出版社 : 東京書籍
トンデッリの処女作は、ボローニャ周辺の青春群像を描く、6つの短編から成っている。作者の体験が投影された同性愛の世界が、ごく自然な、現実的な世界として、スラングを多用した独特の話言葉で語られる。セックスとドラッグ、学生運動と放浪に明け暮れる70年代の若者の姿が、リズミカルな話し言葉を基調とする、過激でセンティメンタルな文体でつづられる。登場人物の多くが同性愛の青年たち。かれらは、かれらなりの自由を求めてヨーロッパを旅する。読者はゲイ・ロード・ムーヴィーとでも言うべき世界にいざなわれる。
イギリスでは「大切な友達」のことを「一杯の紅茶」と言う。お花見をかねて2年ぶりに集まる25歳、高校の仲良したち。この6人が揃えば、あの頃と同じ時間が流れるはず…。紅茶の味の書き下ろし。
ナチスの恐怖をかいくぐって生きる、ユダヤ人少女ユーディットの物語と、彼女の憧れとが紡ぎ出す、もうひとつのマリア伝説。ウディ・アレン風ビン底メガネのさえない少女に神の悪意が仕組んだ皮肉な運命と、キリスト受胎の運命を呪うもうひとりのマリアの神への抵抗とが、現実と幻想のあわいに交錯する。
ロンドン市内の「ホームズの名所」新旧様変わりの報告から、英国南部にドイルの隠れ家やその家族の墓を探し歩く旅…。前回のシャーロッキアンたちが再集合して、ウィリアム・テルに会い、熊とたわむれ、戦車にも乗ったスイス建国700周年記念のホームズ・ツアーの行程…。ニューヨークでホームズの誕生日を祝うB・S・Iのディナーなど、ますます興味が広がる、楽しい旅日記の第二弾。
あの『若草物語』から登場人物を拝借した、イタリアにはちょっとなかったタッチの少女小説。ヒロインは自称ナスターシャ・キンスキー、山盛り好奇心の生意気娘ジョー。幼い頃に別れてしまったパパを求めて、ローマからバルセロナへ。そこで出会ったブロンドの美青年マイクとともに、アフリカの木彫り人形を巡るキナ臭い犯罪事件に巻き込まれてゆく。命からがらの逃避行、果たしてパパとの再会は?最後はちょっぴり切ない大団円。
建安十二年冬、「三顧の礼」の二度目の訪問も失敗に終わった劉備らの一行は、新野城にもどっていった。隆中にある一軒の酒屋では、孟公威、石公元、崔州平らが劉備や曹操について熱っぽく論じている。やがて春を迎え、劉備の兵士募集に応じた飛剣の名手・虚空児が、襄陽城郊外にある幽鬼楼で怪死をとげる。容疑者と思われた道士・王圭も、その翌日、幽鬼楼の三階で死体となって発見される。若き日の諸葛孔明の推理はいかに。その謎解きのあげくに、孔明がたどりついた真実とは。
ロサンジェルスに住むイタリア人ジョヴァンニは、漠然としたサクセス・ストーリーを思い描いている。やがて、映画界のディーヴァにイタリア語を教え始めたジョヴァンニにも、チャンスが巡ってくる。カメラマン志望の彼の、正確で皮肉な目を通して、アメリカの社会とアメリカン・ドリームの緩やかな衰退が、スーパーレアリズム的な手法で描写される。
推定球速・時速160km以上。17歳にしてベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグら米大リーグを圧倒し、日本初のノーヒット・ノーラン、最高殊勲選手、永久欠番。プロにおいて、生涯被本塁打数8。「沢村賞」にその名を残す、悲劇の超豪速球投手・沢村栄治の生涯。戦争の波間に浮かぶ家族の運命と、日本プロ野球の誕生と苦難の道を描く、渾身の書き下ろし500枚。
イヴに間近いある夜。僕のもとに現れた少年は、サンタクロースの身分証明書を持っていた。僕の彼女への、クリスマス・プレゼント選びの相談にのるためにやって来たのだと言うが…。爽やかさNo.1の作家堀内貴和の、クリスマスと都市生活をめぐるショート・ストーリーズ。
本場アメリカへ行き、フォークギターの勉強をしたい。そのふたりの夢が、ようやくかなう日が来た。出発の三日前、卓也は胸をはずませてアパートのドアをたたくが…。70年代初頭のフォークに生きる青春を、透徹した眼差しで追った、著者初の書き下ろし長篇恋愛小説。
アメリカ文学界に決定的衝撃を与え、この一冊によって現在までブロドキーを巨匠と呼ばせる名著中の名著。美しい姉への憧れと、少年の揺れ動く心を静謐な筆致で描いた表題作他、アメリカ青春文学に永遠の輝きを放つ一冊、ついに登場。