2003年7月発売
ホテルのロビーで突然、アヤシイ男たちに拉致られちゃった新米警官の鷹夜。連れてこられた先は最上階のスィートルーム。なんと男娼と間違われて、ただいま誘拐・監禁中の人質…超ワガママ御曹司、要のえっちのお相手をさせられる羽目に…。およそ色気などない鷹夜なのに、どこがお気に召したものやら、御曹司サマはすっかりご執心の様子で…!?巻き込まれキッドナップ・ラブコメ爆裂書き下ろし。
18世紀後半のアイルランドー政略結婚が渦巻く時代、ふたりの美しい貴婦人が自由を求めてウェールズに逃走した。高い教養を身につけたふたりは、“レイディーズ”と敬われ、“ノブレス・オブリージ”を体現した心豊かな生活を五十年間送る。自ら工夫した見事なインテリアで満たした住まい、数千にのぼる蔵書、表敬訪問に訪れる文人、政治家、貴族たち…。英国フェミニズムの黎明期に、地位と名誉を棄て、自立の夢を果たし、精神の貴婦人となった女性の物語。
「…具体的に、あなたは何の研究をしているのですか?木賀峰助教授」「死なない研究ーですよ」永遠に生き続ける少女、円朽葉をめぐる奇怪極まりない研究のモニターに誘われた“戯言遣い”こと「ぼく」は、骨董アパートの住人・紫木一姫と春日井春日とともに京都北部に位置する診療所跡を訪れるーが、そこに待ち受けていたのは凄絶な「運命」そのものだった!“一人で二人の匂宮兄妹”-“殺し名”第一位の「匂宮」が満を持して登場する、これぞ白熱の新青春エンタ。戯言シリーズ。
その人形は官能的な肌と壊れた心をもっていた。天才的な人形作家、人形を溺愛する青年、人形になりきろうとする女優、そしてパトロン。人形に憑かれた人々が織りなす情念のアラベスク。新境地を拓く、初めての長編ミステリー。
思い出して、あなたが私の女だった頃。覚えていて、私があなたの女だったこと。忘れないでいて時が過ぎても二人死んでも。Love&Sexをめぐるナイン・ストーリーズ。
私を衝き動かしてきた、私の生きる原動力となってきたものを、今となっては正直に告白しなければなりますまい。それは神、つまりは天主への憎しみ。この世界を創造し、摂理を生み出した全能の天主なるものが事実存在するならば、私はそのものに復讐を企てる為だけに心血を注いできたのです。神をも畏れぬ衝撃の解釈で、日本キリシタン史最大の悲劇を描いた、第16回三島由紀夫賞候補作家の書き下ろし最新作。
古都・鎌倉で起こる連続殺人事件。犯人は、般若の面をつけたセーラー服姿の少女だという。千年もの時を生き抜いた現代の鬼、戸倉聖と志島弓生が想起したのは、二百年前の哀しい出来事ー。二人に、かつて何があったのか…。今度こそ、と意気ごむ鬼たちだったが、二人には、別の使命もあった。鬼たちの活躍を描く傑作短編「蠱持ち」を同時収録。
四年前の夏、遙子は夫の裏切りを知った。遙子より五歳年下の女性を愛しているというのだった。問いつめても跪いても夫の心は戻らない。五十歳を過ぎて、夫を失う痛みには耐えられそうもなかった。高校に通う一人息子は口数を減らして遙子を拒み、八十歳を超えた母に心配をかけるわけにもいかない。行き場のない遙子の心は徐々に無力になっていく。文の京文芸賞最優秀賞受賞作。
俺は神崎達也。職業、刑事。美人のフィアンセを残して無念にも射殺された…はずが幽霊に!?しかも犯人の上司が密室状況で何者かに殺されて…。いったい真犯人は誰なんだ!そして俺はどうなってしまうんだ!ミステリーとラブストーリーが融合、二〇〇一年度本格ミステリー・ベスト10入りの傑作。
その大陸では微妙な力関係で五つの国の均衡が保たれている。楽天は一番の小国である。ある日、大国・奉金より盟約を結びたいと申し入れがあった。条件は人質の交換。軍師の父親が奉金に差し出されてから、その息子・趙浚の波瀾の人生が幕を開けた。困難に立ち向かいながらも真摯に生きる若者を描く感動巨編。
いわれなき罪を着せられ、流罪となった趙浚だが、師・春申のおかげで赦免される時がやってきた。しかしそれも特命を無事果たしてのちのことだ。ふたたび国のために命を賭することを誓う趙浚だが、生きるよすがは友情か、愛か、それとも…?迫力ある筆致で人間の本性を抉る一大エンターテインメント。
母を殺した犯人たちを見つけてもらいたいの-迷宮入りになった28年前の銀行強盗事件で犯行グループに射殺された被害者の娘が、真剣な面持ちでスペンサーに訴えかけた。警察の捜査報告書によれば反体制の革命グループが犯行声明を出していたが、その正体は不明のままだった。やがて政府の秘密機関員だと名乗る男が、スペンサーのもとに忠告に現われた。事件の調査から手を退いたほうが身のためだというのだ。それは、彼がさらなる情報を求めてFBIの支局を訪れた直後のことだった。その後、ガンマンが銃をちらつかせながら、事件に関わらないようにとスペンサーに脅しをかけてくる。28年前の強盗事件の裏に、どんな秘密が隠されているというのか?関係者の多くが口を閉ざすなか、スペンサーが突き止めた苦い真相とは…。パラダイスの警察署長ジェッシイ・ストーンの協力を得たスペンサーが、28年の時を越えて事件の真相に迫る。シリーズ第30作と、パーカーの作家デビュー30周年を記念して、巻末に作家、評論家など著名人による特別アンケートを収録。
パリの町で出会った妖精のような若い女・ナジャー彼女とともにすごす驚異の日々のドキュメントが、「真の人生」のありかを垣間見せる。「私は誰か?」の問いにはじまる本書は、シュルレアリスムの生んだ最も重要な、最も美しい作品である。1963年の「著者による全面改訂版」にもとづき、綿密な注解を加えた新訳・決定版。
「お願いがあるの」あの日の午後、グレタが寝室から声をかけなかったら…。すべては、バルト海から風が吹きつける、あの寒い午後に始まった。絵のモデルとなる女性が来られなくなり、妻が思いついたのは、夫に女性用のストッキングと靴を穿いてもらうことだった。夫は承諾するが、それが20世紀初めの、もっとも激しく奇妙な愛の物語の始まりになるとは知る由もなかった。デンマーク人の画家アイナー・ウェゲナーと、やはり画家で、アメリカ生まれの妻グレタ。事実に基づいて書かれた本作は「愛する人の変化に、どう対処するか?」を問いかけてくる。グレタが授けたリリーという名前で、女性の服を着るようになっていくアイナー。ゲームのような夫婦関係は、やがてそれぞれに大きな決断を迫るのだった。リリーをモデルにしたおかげで、グレタの絵の才能は花開く。フランス人の美術商が彼女の絵に目を付け、夫婦はパリへ移り住むが、ふたつの大戦に挟まれたパリの自由な空気はリリーをさらに解放し、アイナーの存在は徐々に記憶のなかに消されていく。ドレスデン婦人科病院での、ある外科手術を知ったグレタの勧めで、アイナーは、永遠に「リリー」になるべくドイツへと旅立つが…。