2013年9月27日発売
平凡なサッカー部員である日下駿は、夕暮れの喧騒の中で、クラスメイトの少女、七吹奏がビルの屋上から飛び降りようとしていることを知る。急いで奏のもとに駆け寄る駿だが、彼女は「本当の私のことを覚えておいて」と意味深な言葉を残し、飛び降りてしまう。ショックを受け、引きこもる駿だが、ある日、自らを「奏」と名乗る少女がパソコンの中に現れー。失われた奏の夢を叶えるため、立ち上がる駿を待ち受ける真実とは!?
小学校の理科準備室に閉じ込められた私。ホルマリン漬けの瓶に入った“あの子”が、一晩中お話をせがんできて(「おはなしして子ちゃん」)。「私の近くにいるとみんなろくな目に遭わない」黒髪の転校生トランジの言葉を裏付けるように、学校で次々に殺人や事件が起きて…!?(「ピエタとトランジ」)。14歳の夏、高熱を出した美少女エイプリルは、後遺症で一日に一回嘘をつかなければ死んでしまう体になってしまって(「エイプリル・フール」)。キュートで不気味、残酷だけど愛しい、恐るべき才能が炸裂する10篇の「おはなし」。ポップ&ダークな小説集。
月の地下交通トンネル、火星の与圧ドーム、水星の射出軌条、木星の浮遊工場…太陽系の開発現場で前例のない事故が起こるとき、現場の技術者たちは知恵と勇気で立ち向かう。ハードSFファン待望の“宇宙土木”シリーズ、第1話「コペルニクス隧道」が発表されてから四半世紀を経て、大幅改稿とともに誰も想像しえなかった驚愕の書き下ろし最終話を得て、ついにその壮大な物語が全貌を現す。
シロアリをヒーローやヒロインに仕立て、変形譚を縦糸に、ウィットを横糸に物語を織り成し、その他かずかずの動物や昆虫を登場させながら、国家の虚構性、あるいは政治のウソに真正面から迫った長篇イソップ物語!本書は、長篇童話「丘蟻一族」とその続篇「天馬降臨」に加え、これら二作品の解説ともいえる著者の講演録「なぜ童話を書くのか」によって構成される。
夏風邪がもとで体調を崩し、ご主人様である妖魔・司野とともに山間の小さな宿で静養するハメになった正路。ようやく回復してきた頃、正倉院から二つの宝物が盗まれるという事件が…。どうやらそれには宿敵カギロイが絡んでいるらしいと判明した夜、正路を手酷く抱いた司野は、「決して俺を捜すな」の言葉を残して姿を消した。役立たずな自分を責める正路。だが、どうしても司野の傍に行きたくて…。