出版社 : 幻冬舎
子どもたちだけは生き延びさせねば。昭和20年終戦前後、日本が最も悲惨な時代を生きた母と子たち。その絆や愛とたくましさが、戦前世相歌とともに蘇るー。非常時の母と子を疎開生活を通して描く戦災・終戦ドラマ。
ある雪の降る日、みちるは、偶然マリアに出会った。切れ長の茶色の瞳、筋の通った鼻、口角の上がった唇、ストレートの黒髪。マリアに亡くなった母の面影を見たみちるの目から涙があふれると、マリアは不思議そうにしながら、ハンカチを渡してくれたー。孤高のギタリスト、両親を知らず施設で育ったマリア。知れば、知るほどに惹かれていくみちるだが、手を伸ばせばいつでも触れられるほど近づいても、決して愛は手に入らない。傷を抱え、それでも潔く生きる大人達に背中を押され、この愛を貫くために、みちるは人生をかけた大きな決断をする。ジェンダーと女性の生き方の多様性を問う問題作。新人作家衝撃のデビュー。
昭和31年生まれ、大阪で苦労して育った正行は、就職後、東京に出て羽振り良く暮らしていたものの、事業に失敗し、中学生の長男の面倒をみながら主夫としてヒモのような生活を送っていた。偶然再会した古い仲間との邂逅が、過去の自分の人生と向き合い、自分を変えて生き直すきっかけをくれる。読み終わった後、多くの気づきと清々しさをくれる感動作。
インドの神梵天に背中を押され、村娘スジャータにおかゆを供され、時空を行き交うブッダ。未来から竜もやって来る、予想不可能な旅の果てにある、人生の苦を乗り越えるヒントとは。-ブッダは見た、仏教の未来図を。そこで開かれる賑やかなパーティーを!
研修期間を終え都内の大病院に就職した新米外科医・山川悠は、厳しくも充実した日々を過ごしていた。しかし、些細なミスをきっかけに好調な流れが滞りはじめていく。先輩医師や患者との関係に歪みが生じていくなか、手術が好きだという理由で志望した外科医としての在りかたに疑問を覚えた山川は…。リアルな医療現場と孤独な医師の生の葛藤を現役医師が描く、本格医療小説。
ある朝みつけた全く意味のわからない一枚のメモ。それは、私自身がすっかりその存在を忘れ去っていたインナーチャイルドからの挑戦状だったー。
ドジで臆病な一方で、高貴な血筋(?)と信じ、毅然と生きているつもりのにゃん太郎。どういう訳か、人間の言葉が理解できる摩訶不思議な猫なのです。飼い主とともに紡いだ悲喜こもごもの物語。
生徒会長に立候補し、見事に当選を果たした葵。だが、「生徒会って何する人たち?」と言われるなど周囲の風当たりは強めで、理想とは程遠かった。おまけに、一体感ゼロで訳ありなメンバーたち…。葵たちは数々のイベントを無事に乗りきることができるのか!?
大手広告代理店で働く恭平は、実家の弁当屋のピンチを知り食品製造業の世界へ。会社の将来と社員の幸せだけを考え、ひたすらに、がむしゃらに、前へ前へと走り続けた愚直な男の人生逆転物語。何歳になっても未熟者ー。子供や社員に期待するように自分自身の“成熟”に期待できないで、何の人生ぞ!
創作華道家の跡取りとして、生まれた時から将来を決められた人生。自分に流れる血を疎み、空虚な日々を送っていた朱里は、意を決して家を飛び出し、想いを寄せる「先生」を頼って食堂“もみじ”に転がり込んだ。食堂での仕事や、“卓球場”に集うわけありな仲間たちとの交流を通じて一歩ずつ自分の人生に向き合いはじめていく。しかし、そんな矢先に先生が消息を絶ってしまいー。
亡き夫に対して後悔を抱く女性と、人生の選択に迷いが生じる会社員。(『後立山連峰』)。失踪した仲間と、ともに登る仲間への、特別な思いを胸に秘める音大生。(『北アルプス表銀座』)。娘の夢を応援できない母親と、母を説得したい山岳部の女子大生。(『立山・剱岳』)。コロナ禍、三〇年ぶりの登山をかつての山仲間と報告し合う女性たち。(『武奈ヶ岳・安達太良山』)。日々の思いを噛み締めながら、一歩一歩、山を登る女たち。山頂から見える景色は、これから行くべき道を教えてくれる。
平成4年、里奈は家族から多くの祝福を受けて誕生した。厳格な父は時折家族に暴力を振るった。ある日「離婚することになったから」と告げられる。「パパにはほかに女の人がおったとよ」-。様々な出会いと別れの中で、傷つきながら、もがきながら、家族の呪縛から自立していく女性を描く。
小学生の頃からの筋金入りのクラスのサンドバッグ、ビンテージいじめられっ子だったという精児は、自分を変えるためにバイクの免許をとることを決意する。バイクに乗り始めた精児の周囲は、少しずつ変化していく。だが、事故をきっかけに学校に諸々がバレ、窮地に立たされてー。掲示板の観客を巻き込んで綴られる“新感覚青春グラフティ”。
念願の救急隊入りを果たした赤倉舞子は、数少ない女性隊員として奮闘する日々を送っていたー。119番通報アリ。傷病者を救命せよ!市民の命を守るため、24時間どこにでも駆けつける“英雄”たちの物語。救急隊員の仕事が学べる「現場解説」付き。
人はいつからでも生き直せる。引きこもりの日々から突然、たった一人の家族である母を亡くした坂本曜。社会生活に無知な彼がとったその後の行動、そして流転の日々-。人々のつながりと家族の再生を描いた連作短篇集。
俺たちは大事な約束を忘れていたよな。刑罰では拭いきれない加害者への憎しみ。二人きりの兄弟が選んだのは“仇討ち”だったー。鮮烈、圧巻、陶酔のハードボイルド。円熟の筆致で描き出す「男の美学」。表題作含む二編収録!!