出版社 : 幻冬舎
泣きまねしたり、悲しむふりをしたり…わたしがいじめを受け入れるのには理由がある。ブス・デブ・チビの頭文字をとって、あだ名は「ブデチ」。どんないじめにも屈せず、ただ者ではない雰囲気を漂わせる少女の胸には、ある使命があった。
広島県内の高校に勤める青山は、受け持つクラスの問題児・三原に手を焼いていた。1年経ち、野球部の顧問となったことで彼の抱える過去を知り、ピッチャーとしての才能を開花させていく姿を見るうちに、甲子園出場を強く願うようになる。そして三年生の夏、甲子園大会の予選が始まったー。『閃光』ほか2作の短編を収録。
4年間の大阪転勤を経て、東京に戻ってきた小川。久しぶりにディケンズ先生が夢に現れると、彼は自分の生誕200周年を祝うために計画中だった。演奏者としての頭角を現す娘たちに刺激を受けながら、妻・秋子とともに音楽にのめりこみ、新しい友人も増えた。「50歳までに小説家になる」と宣言をした小川は、いよいよ執筆をはじめる。愉快なディケンズ先生の助言のもと、忙しくも充実した日々を過ごす。そこに思いもよらない危機が訪れ…。ハートフル・ヒューマン小説、第3弾。
音楽活動に精を出す一方で、小川は小説の制作を進めていた。相変わらずディケンズ先生は夢に姿を現しては、小川の人生相談に乗ってくれたり、自分の著作について語っていた。ひょんなことから小川はディケンズ先生に対して、数々の名作の普及のために貢献することを約束する。永遠の名作『クリスマス・キャロル』。小川は自分の小説の中で演劇化を試みるが、果たして成功するのか?連作中編ヒューマンドラマの続編。
選ばれし者だけが集まる、国内唯一の国立美術大学・東京美術大学油画科。スパルタで知られる森本ゼミに属する望音・詩乃・太郎・和美の4人は、画家としての「才能」や自身の将来に不安を感じながらも、切磋琢磨していた。そんなとき、ゼミに伝わる過去のアトリエ放火事件の噂を聞きー。不条理で残酷な「芸術」の世界に翻弄されながらも懸命にキャンバスに向かう、美大生のリアルを描いた青春小説。
バラバラ死体をビニール袋に詰めて川に捨てていた女が、都内で現行犯逮捕された。フリーの記者で、二十年前の「雨宮リカ事件」を調べていたという。模倣犯か、それともリカの心理が感染した!?精神鑑定を担当した立原教授の周りでは異常かつ凄惨な殺人が続発する。現場付近で目撃された長い黒髪の女は何者なのか?リカの闇が渦巻く、戦慄の第五弾!
二十歳のフリーター桃田竜がバイトするレンタルビデオ店は、映画マニアの天国。映画には興味薄の竜も、悩殺ボディの同僚ができて桃色な日々。だが、東大進学した元カノがAV女優になって現れたり、店の乗っ取りの危機に遭ったり、さらには仲間の裏切りや失踪まで、まさか尽くし!情熱と衝動が止まらない、世紀末を駆け抜ける僕らの青春物語。
学校の女王・京香に告白し振られた石黒くんが意識不明の重体で発見された。クラス全員に失恋をバラされたショックによる自殺未遂かと思われたが、学校は知らん顔。しかし半年後、名ばかりの偽善グループライン「石黒くんを待つ会」に、病院で眠り続けているはずの本人が参加し大混乱に。“復活”は復讐の合図!?弱肉強食だった教室の生態系が崩れ出す。
微生物学者の坂口がある日発見した新型ウイルス。感染したラットは互いを獰猛にむさぼり喰い、死んでいった。後輩に処分を任せたが後日、ウイルスを手に入れたという謎の団体から首相官邸に犯行予告が届く。人質は、全国民。目的は何なのか?毒舌女刑事・海谷とウイルスを捜すが、都内では次々と爆破事件が発生しー衝撃連発のサスペンス開幕!
玉川パートナーズ法律事務所に所属する弁護士・一色桜子は、高級住宅街田園調布の一画に居を構える法曹一家の令嬢。幼い頃のトラウマから「濡れ衣を晴らす」ことに人知れず執着している彼女に、殺人事件の弁護の依頼が舞い込む。被疑者との初めての接見で無実を直感した桜子。だが、事件の裏には空恐ろしい真実が隠されていた。新感覚ミステリ!
実力主義の信長家臣団の中でも、明智光秀の出世は異例だった。現代でいうと、五十歳で三菱商事に課長待遇で入社し、三年後には筆頭取締役に昇進するようなものだ。諜報、監視、駆け引き、裏切り…。織田信長と足利義昭ー。二人の主君に同時に仕えた男は、情報、教養、そして、したたかさを武器に、いかにして出世の階段を駆け上がったのか。
「ぼくだけはしっかりしていなければ」。父の事故をきっかけに、両親は別々の神さまを信じはじめ、家族には“当たり前”がなくなった。信じられるのは、一足先に大人になってしまった親友の龍之介だけ。妹のミッコを守ることでなんとか心のバランスを取るけれど、ますます家族は壊れていく。ぼくは自分の“武器”を見つけ、立ち向かうことにしたがー。
母親に連れられて初めて句会に参加した、大学生・桜木杏。俳句といっても、五・七・五で季語を入れればいい、くらいしか知らなかった杏だが、挑戦してみると難しいけど面白い。句会のメンバーも個性豊かな人ばかりで、とりわけ気になるのは爽やかなイケメン・昴さん。四季折々の句会で俳句の奥深さを知るとともに、杏は次第に恋心を募らせて…。
学校から帰宅し、母親に捨てられたと知った小学生の純矢。母の親戚・歌子の家に預けられたがそこはデブ女、無職の中年、67歳の引きこもりや毒親の老婆など、純矢が「生きてる価値ない」と思う大人の吹き溜まりだった。捨て子の自分も同類だと不貞腐れていたある日、「歌子が双子の姉を殺した」と聞き探り始めるが。大人になれない大人たちの感動ミステリ。
様々な理由で実親と暮らせない赤ちゃんが生活する乳児院・双葉ハウス。ここでは子供に専属の担当養育者「マザー」を決め擬似的な親子関係を築き、子供が物心つく前にその関係を終了させる。担当児に深い愛情を注いできた保育士の温子は、最初に担当し我が子同然だった多喜の不幸を感じ…。乳児院とそこで奮闘する保育士を描く、溢れる愛の物語。
権謀術数を駆使して美濃の蝮と恐れられた名将・斎藤道三の孫、龍興は酒と女に溺れて戦嫌い。だが、織田信長に国を追われて流浪するうち、武芸に励み、兵法を学びながら次第に合戦の虜に。何度も信長に挑み、追い詰めていく…。愚将と呼ばれながらも、群雄割拠の時代に魔王に怯まず対峙し、家臣や民を愛し続けた斎藤龍興とは何者か。戦国一代記。
不義を働く鼠小僧・次郎吉を密告し、我こそ真の義賊にならんと誓った伊賀者・百地市郎太。だが鼠を騙る賊が新たに出現、探索に乗り出す。人を殺めた偽鼠の得物から甲賀衆に辿り着くが…。目的は何か。市郎太は天敵の同心・大谷木の疑惑をかわし、賊を追い詰めることができるのか。太平の世における忍びの義と掟を問う、興奮必至の第四弾。
正体不明の大悪党・千住の市蔵は、争闘の場で見たお夏への復讐心を滾らせていた。お夏とて母を殺めた市蔵との決戦は望むところだが、表の顔はあくまでも居酒屋の毒舌女将。同心の濱名茂十郎は、お夏抜きで市蔵捕縛に向かう。正義と悪が激突する白山権現。そこで運命の悪戯ともいうべき事態が判明!お夏の運命は?人気シリーズ、堂々の決着。