2002年1月31日発売
真夜中。時計の針が十二時を過ぎた瞬間、病弱な青年アンバリーは無事に二十一歳となり、莫大な遺産を正式に相続した。その翌朝、滞在していた避暑地のホテル近くの断崖の下で、アンバリーの死体が発見される。ホテルを出て歩き回るうちに、持病の発作を起こして転落したらしい。だが病弱な青年が、なぜ真夜中に外へ?さらには、彼が書いていたはずの遺言状も消え失せていた。単なる事故か、それとも…ホテルに滞在中だった名探偵ヘンリー・ガーマジの頭脳が回転しはじめた!アメリカ・ミステリ界で絶大なる人気を誇った女史のデビュー作。
小さなバラ色の雲が空から降りて来て、シナモン・シュガーの香りで二人を包みこむ…ボーイ・ミーツ・ガールのときめき。夢多き青年コランと、美しくも繊細な少女クロエに与えられた幸福。だがそれも束の間だった。結婚したばかりのクロエは、肺の中で睡蓮が生長する奇病に取り憑かれていたのだーパリの片隅ではかない青春の日々を送る若者たちの姿を優しさと諧謔に満ちた笑いで描く、「現代でもっとも悲痛な恋愛小説」。
法律問題の側近として絶大な権力を持つ大統領法律顧問。そのオフィスに所属するマイケル・ギャリックは有能な青年で、将来を嘱望されている。そんな彼が大統領の娘ノラからデイトに誘われた。ノラの奔放な振る舞いに驚きながらも、その魅力に引き込まれていくマイケルだったが、思わぬ事件に遭遇する。彼の上司、大統領法律顧問のサイモンの姿を偶然見かけ、あとを追った彼とノラはサイモンが何者かに大金を渡している証拠をつかんだのだ。だが、その時からマイケルの運命が狂い始めた。法律顧問オフィスの一人が殺され、マイケルが容疑者としてFBIから追及されることになったのだ。FBIはノラも共犯者と見なしていた。大統領選挙の年にそれが公になることは絶対に避けなければならない。強さと弱さを合わせ持つ複雑な性格のノラを守りつつ、マイケルは自分の無実を証明するために、陰謀の真相を突き止めようと調査を始める。だが、次々と思いもよらぬ事件が起き、彼は蜘蛛の巣にからめとられるように絶体絶命の危機に陥っていく…。ホワイトハウスを舞台に、巧妙な罠を仕掛ける敵とマイケルが繰り広げる白熱の頭脳戦。圧倒的な面白さで全米を熱狂させたサスペンス大作。
バイオ企業を率いる父によって、成長型の人工臓器を埋めこまれた幼い葉那子には、臓器スペアとして四体のクローンが用意されていた。やがて無事に成長した彼女は、亡き父の想いをもとめ“姉妹”との面会を果たすが…クローン姉妹の複雑な心模様を描いた表題作、山奥の孤児院で生活する少年の哀しい成長物語「子供の領分」、『永遠の森博物館惑星』の後日譚「お代は見てのお帰り」など、先端科学がうみだす、さまざまな心の揺れを描いた珠玉の九篇ー“やさしさ”と“せつなさ”の名手による洗練と成熟のSF作品集。
疾風怒涛、しかし泰然。海運再編を初め、国鉄運賃値上げ、未曾有の船員スト、航空再編と数々の難問に立ち向かい、辣腕をふるう。運輸官僚として戦後の混乱期に獅子奮迅の活躍をした若狭を描いた渾身の評伝。
波瀾万丈、しかし淡然。全日空入りした若狭は、悲願の国際線進出を果たすが、M資金、雫石事故、ロッキード事件と、試練にさらされる。運輸次官から全日空社長へ。運輸史を生きた男の軌跡を克明に辿る評伝完結。