2003年7月発売
秋にアフリカに渡り、春、欧州に戻るコウノトリがなぜ今年はかなりの数帰らなかったのか?調査に発つ直前、青年ルイは調査依頼主の無惨な死体を発見する。検死の結果、記録のない心臓移植手術の痕があることが判明。東欧、中東、アフリカ、行く先々でルイの遭遇する残虐な殺人。コウノトリの渡りの道に何が隠されているのか?『クリムゾン・リバー』の著者、驚嘆のデビュー作。
不良少年のグループからやくざの使い走りになった貧しいイタリア移民の末裔、リコ。彼はギャングの一人として現金強奪で名をあげ、暗黒社会の中で知られた顔になる。力と策謀で仲間を出し抜き、追い落とし、ついには縄張りを握ってその頂点に立つが…。無名だったエドワード・G・ロビンソンを一躍大スターにした映画『犯罪王リコ』の原作であり、ジェイムズ・エルロイやジム・トンプソンに大きな影響を与えたクライム・ノヴェルの古典的名作。
贅沢な癒しを求める客たちで溢れる、豪華客船ヨアニナ号のビューティ・スパで働く24歳のローラは、船上勤務も数回の経験となる中堅エステティシャン。同室の新人ヘアドレッサー、フィオーナとのコンビで、常連客の受けもよく多額のチップ収入を得ていた。多忙な仕事の合間に、ラウンジ勤務の恋人スティーヴとめくるめくSEXを愉しんでいたのだが、彼女に言い寄る男も多く、豪華船内はしだいにエロスの香りが…。
スチュアート陸軍士官学校の新入生レミーは男性経験もなく、男勝りの性格の持ち主。入学早々、“地獄の特訓”の日々が続き、厳しい指導教官や同僚ジーンのいやがらせに、前途多難の寮生活を過ごしていた。そんなある日、先輩ジェーコブとの初体験をきっかけに、性的快楽に目覚め、偶然、学校内の秘密クラブの存在を知ることに…。
南三郡を実力で手に入れた呉の孫権は、無敵の水軍で江南を固めていった。胸中に渦巻くは合肥攻略だ。一方、最強の騎馬軍団と後漢の献帝を擁し、魏の曹操は再び天下統一の野望に燃えていた。「赤壁の戦い」で勝利を収めた劉備は荊州に足掛かりを得、益州を配下に置いて蜀を制した。三国鼎立の時代を迎え、戦いはますます熾烈なものとなった。焦点は荊州争奪にある。
時は八世紀末。東北には、大和朝廷に服従しない誇り高い人々がいた。かれら蝦夷は農耕のために土地に縛られるのではなく、森の恵みを受け大自然と共生しながら自由に暮らしていた。だが、その平和も大和軍の侵攻によって破られる。そして、一人の男が蝦夷の独立を賭け、強大な侵略者に敢然と戦いを挑んだ。彼の名はアテルイ。北の森を疾風のように駆け抜けた英雄の生涯を描く壮大な叙事詩。
化学者ばかりが狙われる連続密室殺人事件が発生。恐怖にひきつった遺体の表情は事件の凄惨さを伝えていた。孤独な警視メリエスと人間嫌いの美貌の記者レティシアは、秘策を用いて謎の事件を追う。アリの都市ベル・オ・カンでは人間によってもちこまれた“神”の概念をめぐり二つの勢力が激しく対立。女王アリはついに、諸悪の根源である人間を倒すために十字軍の派遣を決意する。しかしそこには極秘の使命“マーキュリー・ミッション”を負ったスパイがまぎれこんでいたのだー。怒涛の知識が織りなす、めくるめく驚異の物語。フランスの鬼才ウェルベルの最高傑作。
本書は、2002年に小説誌等に発表された数多くの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が最も優れた20篇を厳選した、決定版アンソロジーです。推理小説界2002年の概説、ミステリー各賞の歴代受賞リストもついて、資料としても充実しています。50年を越える歴史を誇る唯一無二の推理年鑑です。
険しい山に囲まれ、悠久なる大河が流れる王国。長年続く野賊との内戦を終らせ、祖国に平和をもたらすー正義を胸に、理想を貫き、どんな状況でも、「生」を信じ、国を愛し闘い続けた大佐・テミズ。この男が人生を賭け、夢見たものは…。人々を愛し、孤高の生を全うした男の壮大で波乱に富んだ人生を描く、新鋭による圧巻の長編小説。
人との距離がうまく測れず、引きこもりがちな大瀬崎亜紀、22歳。「このままじゃダメ人間だ!」と心機一転、バイトをはじめるも、“鬼シャチョー”にこき使われ、とほほ状態に。それでもシャチョーにほのかな恋心を抱き始める…。
盗賊仲間に裏切られて大火傷を負い、死んだはずの男。座頭組織の長・髑髏検校に拾われた男は、暗殺者として裏社会に生きる覚悟を決めた。光を奪われ、座頭として表・裏社会の二重生活を送り始める男-。だが運命は男を、さらなる修羅へと向かわせた。
癌で入院中の父親と寝たきりの祖父の面倒を一人でみる村尾柊一。彼は善意より殺意を必要とした…。あの日、雨が降っていなければ、誰も殺されなかった。必死だけど可笑しくて、実直ゆえに我がままで、優しいくせに傷つける-デビュー15周年を迎えた樋口有介の真骨頂、とにかく切ない物語。
騎士バルロが出撃する。叔父マグダネル卿を討つためにー!サヴォア一族の内紛とは王家失脚を企む卿と、その陰謀を阻止せんとするバルロの対立だったのだ。卿の背後にはデルフィニアを狙う隣国タンガとパラストが蠢いていた。この国を揺るがす危機をウォルそしてリィはいかに乗りきるのか。
青墨色の闇の中、“邪宝剣”八支刀三柄剣が十賊色に輝き、殺戮と焼尽の幕が切って落とされた-。終わらない旱天に流行病、続発する民衆の暴動。時は正長元年、南朝復興を叫ぶ伊勢国司・北畠満雅は、伊勢裡宮に伝わる秘法により次代の帝・彦仁王の魂魄を抜き取った!彦仁王の魂は、“器”と定められた虚丸の肉体に憑依する。放浪の僧・一休宗純は二人の少年を救うべく、伊勢裡宮へと旅立つ。“黒衣の宰相”三宝院満斎、北畠満雅、“旧司等”の神々を祀る裡宮の血族…。それぞれの陰謀と一休の戦いを壮大なスケールで描く、シリーズ最高傑作ここに誕生。