出版社 : 徳間書店
伝通院以来、秘かに想いを寄せていた土方歳三との別れ。新徴組組士千葉雄太郎との恋。そして悲憤の別離。世のため江戸庶民のためと職務に精励する新徴組だったが、彼らのその高い志が皮肉にも歴史を動かす引き金となってしまった。戊辰戦争…。討幕の流れは止めようもなく、いつしか庄内藩酒井家は朝敵となってしまう。やりきれぬ理不尽さに戸惑いつつ中沢琴は泥沼の戦いに臨むのだった。
失踪した娘を捜してほしいー依頼を受けた、かつて十津川警部の部下だった私立探偵の橋本は、池戸彩乃の捜索を始める。勤務先のパソコンに謎のメモが残されていた。「4116581411123」。本州最北の鉄道の駅、下北駅の緯度と経度と判断した橋本は下北に飛び彩乃の痕跡を追う。一方、東京では彩乃の同僚が殺され十津川が捜査に乗り出す。事件は予想外の展開を見せ始めた!?
生徒を見捨てる校長を殴ってクビになった。恋人に告げると、彼女の両親から婚約破棄を申し渡された。でも彼女からは夢だった弁当屋を一緒にやろうと言われ…。そんなとき、オレがAVに出ていると元生徒たちに告げられた。しかし、それはオレそっくりな従弟だった。親が自慢するエリートだったはずのヤツが何故?両親には言えない秘密を抱えた男たちの悲喜交々を描く、渾身作!
夫婦仲が良好になり、苦手だった算盤の腕も上達。自信がなかった勘定所勤めにも、張り合いが出る笠井半蔵だったが、仕事が上達した真の理由は、剣の技倆を見込まれ影御用を命じられていることにあった。南町奉行・矢部定謙の意を汲み、事件解決のため惜しみなく力を貸す日々。そんな半蔵に、南町奉行の失脚を狙う魔の手が迫っていた!時代剣戟の好評シリーズ第三弾。
尽忠報国の志を持つ者ならば、身分を問わず。十四代将軍上洛警護のため広く天下から募られた浪士組。そのなかに一人、女性剣士の姿があった。中沢琴、上野国利根郡穴原村の剣術道場“養武館”の娘。法神流の剣と薙刀の遣い手である。江戸の伝通院には土方歳三らのちに新選組として名を馳せる者らも集結、熱き心を胸に京を目指す。新徴組組士として幕末を懸命に闘い抜いた琴の旅が始まる。
“貴種”と呼ばれる吸血種たちを支配する上王。その宮廷で無事に伯爵位の襲爵式を終えたイオアンは、同時に公爵位を賜る。それは彼と従者ラウルにとり、宮廷内の羨望と嫉妬を浴びるだけでなく、恐ろしい陰謀に巻き込まれる始まりだった。しかも、その背後にいたのは、人間たちが信奉する教会の聖山を壊滅させた上王の叔父イリヤー異形の者と成り果てたーだった。混乱を起こし、都を蹂躙するイリヤを辛くも上王が倒し、平和が戻った矢先、彼は退位を宣言した。華麗なる新吸血鬼譚、最終巻!
東京・阿佐ヶ谷のマンションで、エリート商社マンが殺害された。直前に食べたと思われる南紀白浜の温泉まんじゅうに青酸が混入されていたのだ。その数時間後、彼の婚約者のCAが南紀白浜空港のトイレで絞殺死体で発見された。そして彼女の自宅寝室には「死ね!」という赤いスプレーで書かれた文字が!?乗客名簿を取り寄せた十津川警部は、急遽白浜に飛んだ…(十津川警部白浜へ飛ぶ)。他、「伊豆下田で消えた友へ」「恐怖の海 東尋坊」など旅情ミステリーの代表的作品四篇を収録。
北辰一刀流の千葉家で生まれ育った佐那は、十六歳の時、坂本龍馬と千葉道場で出会う。惹かれ合う二人を、時代の波が引き裂いた。そして三十九年後ー。千葉灸治院で働く佐那のところへ板垣退助の紹介という男が現れる。「坂本龍馬先生と佐那さんは縁があるとお聞きしたので」すると、佐那は文箱から袷の袖を取り出してー。坂本龍馬を生涯想い続けた女、千葉佐那の人生。
この本を読んではいけないー奇妙な警告文の挟まれた古書がオカルト雑誌の編集部に持ち込まれた。古書の持ち主だった兄が数カ月前に失踪し、現在も行方不明だと竹里あやめは訴える。フリーライターの八坂駿がその本を読み進めるに従い、周囲で不気味な出来事が続く。いたずら?狂言?それとも…。八坂はペアを組むカメラマンの篠宮、依頼人のあやめとともに、古書の謎を追う。
マンションで転落死と思われる男性の死体が発見された。死亡した男は、大物政治家が絡む贈収賄事件の重要参考人だった。さらには政治家の公設第一秘書、私設秘書も変死。自殺として処理するように圧力がかかる中、葛木が極秘裏に捜査を開始すると、予想だにしない黒幕が浮かび上がってきて…。政治が真実を闇に葬ろうとするとき、所轄は警察の矜持を保つことができるのか?
紀州雑賀、太田左近の娘・蛍は、射撃術の研鑽に生涯をかける女。秀吉に太田城を水攻めで落とされ、父母姉妹と一族を失った。秀吉への復讐を誓い、新開発の鋼輪銃を手に戦場を駆ける。徹底的に豊家に敵対する蛍は、義なき朝鮮出兵に抗うため半島に渡り義勇兵として日本軍と戦うことに…。そして関ヶ原での因縁の対決の行方は!?戦国を鮮烈に駆け抜けた女鉄砲撃ち再び。
突然縁談を白紙に戻されたおりよ。相手は小間物屋「近江屋」の跡取り息子。それでもおりよと父は近江屋へつまみ細工の簪を納め続けていた。おりよは悔しさを押し殺し、手に残る感覚を頼りに仕事に没頭する。どうしてあたしだけ?そもそも視力を失ったのは、あの花火のせいだったー(「闇に咲く」)。三河、甲斐、長崎、長岡、江戸を舞台に、花火が織りなす人間模様を描いた珠玉の時代小説。
旗本と町人が下谷車坂町で斬殺された。旗本は一太刀のもとに斬られ、町人は短刀で刺されていた。異なる得物は下手人が複数いると暗示していた。銀次は探索に乗り出す。死んだ二人は博奕好きで、浅草界隈の賭場に出入りしていた。旗本は賭場を「怖い赤鬼のいるところ」と話していたらしい。数日後、浅草の岡っ引きが斬り殺された。「赤鬼」を追って聞き込みの最中だったという。
理不尽な要求をする客と無茶な仕事を押しつける酷い上司に我慢が出来ず、五年勤めた会社に辞表を突きつけたミノリ。この先、どうしようかと思案していたときに入り込んだ神社で「巫女募集」の貼り紙を見つけ、飛びついた。同じ頃、キャバクラ勤めの生活に不安を抱えていた李花は、神主に一目惚れし、「巫女募集」に応募する。ミノリと李花、二人が直面する参拝者たちの様々な事情とは…。
野島芳生は社会心理学科の准教授今井由里子の研究室へ見学に行くため、東央大学渋谷キャンパスを歩いていた。すると人だかりが出来ていて、何事かと事情を聞いてみると女子トイレが盗撮されたらしい。容疑者は猿顔を真っ赤にしながら無実を叫んでいる。研究室に着くと、先程の猿顔は富岡といい、ここの学生だとわかる。状況と事情を聴いただけで、由里子は富岡の無実を証明するという…。
勘定所勤めながら不得手の算術に四苦八苦し、家付き嫁の佐和の尻に敷かれる辛い日々を送る笠井半蔵。登城中の勘定奉行を刺客の襲撃から救ったことで、幕閣の影の警固を命じられた。勘定所への出仕は猶予され、影の御用に励むよう勘定奉行より命が下されるが、半蔵は家業をおろそかにすることに悩むのだった。そんなとき、警護先の矢部定謙が何者かに拉致されたのだ!好評シリーズ第二弾。
亀戸村の名主一家が惨殺された。囚獄・石出帯刀の密命を帯びて、獄を放たれた佐久間音次郎は悪党たちを探索する。ようやく油船・三國丸の船上に賊を追い詰めたが、そこに現れたのは、若侍浜西晋一郎だった。晋一郎は音次郎が妻子殺しの下手人と誤って刃にかけた元同僚のひとり息子だ。彼はわずかな手がかりをよすがに、父の敵を辛抱強く追ってきたのだった…。傑作時代剣戟第四弾!
倉敷市の山林で音楽教師・夏井康子の死体が発見された。遺書があったものの、手にしたフルートの持ち方が左右逆だったのだ!?五日後、康子の婚約者・戸川健介の溺死体が吉井川に浮かぶ。警察は後追い心中と断定するが、演奏会で津山市を訪れたヴァイオリニストの本沢千恵子は事件に不審を覚え、旧知の浅見光彦に相談する。恐ろしくも悲しい事件の序曲だった…。長篇旅情ミステリー。