2015年1月発売
「赤壁の戦い」-曹操率いる八十万もの大軍を、“奇門遁甲”によって潰走させた軍師・諸葛孔明。そのおそるべき力に対し、曹操がとった奇策こそが、倭国の女王・卑弥呼の召喚だった!邪馬台国女王の正体とは?卑弥呼が操る“鬼道”とは?三国志の英雄と、日本史最大の謎ともいうべき卑弥呼との直接対決の行方はいかに。同時代に生きた二人の異才が壮大なスケールで繰り広げる、奇想天外な長編歴史小説。
宝永四年の富士山大噴火。それは、冨士浅間神社の鳥居の笠木だけが、辛うじて積砂の上に残るほどのものだった。突如起こったこの災害により、貧しくも平和な生活は一変する。灰に埋まった先祖代々の田畠、生活に困り逃散する人びと、積砂により幾度も氾濫する川ー。亡所の危機に瀕した故郷を守るために立ち上がった農民たちに対して、幕府の対策はあまりにも場当たり的なものだった。復興までの長く険しい道のりを、それぞれの立場で闘った人びとを描いた、著者渾身の歴史長編。
受験を控えた高校生の真希雄は翻訳家の母と二人暮らし。ある日、自分宛に届いた一冊の謎の雑誌ー『人妻熟女・緊縛調教館』。そこには淫らで艶麗な饗宴が繰り広げられていて…。それがきっかけとなって真希雄と母、ひろ子との禁忌すれすれの倒錯秘戯の日々が始まった。一方、同じ頃、ひろ子はある下着の訪問販売にすっかり心を奪われていた。知らぬ間に二人を生贅にする罠が張られているとも知らず…。最高傑作の誉れ高い館淳一、渾身の逸品!
大学教授の夫が大学教授の妻を殺害?殺されたとされる史学教授のサンドリーヌ、彼女はその誠実さで誰からも慕われていた。一方、夫の英米文学教授サミュエルは、自身の知識をひけらかし周囲をいつもみくだしていた。彼は無実を訴え、証拠も状況証拠にすぎなかった。しかし町の人々の何気ない証言が、彼を不利な状況へと追い込んでゆく。やがて、公判で明らかになるサンドリーヌの「遺書」。書かれていたのはあまりに不可解な文章で…妻と夫の間に横たわる深く不可避な溝を、ミステリアスに描き出したサスペンス。
文学部の女子大生のアナスタシア・スティールは、若き実業家クリスチャン・グレイをインタビューすることになった。恋の経験のない世間知らずなアナは、ハンサムで才気あふれるグレイに圧倒され、同時に、強く惹きつけられる。グレイもアナに好意を持っている様子で、ふたりは急激に近づいていく。しかし、彼にはある「ルール」があった…。世界的ベストセラー三部作、第一弾。
グレイの豪邸を初めて訪れたアナに差し出された、二通の契約書。それには秘密保持義務と、彼とつきあう女性が守るべきさまざまなルールがそれぞれ定められていた。食事、服装、エクササイズの方法から、信じられないようなセックスの詳細まで。普通の恋人同士になることを夢見ていたアナは大きなショックを受け、苦悩する。それでも彼女はグレイを拒むことはできなくて…。
グローバル企業の経営者として成功して巨万の富を築き、愛する家族にかこまれたグレイ。だが、その灰色の瞳の奥には、過去に苛まれ、周りを支配せずにはいられない傷ついた男がいた。グレイとの大胆で情熱的な関係に乗りだしたアナは、その隠された彼の苦痛と対峙し、さらに自分自身の暗い欲求とも向き合うことになるが…。大型映画化の原作、文庫化。
診療所の留守電に「殺される」という女性からの伝言。不吉な言葉を残し行方をくらました女性を捜してー友人の医師から頼みを受けた私立探偵ヴィクは、消えた女性ジュディの複雑な家庭事情を知る。彼女は家出後ろくでもない男と出逢い、薬に溺れた。ジュディにも希望の星があるはずだった。最先端企業で働く息子のマーティンだ。だが、彼も姿を消したことがわかり…家族関係の中に隠された闇にヴィクが鋭く切り込む!
名探偵エルキュール・ポアロは友人であるミステリ作家のオリヴァ夫人から、田舎の屋敷グリーンショアに呼び出された。祭りの余興である犯人探しゲームで、何か不穏な事態が起こりつつあるようだ。なんとか事件が起きるのを防いでほしいー原稿が完成しながらもある事情から発表されず、近年になって発見された幻の中篇がついに登場!
アンブラッセという言葉を教えてくれたのは、相沢さんだった。フランス語で「抱擁する」という、その意味もー(『めぐりあいて』)。身体と心が記憶する、快哉。いまなお疼く思いに身を焦がしながら男は、そして女は生きる。大人の渇きを潤す、傑作短篇集。
転地療養の船旅に出た中年の作家ピンフォールドは、乗船早々、どこからともなく聞こえてくる騒々しい音楽や怪しげな会話に悩まされる。声はやがて作家の悪口となり、さらには襲撃計画まで…。姿なき敵に翻弄される小説家の悪戦苦闘を皮肉なユーモアをまじえて描いたウォー晩年の傑作を、吉田健一の名訳で贈る。
念願叶って、ついにアガサはハンサムな隣人ジェームズとの結婚にこぎつけた。ところが式の最中に「中止しろ!」と叫ぶ声が。なんと、酒浸りでとっくの昔に死んだ(とアガサは自分に言い聞かせていた)はずの夫ジミー・レーズンが現われたのだ!赤っ恥をかかされた新郎ジェームズはアガサに激怒し、結婚式は即刻中止。アガサにとって悪夢のような一日が明けた翌朝、驚くべきことにジミーが村のはずれで遺体となって発見され、真っ先にアガサとジェームズが警察から疑われた。二人は嫌疑を晴らすため、やむなく協力して犯人捜しをすることに。皮肉にも「夫婦」と偽って潜入捜査しなければならない状況にもめげず、アガサたちはジミーがかつて出入りしていたという、彼には不釣り合いなほど高級な健康施設で手がかりをつかみ…!?
江戸の新興道場・北辰一刀流玄武館の千葉周作は名門・中西道場の重鎮から極秘の依頼を受けて、門弟の平手造酒に高柳又四郎の監視を命じた。撃剣の天才“音無し剣”の遣い手と称される高柳又四郎には、世に知られてはならない秘密があったー。名だたる剣豪が覇を競う撃剣の世に、瞬速無音の剣が閃く!
御赦免で江戸へ戻った流人が、殺し屋に襲われた。事件に当たるのは、町方与力の今井映之進。かつては仕事熱心だったが、最近は刻限が来ると同僚が仕事をしているのを横目にさっさと帰宅してしまう。若手の映之進に目をかけていた上司の筆頭与力・盛伊三郎は、映之進の不真面目な勤務態度に業を煮やして、映之進の家に押し掛けるが…。
芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」から戦後文学の金字塔といわれる「抱擁家族」までの十年間の短篇作品を精選。この間、アメリカ留学、家の新築、妻の手術、妻の死、再婚と、著者自身へもめまぐるしい「事件」が生じ、“関係”をめぐるドラマが主題となる。見知らぬ男からの一方的な関係、監禁という関係、友人のなかにいる異質な友との関係、友人と妻との姦通…。「抱擁家族」へとなだれ込む、貴重な短篇集成。
「かわせみ」の若者たちに訪れた転機。結婚前の不安や憂鬱を乗り越え、無事に祝言を挙げた千春。そして麻太郎には新たな旅立ちがー。「明治のかわせみ」第五弾。
浮気相手との間に子まで生した夫との縁を切り、実家に戻っても居場所がなかったおこう。器量が逆に災いして奉公先を次々に変えるも、容色を武器にすることをきっぱり断るお島。嫁をいびり追い出したと噂されるお久米。妾奉公を自ら望んでやってきたお雪。あらぬ盗みの疑いをかけられた女中頭のお徳ー。人と人との縁を結ぶ「三春屋」で女たちの運命は変わってゆく…著者3年ぶりの傑作最新刊!名手の紡ぐ江戸の人生模様。
警視庁暗殺部のトップ・菊沢義政は第三会議の要請を断固として断った。新設された国際的労働機関の闇を巡る実態調査という事案は、存在が絶対に公になってはならない暗殺部を表舞台に晒す危険が余りに多いのだ。どうやら政府中枢の圧力らしい。同じ頃、日本でも優秀な技術者たちが失踪する事件が頻発していたー壮大なスケール、上下巻の迫力で贈るシリーズ第3弾!
ドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルク。彼は万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、文字のひとつひとつにも色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。被害者の居場所を吐かせようとする捜査官に強要され、彼は殺害を自供する。殺人容疑で起訴されたエッシュブルクを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪かー。刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。ドイツのみならずヨーロッパ読書界に衝撃をもたらした新たなる傑作。