2015年9月発売
五人組による、暴力団大越組襲撃事件から19年。大越組の若頭の遺児・勇人は母を支えながらまっとうな人生を歩み、組長の遺児・大輔は壊滅した大越組再興の夢を抱いていた。事件を追う謎のルポライターの出現とともに、遺された者たちの歯車は大きく軋み始め、GONINの血と宿命に抗う新たな闘いが幕を開けるー。日本映画界を席巻した傑作「GONIN」の待望の続編。鬼才・石井隆監督自身による初の書き下ろし原作小説。
美しい少年の人形を夜ごと愛撫する女。夢によって浸透された存在になっていく現実の少年。奇妙な透明感と、夢と現実の交歓。高橋たか子の独特な神秘主義を端正な文体で感覚的に描く幻想美の世界。男女の恋愛の、より深く深くと求めた内部の実在を鮮やかに浮かびあがらせた、華麗なる三部作。
ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。
銭湯で起きた殺人の謎を解くデビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。男が死んだはずの友人とすれ違ったことに端を発する、幻想的な冒険譚「火葬国風景」。国民を洗脳・支配する独裁国が辿った、皮肉な末路を描く歴史的名作「十八時の音楽浴」など11編に、エッセイを収録。日本SFの先駆者にして、唯一無二の科学的奇想に満ちた作品を描いた著者の真髄を示す、傑作短編集。
寂れゆく松保商店街に現れた若きリーダー図領。悪意に満ちたクレーマーの撃退を手始めに、彼は商店街の大改革に着手した。廃業店へ若い働き手を斡旋し、融資制度を立ち上げ、さらには街の自警団「未来系」が組織される。ほのかに希望の光が差しはじめた商店街に、誰もが喜ばずにはいられなかったのだが…。雑誌掲載時より話題沸騰、著者最高傑作!!
実話怪談の姿をした七つの怪異譚が、あなたを戦慄の世界へ連れていく。薄気味の悪い男が語る夜毎の恐怖(「夢の家」)、廃屋から人形を持ち帰ってしまった私の身の上に次々と…(「ついてくるもの」)、同居人の部屋から聞こえる無気味な物音の正体は…(「ルームシェアの怪」)。“取り憑かれる”ホラー短編集。
神隠し伝説が残る田舎の高校に転校してきた徹は、孤高の少年・大地に誘われ廃部寸前の地学部に入る。他人と交わらず天狗と言われて敬遠される大地に徹は惹かれるが、大地には秘密があった。それは不思議な石から人の記憶を読み取る力だ。大地は初めて秘密を徹に打ち明ける。
すべての探偵行為を禁止する法律が成立した日本で、探偵を目指す17歳の空閑純は、失踪した母親が消息を絶った九州の深影村を訪れる。そこで母の手がかりを見つけた矢先に隣村でテロが起き、村に通じるトンネルが破壊される。孤立した村で連続殺人事件が発生し、純は探偵として恐るべき狂気と対峙する!「探偵ソラ」シリーズ第三作。
修業中のパティシエ・里菜の元に、親戚だという少年が現れた。彼と出会った夜、父が殺され、実家の洋菓子店が火事になり、素行の悪い兄が帰還した。捜査を始めた警察官、深津は言う。「君の家族には大きな秘密が隠されている」。すべての謎が明らかになるとき、里菜に送られるエールとは。感涙のミステリー。
繁華街のカラオケボックスに集う四人の男。めいめいに殺意を抱えた彼らの、今日は結団式だった。目的は一つ、動機から手繰られないようターゲットを取り換えること。トランプのカードが、誰が誰を殺るか定めていく。四重交換殺人を企む犯人たちと、法月警視&綸太郎コンビの、熾烈な頭脳戦をご堪能あれ!
父と兄を謀略で失い、祖国・楚に復讐を誓いながら呉に逃れた伍子胥。呉の公子光の客人となった伍子胥は、孫武に兵法の協力を仰ぐ。その労ゆえ、公子光は二倍の兵を率いた楚に勝利するも、呉王に命を狙われることにー。〓(せん)設諸との再会と別れ、笵蠡との出会い、黄金の楯。大河中国歴史小説、伍子胥篇のクライマックス!
事務所に来ない。最愛の婚約者との挙式の相談もすっぽかした。天才弁護士・百瀬は、青い瞳をした女性国際スパイの強制起訴裁判にかかりきりになっていたのだ。それはまさか、幼い百瀬を置き去りにしたあの人?百瀬によって幸せをつかんだみんなが彼の力になろうと立ち上がる。人気シリーズ、涙の完結!
兄が生前に言い残した「この世のものとは思えないほど美味しい料理」は、いちばんあの世に近い「精進料理」ではないか。魚之進が探りを入れた精進料理屋で得た情報は、幕府禁制の食材絡みの料理だった。それは兄の死とどう関係があるのか。「恐ろしくうまい」という評判の珍料理の正体とは?
江戸焼失は寸前で回避されたが、強大な怪異は幕府をも揺るがし始める。神隠しの古井戸を怪異の地下通路「龍穴」と睨んだ平賀源内は、幕府によって始末されていた。権勢を振るう老中と、怪異による世の乱れに乗じて復讐を企む将軍家跡取りの争いに、類い稀な妖力を持つ半四郎は巻き込まれる。怪異が招く乱世。「怪異出現編」完結!
幸福寺の小さな本屋さん「アロワナ書店」。三代目のハッコウは店長とは名ばかりで店内をぶらぶらするばかり、ともに育ったいとこの昼田はIT企業に勤めていた。しかし正月早々大事件が起き、書店は存続の危機に。昼田とハッコウは、二人でゆっくり立ち上がる。自分と世界のつながりを考える、著者渾身の長編。