1999年1月31日発売
躁鬱病で入院中の女性ドンナが五階から飛び降り、昏睡状態に陥った。彼女の家族は病院側を過失で訴え、辣腕でならすシェリダンが弁護人を引き受けた。だが、背後に有力者を擁する大病院は裁判を阻止しようと策を弄し、技術も設備も劣る病院へドンナを追いやった。怒りに震えるシェリダンは、微かだが彼女が生きる意志を示しはじめたことに勇気づけられ、闘い抜くことを誓うが…『評決』の著者が放つ、正義と信念の大作。
状況はシェリダンに不利だった。ドンナの父親の虐待が明かされ、病院側はこれが彼女の自殺未遂の原因だと主張し、さらに彼女のカルテが忽然と消えたのだ。一方、ある病院関係者の恋人が、かつて不審死を遂げていたことが判明。病院側との攻防が激化する中、シェリダンは何者かに銃撃された。やがて、彼がつかんだ衝撃の事実は、この闘いを根底から揺るがすことに…正義を求め、苛酷な現実に挑む弁護士の姿を描く感動作。
親友を助けるため潜入したこの国は、私がかつて秘密活動をしていた危険な国だ。案の定、不穏な出来事が続くなか、親友は、没落した富豪の孫と名乗る娘の秘宝探しに、私を引き入れる。だが、その矢先、何者かが私を襲ってきた!秘宝を狙う者が他にもいるのか、それとも私の過去に何か関係が?海洋生物学者ドク・フォードが挑む、謎とロマン満載のサスペンス。
この顔には見覚えがあるわ…アンティーク家具の修復業を営むキャットは、なじみの骨董店の店先でホームレスの若い女性を見かけて驚いた。その女性は亡き娘の親友ジェニーで、しかも彼女はすべての記憶を失っていた。なぜ、新進女優として活躍中だった彼女がここに?同情したキャットは、ジェニーを救うため身辺調査に乗りだすが…行動力あふれる老婦人、“ワイルド・キャット”再登場。注目の痛快シリーズ第二弾。
後悔なんかしてないわ。夫を殺した日から、わたしの本当の人生が始まったのだから。小さな町で暮らすボニータ・フェイは横暴な夫に耐えかね、山頂で夫を射殺してしまった。事件の後、彼女は長年の憧れのパリを訪れ、そこでハンサムな青年と出会って友情を深めていく。が、やがて穏やかな日々に暗い影を落とす事件が…ロマンティックで少しせつない、自己再生を賭けた一人の女性の物語。
大天変と呼ばれる気候の大変動により極地の氷が融け、結果、水没地域のアジア・アフリカからの大量の移民が溢れ返ることになったロンドン。街全体が異国情緒に満ち、ロンドンの裏世界はさまざまな人種によって構成され、毎日騒然とした雰囲気に包まれている。しかも、「ドール」と呼ばれる人工的に合成された肉体に電子チップを埋めこんだ一種のロボットの人権を主張するグループが爆弾テロを繰り返していた。逮捕歴のある遺伝子ハッカーのアレックスは、戦闘用に改造したドールを闘わせる闘技場建設を試みるギャングと、そのギャングに私憤を抱く刑事の間に立っていたが、やがていやおうもなく争いに巻き込まれていった。そして、争いの渦中、現れた謎の美少女ミレーナはアレックスに手伝わせて盗んできたドールのチップを入れ替え、知性を持った「フェアリイ」を造りあげ、フェアリイとともに姿を消してしまった。アレックスはミレーナの後を追ったが…。アーサー・C・クラーク賞/ジョン・W・キャンベル記念賞を受賞した、イギリスSF界最高の有望作家が描く、ナノテクSFの傑作。
十二月三日に新宿公園、一月十三日に代々木公園、そして今日、一月二十三日に大久保公園で女性の絞殺死体が発見された。手口はすべて同じで抵抗した跡はなく、媾合しながらロープで首を締められ、また、現場の情況から、別の場所で殺された後そこに捨てられて、わざわざ局部をむき出しにされているのだ。被害者は、OLの山内幸代、女子大生の武田弥生、そして今日は、予備校で英語を教える佐々原明子だった。ムラマサこと警視庁歌舞伎町分室の村木正警視の必死の捜査が始った…!圧倒的迫力で描く迫真の書下し長篇。
戦闘で負傷したリンドハースト伯爵はチェルトナムで療養中ジゼルダを看護婦として雇い入れる。彼女は痩せこけていたが、誇り高く淑女であることがうかがえた。が、数日後、弟の手術代のために愛人候補の男性を探してほしいと途方もない依頼を伯爵にもちかけた。折しも、従弟の結婚を阻止しようと思案していた伯爵は、ジゼルダの難問を同時に解決すべく、一計を巡らせる。ジゼルダを裕福な貴婦人に仕立て従弟に求婚させようとする筋書きで大芝居が演じられることになったが…。