出版社 : 幻冬舎
世阿弥を師と仰ぐ、若き金春大夫・氏信(のち金春禅竹)は能の奥義を極めんと苦悶の道を歩んでいた。そんな中、隆盛を誇る観世座一門に大きな問題が巻き起こる。跡を継ぐ者たちは何を思い、どう動くのかー。能の歴史的なターニングポイントを物語に昇華し、風姿花伝、六輪一露之記といった秘伝書誕生の裏側に迫る意欲作。
最大の武器は知力と色気、そして暴力!特攻隊、愚連隊、安藤組組長、映画俳優…ハジキか女を抱いて寝るような、その破天荒な生き様をモノローグで描ききる圧巻のノンフィクションノベル!
初めは夢だと思ったー男が目覚めたのは、水面にたゆたう小舟のなか。古い装束をまとった船頭と二人きりの妖しい道行き。その過程で徐々に明かされていく衝撃の事実。人生を振り返るなかで、人はなにを取り戻したいと思うのか。なにが正しかったと言えるのか。いま、ふたたびまみえる「高瀬舟」の世界。
地元で有名な悪ガキから、成績はいいがいわゆる不良少年として成長した樹は、進学校にリーゼントとボンタンをキメて入学する。曲がったことが嫌いな樹は、親友と呼べる仲間たちと破天荒でまぶしい青春時代を送った。だが、就職後、双極性障害(躁鬱病)を発症。治療のために受けた電気ショックにより大切な青春の記憶を失ってしまうー。昭和の時代、熱く、せつない、仲間たちとの絆の物語。
政治塾に足しげく通う来栖は、ある日突然、若くして命を落とした百合の家族に呼び出される。それほど親しくもない彼女が残した“手記”にはなぜか来栖への熱い想いが書かれていたー。異性として意識したことのない、それも亡くなってしまった女性から届いた熱いメッセージー。愛に翻弄される中年男の繊細で複雑な心の内を豊かな筆致で描いた私小説。
日本がドルショック、オイルショックの荒波を乗り越え、本物の経済大国への道を驀進し始めた頃。吉野洋行は20代半ばにして、テレビCMディレクターとして一本立ちした。そして、もうワンランク上の、日本のトップメジャーで勝負したいと考える。だが、そこは限られたエリートが支配する世界だった。テレビCMが世の中を大きく動かしていた時代。アイデアと度胸と空気の読めなさ(?)を武器に、果たして洋行はどこまで駆け上がることができるのかー。テレビCM界のレジェンドが、夢多き冒険の時代を描いた大河小説。いよいよ第三部へ!
雨の朝、事件は起こった。机の中にしかけられた死神のカード。犯人として浮かびあがった女子生徒の言葉に隠された大切な思い出とはー。美咲ノ杜高校に通う一年生アリ子は、親友ミュウとともに真相を求め立ち上がる。イカロスの翼に誘われ少女は「秘密」に恋をする。
「私と智哉は、あまり会話はしない。だけれど、私たちは、お互いが、お互いに対して満足していることを知っている。…お互いに、お互いがいることに安心している。」。家族の、友人の、その絆は時にもろく、たゆたい、もつれるもの。相手がいなければ、怒っても、嘆いても、叫んでも、返ってくるものはない。あなたがいるーその存在の奇跡に、あたたかな眼差しを向ける珠玉の6篇。
大阪に本社を置く準大手製薬会社・天保薬品。その堺営業所所長であり、MR(医薬情報担当者すなわち製薬会社の営業マン)である紀尾中正樹は、自社の画期的新薬「バスター5」が高脂血症の「診療ガイドライン」第一選択Aグレードに決定れるべく奔走していた。決まれば年間売上が1000億円を超えるブロックバスター(=メガヒット商品)化が確実視される。ところが、難攻不落でMR泣かせの大御所医科大学長からようやく内定を得た直後、外資のライバル社タウロス・ジャパンの鮫島淳からの苛烈な妨害工作によって、一転「バスター5」はコンプライアンス違反に問われる。窮地に追い込まれた紀尾中以下、堺営業所MRチームの反転攻勢はあるのか。ガイドラインの行方は?注目を集める製薬会社のオモテとウラ。
キレやすく自分勝手な夫。私は家政婦だと割り切って続けた義母の介護。しかし、寝室で見つけた一枚の便箋をきっかけになんとか形を保っていた夫婦の生活が崩壊していくー。このままだときっと何かしら事件が起こる。その前に…。
「私たちはカープが大好きなんです。ここで、この福山でオープン戦ではなく、選手が真剣に戦うペナントレースを応援したいのです。どうか、どうか、私たちに力を貸してください」広島県福山市を舞台に、野球とカープを愛する主人公が、地元に新しい球場建設を目指して大奮闘。地元愛、野球愛、家族愛、そしてかけがえのない仲間たちーどれが欠けても夢は実現しない。「神ってる」展開に勇気を与えられる心温まるストーリー。お父ちゃんたちの“第二の青春”を爽快に描いた群像小説。
有料老人ホームに勤務する川上雄太は小説家を夢見る27歳。入居者の絹さんこと田中絹江になぜか気に入られ事あるごとに身の上話に付き合わされていた。初めのうちはぼんやりと聞いていただけだったのだが、いつしか絹さんの明るく前向きな姿や言葉、そしてその魅力に惹きつけられ人の「幸せ」について思いを巡らせていくことにー。真に豊かな国のあり方を問う社会派小説。
その事故は“狙われた”ものだった。母として、教師として、被害者として。どんなに絶望的な事件に巻き込まれようとも、真摯に向き合い闘い続けるー。繊細な心に映るありのままの世界を深く丁寧に描いた“リアル”な私小説。
人語を話す猫、蛾に話しかける妹、殺人ウイルス、繰り返される映像規制。人間が「食文化」で分断された世界。日本は肉食主義者と菜食主義者が対立する国になっていた。惑星srijpから日本に帰国して初めて状況を知ったなおゆきは戸惑い、次第に周囲とのズレを覚え始める。そんなある日、なおゆきはふとしたきっかけで「ベジタリアンの集い」に参加することになる。享受する側と、虐げられる側。この狂騒の果てに待ち受けているものとは。
幕末にタイムスリップ!?一人の男が巻き起こす、吉原の大革命。現代ではあたりまえでも、江戸時代なら“大発明”。次々生まれる新たな品に魅了される人々。しかし、事態は思わぬ方向へと転がっていきー。ノンストップ、エンターテインメント時代小説。
原因不明の病に苦しむ真治。だが、病室から見えるオオイヌノフグリの花に“幸福の種”が隠されていたー。表題作ほか、四季の移ろいや自然の美しさを豊かな筆致で表現しながら日々の大切さを描いた13の短編童話集。