2008年12月12日発売
英国将校の死体が身につけた“機密文書”の真偽を探れ!無条件降伏を突きつけられたドイツ。ヒトラー最後の望みは、地中海沿岸に上陸する連合軍の返り討ちのみ。枢軸国と連合国、史上最大の欺瞞工作が始まった。時代のうねりに引き裂かれる北都昭平とヴァジニアの愛の行方は?傑作長編、イベリア・シリーズ第4弾。
路考お粂と謳われた水木歌仙の下で踊りの稽古に励むお吉。十三で「歌吉」の名をいただいて五年、ようやく大名家の奥向きで踊りを披露するお狂言師の一座に加えてもらえることになった矢先、嫉妬した相弟子に小鋸で頬に一生消えない傷をつけられる。そんな折、公儀の隠密より姉弟子を探れという密命が…。
生命を礼賛する行為には驚くほどに価値がない、生はどこまでも儚く朧で、死はどこまでも切なく幻だ。そしてそれはただそれだけのものでありそれだけのものでしかなく、むしろそこにそれ以上の価値を見出そうとすることこそが冒涜だ。生きること、そして死ぬこと、その両者の意味を誰よりも理解し、そしてその意味に殉ずることに一切の躊躇がない誠実な正直者、つまりこのぼくは、八月、縁故あって奇妙なアルバイトに身を窶すことと相成った。それは普通のアルバイトであって、ぼくとしては決して人外魔境に足を踏み入れたつもりはなかったのだけれど、しかしそんなぼくの不注意についてまるで情状酌量してはくれず、運命は残酷に時を刻んでいく。いや、刻まれたのは時などという曖昧模糊、茫洋とした概念ではなく、ぼくの肉体そのものだったのかもしれない。あるいは、そう、ぼくの心そのものかー戯言シリーズ第五弾。
「わたしは、情報員である前に人間でありたい」。第二次世界大戦下のスペイン・マドリードで、敵同士ながらも愛し合う北都昭平とヴァジニア。二人をつけ回すゲシュタポ将校ハンセン兄弟の魔の手。二人はその愛を全う出来るのか。そして和平への糸口を見つけ出せるのかー。愛と諜報の壮大な歴史サスペンス。
「筋のとおった話は虫が好かねえ」旗本の三男に生まれ、先祖も父も「ばか者」と切り捨て家を出た、岡っ引・半介が活躍する表題作。凶作に苦しむ村人を尻目に米をたらふく食らう村役。それに腹を立てた村の男は、驚きの復讐法を考えた「口増やし」他、全7編。
将軍家斉の御台所茂姫の輿入れから八年。時ならぬ外様薩摩からの大奥女中お抱えの報せに、奥右筆組頭 立花併右衛門は不審を抱いた。禁制の密貿易発覚を恐れる薩摩藩は、併右衛門暗殺に奔る。護衛役の柊衛悟を襲う無敵を誇る示現流の猛者たち!幕政の闇を衝く人気シリーズ第三弾。
奇怪な儲け話をひっさげて、今日も僕を引きずり回すユークリッジ。ペキニーズを大量に集めて「犬学校」を開校し、無敵のボクサーのマネージャーに就任などなど、大儲け間違いなしだぞ友よ、我輩を信じたまえ!とぶちあげる計画は、毎回、華麗に破綻する。真っ黄色のコートに針金で修繕した眼鏡の怪人・ユークリッジの詐欺スレスレ(というか詐欺)の活躍。巨匠のプロットの冴えとコメディ・センスが全面展開するシリーズ、ここに堂々開幕。