小説むすび | 著者 : ロバ-ト・B.パ-カ-

著者 : ロバ-ト・B.パ-カ-

灰色の嵐灰色の嵐

大金持ちの有名人、ハイディ・ブラッドショーがスペンサーを訪れ、娘の結婚式で自分のそばについていてほしいと頼んできた。奇妙で曖昧な依頼を怪しみつつも、スペンサーはスーザンとともにマサチューセッツ沖のハイディ所有の孤島へと赴く。豪華な顔ぶれの招待客が島に集まってくるなか、スペンサーは思いがけない人物を見かける。かつてスペンサーを殺しかけ、のちに協力しあったこともある因縁のガンマン、“灰色の男”であった。華やかな結婚式にはそぐわない殺し屋の存在に不吉な予感がみなぎる。ハリケーン級の嵐が荒れ狂うなかで式は強行されたが…。式がクライマックスにさしかかったそのとき、招かれざる客・灰色の男はマシンガンで武装した部下を率いて現れた。銃撃、誘拐そしてスーザンを守ることを最優先したスペンサーを残し、灰色の男は大型ヘリコプターで逃走する。灰色の男の彼らしからぬ劇的な犯行。また、依頼人ハイディは非常事態に取り乱した様子もない。灰色の男が現われる場所にスペンサーが呼ばれていたのは本当に偶然なのか。不審を抱いたスペンサーは、独自に調査を開始した。死闘を演じた過去にもかかわらずお互いを理解し合ったかに思われたスペンサーと灰色の男。やはり相容れぬ敵同士でしかありえないのか-。謎の男の核心へ分け入るスペンサーの調査は、意外な真実へとたどり着く。

秘められた貌秘められた貌

死体は木の枝から吊り下げられていた。だが、手も縛られていないし、首の骨が折れているようすもない。踏み台らしきものもない。「コートの前を開けてみてください」言われたジェッシイが死体の胸を見ると、そこは黒ずんだ血でごわごわになっていた。発見された射殺死体の身元はすぐに判明した。全国ネットのテレビ番組を持つ人気者ウォリー・ウィークスだったのだ。マスコミが殺到し、知事までが介入しようとする。そんな騒動のさなか、第二の死体が発見された。今度はウィークスのアシスタントの女性。ウィークスと同じ銃で射殺されていた。しかも解剖の結果、妊娠が判明する。DNA鑑定による父親はウィークスだった。現在の妻、二人の元妻、周囲の取り巻きたち。容疑者が多いが、みなしっかりしたアリバイがあり、捜査は難航する…。いっぽうジェッシイのもとには、またしても前妻のジェンが難題を持ち込んでいた。レイプされ、ストーカーに付きまとわれているというのだ。ウィークス事件との板挟みになったジェッシイは、恋人の私立探偵サニーにジェンの件を託すが…。警察署長ジェッシイ・ストーンと私立探偵サニー・ランドル。巨匠パーカーの二大キャラクターが夢の競演!ますます好調のシリーズ最新作。

ダブルプレ-ダブルプレ-

第二次大戦で身も心も深い傷を負い、ジョゼフ・バークはアメリカに帰還した。妻に去られ、彼はボクサーへの道を歩むが挫折し、やがてニューヨーク市の実力者の娘ローレンのボディガードとなる。だが二人が心を通わせはじめたことを妬んだローレンの恋人ルイスとの争いが原因で、バークはボディガードの職を解かれてしまう。しかし彼は新たに、ある男のボディガードになった。その男とはブルックリン・ドジャースの新人選手で、黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンだった。1947年4月、ロビンソンはデビューするが、予想通りプレー中に悪質ないやがらせを受けた。球場の外でも差別をされたり、脅迫の手紙が届いたりしたが、バークの助けもあって屈することはなかった。だが、やがて事件は起きた。黒人が集まるレストランで、イタリア系ギャングのパグリアと暴力沙汰を起こしてしまったのだ。その場はなんとか治まった。が、この事件が引き金になり、やがてロビンソンとバークは命を狙われることに…。伝説の大リーガーとそのボディガードの友情と闘い。スペンサー・シリーズの著者が新境地を切り拓く話題のサスペンス。

真相真相

母を殺した犯人たちを見つけてもらいたいの-迷宮入りになった28年前の銀行強盗事件で犯行グループに射殺された被害者の娘が、真剣な面持ちでスペンサーに訴えかけた。警察の捜査報告書によれば反体制の革命グループが犯行声明を出していたが、その正体は不明のままだった。やがて政府の秘密機関員だと名乗る男が、スペンサーのもとに忠告に現われた。事件の調査から手を退いたほうが身のためだというのだ。それは、彼がさらなる情報を求めてFBIの支局を訪れた直後のことだった。その後、ガンマンが銃をちらつかせながら、事件に関わらないようにとスペンサーに脅しをかけてくる。28年前の強盗事件の裏に、どんな秘密が隠されているというのか?関係者の多くが口を閉ざすなか、スペンサーが突き止めた苦い真相とは…。パラダイスの警察署長ジェッシイ・ストーンの協力を得たスペンサーが、28年の時を越えて事件の真相に迫る。シリーズ第30作と、パーカーの作家デビュー30周年を記念して、巻末に作家、評論家など著名人による特別アンケートを収録。

笑う未亡人笑う未亡人

一見単純な事件だった。裕福な銀行家が自宅のベッドで射殺され、階下の居間で一人でTVを観ていたと主張する28歳年下の妻メアリが逮捕された。夫婦はその前の晩に衆人環視の中、大喧嘩をしている。周囲の人々は、もともと年齢も家柄も不釣り合いな夫婦だったと証言する。さらには、メアリに夫殺しをもちかけられたが断わったと告白する男までが現われた。誰がどう見ても、容疑者メアリの有罪は間違いなさそうだ。だが、メアリの弁護士の依頼で調査に乗り出したスペンサーは、素朴な疑問を抱く。いくらなんでも、もうすこしましなアリバイくらい用意しそうなものだが…調査にかかったスペンサーには尾行がつき、夫の一族が経営する銀行では不穏な噂があった。事件の背後には、想像以上に複雑な背景があるようだ。やがてスペンサーが真相に迫ったとき、殺し屋の銃口が火を吹いた!無邪気に見える若き未亡人は、有罪か、無罪か?事件の背後に潜むのは、何者なのか?久々にホームグラウンドに戻ったスペンサーが、勝手知ったるボストンの街を疾駆する。

忍び寄る牙忍び寄る牙

刑務所を出たプロの犯罪者マクリンは、塀の中で面白い話を聞き込んでいた。パラダイス港に浮かぶ小島、スタイルズ島のことだ。島には金持ちの高級住宅と銀行があり、一本の橋で本土とつながっている。警備は民間の警備会社のみ。この島を襲い、すべての金品を丸ごと強奪してやろうというのだ。自信満々のマクリンは恋人のフェイに、こう言い放った。「世紀の強盗になるぞ」着々と準備を進めるマクリンは、資金を調達し、凄腕の仲間を揃える。殺し屋のクロウ、爆破屋のフラン、エレクトロニクスの専門家JD、水路に詳しい船主のコスタ。町へ下見に来たマクリンはパラダイス警察の署長ジェッシイ・ストーンを訪れる。たかが田舎町の警察と侮っていたマクリンだが、応対に出た相手にただならぬものを感じた。いっぽう百戦錬磨のストーンも、多忙な日常業務をこなしながら、密かにマクリンに探りをいれはじめる。平和な町に忍び寄る影-二人の対決の日は、目前に迫っていた。ニュー・ヒーロー、警察署長ジェッシイ・ストーンに、強敵が迫る。巨匠パーカーが贈る、男気満載のアクション巨篇。

悪党悪党

一年半前、ペンバートン大学の裕福な白人女子学生が殺害された事件で、凶暴な黒人少年エリスに容疑が掛けられた。州警察のミラー刑事が事件を担当し、当時次席検事だったリタ・フィオーレが新米弁護士マーシイ・ヴァンスに充分な弁護をさせず、エリスを有罪にした。そしていま、大手弁護士事務所に転職したリタが、スペンサーの事務所を訪れ、事件を調べ直してくれという。エリスの弁護人だったマーシイがいまもなお彼の無実を主張しているらしい。再調査のため現地へ赴いたスペンサーは、被害者の両親からも大学の関係者からも、もう解決した事件だからと冷たい対応を受ける。しかし調べていくうちに、被害者のボーイフレンドだった男がタフト大学テニス部主将で、両親が大金持ち、しかも初めは被害者のことを知らぬ振りをしたことから、スペンサーは疑念を抱きはじめる。どうもこの事件には複雑な背景があるようだ。一方、スペンサーは事件から手を引くよう再三脅迫を受ける。いったい誰の差し金か?そして、愛するスーザンにも自分にも警護をつけ、用心していたにもかかわらず、スペンサーはジョギング中に何者かの射撃を受け、瀕死の重傷を負ってしまう。

過ぎ去りし日々過ぎ去りし日々

ハーヴァード大学の犯罪学教授クリス・シェリダンは、同棲していた恋人グレイスと別れた後、半年間アイルランドに行き、自分のルーツを調べた。そして、自分の一族と彼女の一族とが三代前から恐るべき敵対関係にあったことを知る…。ダブリンに生まれた祖父のコン・シェリダンは向こう見ずなIRAの大尉で、「血の日曜日」事件に関わった。イギリス側の警察署を襲った際に負傷し、手当てを受けた先で知り合ったアメリカ人富豪の若い妻ハドリと激しい恋に陥ったコンは、駆け落ちを迫るが、相手のほうは夫と別れるつもりは全くない。拒絶してもしつこくつきまとうコンに呆れ返ったハドリは、イギリス側にコンを密告してしまう。IRAの活動家のなかでただ一人捕らえられたコンは、処刑される寸前に仲間の手引きで脱出に成功、ハドリの裏切りに失意を抱いたまま、アメリカへ渡る。ボストンで警察官になったコンは、敬虔な判事の娘メレンを孕ませ結婚、息子が生まれる。そして十数年後、幼女強姦殺人事件の捜査で、コンはハドリと運命的な再会をする…。1973年に『ゴッドウルフの行方』でデビューして以来26作品を発表、ボストンの私立探偵スペンサー・シリーズ等で人気を博してきたハードボイルド作家が放つ、質量ともに過去最高の野心的大作。これまでの集大成ともいうべき自伝色の濃いエンターテインメント。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP