶のみでしか接点を持たない若い女性である「姪」が、家族のルーツを求めて自身の父と父方の伯母たちに話を聞きながら一族の歴史を掘り起こし、自らの混血としてのアイデンティティを練り上げていくー。カリブ海/全=世界カルベ賞などを受賞し、各所で好評を博した著者デビュー小説。
東京・三田綱町で一大外科病院を築き上げた元海軍軍医の時田利平の一族が辿る数奇な運命を、昭和の初頭から太平洋戦争の敗戦、復興にいたるまでの時期を背景に描いた、空前の大河小説。二・二六事件に遭遇する陸軍中慰の脇敬助、利平の次女でセツルメント運動に献身する時田夏江、夏江の甥で大人たちの世界を垣間見ていく小学生の木暮悠太…。それぞれの運命が大きく変転していくー。芸術選奨文部大臣賞。
陸軍中尉はなぜ、親友の幼馴染である美しき妻・雪野を殺したのか。問わず語りに語られる、舞台女優・沢子の流転の半生と異常な愛情。大正ロマンの旗手による、謎に満ちた中編二作品。挿絵106枚収録。
昭和の心を描く感動の書き下ろし長篇小説。戦災によって語り難い悲運を甘受せねばならなかった一人の帰国留学生深山千蔵が、戦後まもなく引き始めた一台の屋台車。そしてそこから始まる一つの鎮魂の物語。-
天才と呼ばれた美術学校生と、そのモデルを務めた少女の悲恋。大正ロマンの旗手による長編小説を、表題作の連載中断期に綴った関東大震災の貴重な記録とあわせ、初単行本化。挿絵97枚収録。
東の大国・今川の脅威にさらされつつ、西の新興勢力・織田の人質となって成長した少年時代。秀吉の命によって関八州に移封されながら、関ヶ原の戦いを経て征夷大将軍の座に就いた苦労人の天下人。その生涯と権謀術数を、名手たちの作品で明らかにする。
一九六九年、秋。大学闘争が激化する中、フィギュアスケート場で出会った、四十九歳の自動車修理工・雪森厚夫と二十四歳の大学生・池端和香子。人生の大半を獄中で過ごした厚夫と心を病む和香子。いつしか惹かれ合うようになった二人は、突如新幹線爆破事件の容疑者として逮捕されるー。清冽な釧路湿原を舞台に、魂の救済と愛情の本質を根源から問う感動の恋愛長篇。大佛次郎賞受賞。
絶大な権力をもって冤罪を仕立てていく検察・警察と、厚夫と和香子の無罪を確信して二人のアリバイ証明に奔走する弁護団との熾烈な闘いがくり広げられるー。故なき罪に余儀なく問われ、互いの愛を確かめながら、時代の激流に翻弄されていく男女の孤独な魂を描く、感動の恋愛長篇。大佛次郎賞受賞。
「SWHラジオが言った、ニルヴァーナのバンドリーダー、カートなんとかの死体が発見されたって」一九九四年、ライフスタイルがデジタル化される前の最後の時代。ソ連からの独立後間もないラトヴィアで、ヘヴィメタルを聴き、アイデンティティを探し求めた少年たちの日々を描く半自伝的小説。一〇ヶ国語以上に翻訳され、ラトヴィア文学最優秀デビュー賞、ラトヴィアの文学作品で初となるEU文学賞を受賞し、舞台化・映画化されるなど刊行と同時に大きな反響を得た、著者デビュー作。
徳川三代(家康・秀忠・家光)を支え、江戸の繁栄を基礎づけた謎多き僧形の大軍師!比叡山焼き討ちから、三方ヶ原の戦い、本能寺の変、小牧長久手の戦い、関ヶ原の戦いと続く戦国乱世の只中を一〇八歳まで巧妙に生き抜き、江戸二六〇年の太平を構築した無双の傑物が辿る壮大な戦国絵巻。
田舎の古い精神科専門病院に赴任した若手精神科医の鴇枝啓祐は、同じ病院に勤務する医長の杜臣慧から「声に邪魔されて眠れない」という相談を受け、薬の処方を頼まれる。途切れることのない頭の中の雑音と、自分を呼ぶ何者かの声に悩まされる杜臣。やがて病院では、夜中になると図書室や遊歩道で独りごちる杜臣の噂が立つ…。
「不吉な予感がする。今朝こそ、自分の番だという気がする」犯した罪の重さに煩悶しながら、神への信仰へ向かう死刑囚と若き精神科医との精神の交流を描く、畢生の代表作!日本文学大賞受賞。
「さて、恵津子君、悲しいお知らせですが、いよいよお別れの時が来ました。明日がその日だと、けさ、教えられ、なにかとせわしない一日を過しました」執行の日を迎える死刑囚の内面を余すところなく描く、畢生の代表作!日本文学大賞受賞。
1930年代、ソウルの路地裏。幼いノマと、その友だちトルトリ、ヨンイ、そしてキドンイが繰り広げる日常の物語。貧しくも、元気いっぱいの子ども時代。どこか懐かしい気持ちになる、大人のための童話集。