2009年6月30日発売
我が子の相手探しに結婚セミナーに奔走する親たち、その切実な願いを軽やかにひっくり返す息子&娘たち…。さらには事態を混乱させる小悪魔少女や謎のストーカーも絡んで事態は思わぬ方向へ-。
初めてだった。男から、そんな目で見つめられたのはー。家族を置いて家を出た母が死んだ。葬式で母の恋人と出会った「私」は、男の視線につき動かされ、彼の家へ通い始める。男が作ったベーコンを食べたとき、強い衝動に襲われ…表題作ほか、人の心の奥にひそむ濃密な愛と官能を、食べることに絡めて描いた短編集。単行本未収録の「トナカイサラミ」を含む、胸にせまる10の物語。
運動も勉強もできず、落ち込みがちな高校生の勝。運動音痴から「うんちゃん」とあだ名され、同じ高校に美しい妹が入学してからは変に目立って、ますます死にたい毎日。そんな中、詩を書く柔道部の男子と親しくなり、彼の幼なじみである、髪の長い女子柔道部エースに恋してしまう。なぜか運動部にも入部するハメになり、学校生活は予想外の方向へー。笑えて元気が出る青春小説。
自分の才能を信じて夢を追うのか、それとも今このままの現実を生きていくのかー。画家になりたいという一途な想いを抱きながらも、家族の生活を支えるために、漁師という過酷な労働に従事しなければならない青年・木本。圧倒的な北海道の自然のなかで、「いかに生きるか」という青年の深い苦悩を描き切った傑作小説。著者の作品と人生を読み解く文庫オリジナルのブックガイドも収録。
第一次大戦後のパリ、そしてスペイン。理想を失った青年たちは虚無と享楽の生活に明け暮れる。釣り、祭り、闘牛、おしゃべり、明るい南国の光の下でくりひろげられる“失われた世代”の青春の日々。果てしない祝祭の日々は、いかなる結末を迎えるのか。彼はこの原稿を二十六歳の誕生日にスペインのバレンシアで書きはじめた。ハードボイルドタッチで若者の代弁者と喝采を浴びた初期の代表作。
原爆戦争勃発!イギリスから疎開する少年たちを乗せた航空機が、南太平洋の孤島に不時着した。戦争をよそに豊富な食糧に恵まれた無人島は大人のいない楽園にみえたのだが…。内部抗争から凄惨な闘争へ、漂流する少年たちは心の底にひそむ野性にめざめ、無益な殺戮をくり返す。極限状況のもとで獲得した新しい秩序とその崩壊をとおして、人間と社会のあり方を諷刺的に描く衝撃の名作。
曾孫よ、100年の謎を解いておくれ!大正4年、ホノルル。日系人御用達のホテル・白木屋に宿泊していた大富豪の美しい若妻・リヨが、海岸で謎の死を遂げる。その指からエメラルドの指輪が消えていた。リヨに憧れていたホテルの奉公人・直吉は必死に真相を探るが、わからずじまいに終わる。平成20年、横浜。直吉の曾孫にあたる大学生の慶一が、ネット・ショップでエメラルドの指輪を目にする。それは、曾祖父の遺品のガラス玉の指輪とそっくりだった…。ホノルルに実在したホテルを舞台に、ハワイ移民の秘話も盛り込んだ意欲作。
商談先で聞いてはならない会話を耳にしたことにより命を狙われる優司。敵なのか味方なのか…異国の血を引くアレクセイに助けられたのはいいが、命の保障と引き換えに求められたのは優司の身体だった…。アレクセイの愛撫に身体は堕ちても心まではと殻に閉じこもる優司だったが、彼を慕う人々に触れ…彼の過去が心の傷となっていることを知り、戸惑いながらも次第に…。エキゾチック監禁愛。
ヨーロッパの小国・アスレイノ。父親が日本人という異端児ながらも王宮警備軍に配属された玲は第二王子のエヴァンに気に入られ、半ば強引に王子つきの護衛官に…。聡明で人望もあるエヴァンだったが、玲に対しては子どもじみた執着を見せ、無理やり躰の自由を奪って抱く。弄ばれているだけなのに…玲には逆らうことも憎むこともできず…。そんな折、第一王子の執務室が爆破され…。強奪ロイヤルラブ。