2014年10月10日発売
若き旗本・高槻宗一郎には、表裏二つの顔がある。表の顔は、大奥へ至る裏門を護る切手番頭。そして裏の顔は、松平伊豆守信明の私的な密偵ー。時は天明。幕政は田沼派と反田沼派の抗争で混迷を深めていた。争いの渦の中で翻弄される宗一郎は、十代将軍・家治に、思いがけない奇妙な拝謁を賜る。しかしこの出会いが、新たな波乱を巻き起こす!
旗本家の次男・角次郎は、縁あって舂米屋に入り婿した。不作の中で、何とか米の仕入れを行うべく、水運盛んな関宿城下へ向かった角次郎だが、関宿藩の藩米横流しの濡れ衣で投獄されてしまう。角次郎を救うため、新妻のお万季が取った行動は…!?妻と少しずつ心を重ね、家族一丸となって、米屋を再興していく物語。
江戸にふたりの男がいた。一人は大名家江戸詰めの武士・柊虎之介兼信。もう一人は橘隆志郎、用心棒のまねごとをして日銭を稼ぐ浪人である。歩む道が決して交わらぬはずのふたりだったが、一つの事件が彼らを出会わせてしまう。大名笠原家の落胤新伍を巡る謀略、そしてそれを隠れ蓑として蠢く陰謀を、ふたりの侍が斬るー。
私立探偵フィリップ・マーロウのオフィスを一人の優美な女が訪れた。その名はクレア。髪はブロンドだが、瞳は黒色という珍しい取り合わせだ。香水会社を営む裕福な一族の出だという彼女は、突然姿を消したかつての愛人を探して欲しいと依頼する。マーロウは、なぜ自分にと訝りながらも、この美しい女の依頼を受けて調査を始めた。それが忘れがたい過去と再び向きあう契機になるとは知らず…。英文学最高峰のブッカー賞受賞作家ジョン・バンヴィルが別名義で挑んだ、チャンドラー『ロング・グッドバイ』の公認続篇!
“泥沼の家”と呼ばれるその部署は、英国情報部の最下層だ。不祥事を起こした部員はここに送り込まれ、飼い殺しにされるのだ。若き部員カートライトも訓練中のミスのせいでここに放り込まれ、連日ゴミ漁りのような仕事をさせられていた。もう俺に明日はないのか?ところが英国全土を揺るがす大事件で、状況は一変した。一か八か、返り咲きを賭けて“泥沼の家”が動き出す!英国スパイ小説の伝統を継ぐ新シリーズ開幕。
何千年ものあいだ、石と嵐の世界ロシャルは全能神から遣わされた十人の使徒により守られてきた。だがその彼らも“無をもたらすもの”との終わりなき戦いに力つき、あとには人類を見捨てた“光の騎士”伝説と、破片剣と破片鎧という武器だけが残された。そして4500年後…アレスカル国とパルシェンディとの同盟締結を祝う宴の夜、サージ結束者にして破片剣の使い手“白き暗殺者”によって国王ガヴィラルが弑されてのち、ロシャル全土は血で血を洗う新たなる激動の時代に突入した!ホイットニー賞、デイヴィッド・ゲメル・レジェンド賞に輝く、壮大なスケールのファンタジイ絵巻、開幕!
小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、築ウン十年、全六室のぼろアパート木暮荘。そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の四人が、平穏な日々を送っていた。だが、一旦愛を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった…。