2021年7月発売
ある日、名香子は夫の良治に連れられ、都立がんセンターに行った。肺がんの診断を受けた良治は、好きな人ができたのでその人と治療をすると一方的に告げ、その場を立ち去った。呆然とする名香子だったが、事態は“蝶の羽ばたき”のように思いもかけぬ方向へと進んでいくのだった。コロナ禍の家族小説。
シャーロック・ホームズの翻訳者だった父が倒れ、四姉妹の末っ子リブロは家族の歴史をたどりなおす。時空を超えて紡がれる、風変りでいとしいファミリー・ストーリー。
大火からの復興の要として照降町の人びとの支えとなっている周五郎だったが、小倉藩の派闘争いの中、実兄が暗殺される。藩の行く末と町での暮らしの間で揺れる周五郎、その周五郎がいずれ去ることを覚悟する佳乃ー。勇気と感動の物語、ついに完結!
あなたの心で鳴っている音に、あなたは、きっと気づいていない。島を出て行った初恋の人を想い続ける郵便屋さん、音楽を捨てて都会からやってきた元ミュージシャン、島の神様の声が聞こえるババ様…彼らの心にはどんな音楽が?人の心に流れる音楽が聞こえる、風変わりな店主が、南の島の小さな店で、お待ちしています。感動の涙、再び。
長年の目標だった、長編小説をついに書き上げた。しかしー眠る妻の枕元に、原稿を置いた。気づいてもらえない。芸術家になった後輩を呼び出した。逆に、彼の作品の感想を求められる。仕事仲間のディレクターに的を絞った。仕事の悩みを相談される。初恋の女性から連絡がきた。お願いする前に、“お願い”された。誰かに、読んでほしい。誰でもいいから、読んでほしい。読んでほしいだけなのに!誰に会っても、自分の話を切り出せない。気づくと、相手の話を聞いてばかり。はたして、この小説は、誰かに読んでもらえる日が来るのだろうか!?
1964TOKYO。戦後復興を遂げた日本、抜けるような青空のもと、オリンピックが開かれた。大学生の葉子は恋をしていた。相手は学生運動のリーダーで、故郷に婚約者がいた!告白か、断念か、募る想いに苦悩する葉子、恋の行方は…。
パリの片隅に日本人留学生の集まるアパート「達磨館」があった。そのヌシ的存在である松岡範平は国粋主義的人物で、隣の部屋に住む中上川亘は国際主義者。範平に義理がある中上川は波風立てないようにしているが、自分の考えを押しつけようとする範平には辟易していた。そんなある日、中上川が川に身を投げようとしていた若いフランス人女性を助けてきて同棲を始めてしまう。夜な夜な漏れてくる甘美な物音に、範平の怒りは頂点に達するがー。1920年代にパリに留学した経験から書かれた「達磨町七番地」のほか、映画化もされた二人の若者の悲喜劇「青空部隊」、デパートの女性店員たちの恋愛模様を描いた「青春売場日記」など、戦前に書かれた5作品を収録。
幕末、小倉で質屋を営んでいた高木商店の跡取り息子・友之丞は、「異人に、おくにをけがされて、たまるか」という思いで奇兵隊に入隊。隊の「勤王、殉忠報国、攘夷、四民皆兵」という思想に感動し、以来、それが高木家の家風となっていく。その長男・友彦は陸軍士官学校を経て日露戦争に従軍するものの、病気がちで戦闘には参加できなかったので、息子・伸太郎の陸軍入営には万感の思いを抱いていたー。『麦と兵隊』など「兵隊三部作」で知られる著者が、自らの軍隊生活と従軍作家としての経験をもとに活写した、ある一家の三代、約七十年にわたる壮大な物語。
御堂関白・道長に連なる藤原北家ながら傍流の御子左家は、出世レースではパッとしない家柄。当家の次男に生まれた藤原定家は、難聴を克服し、親友の藤原家隆らとともに『新古今和歌集』の選者を務めるなど、歌壇で頭角を現す。幕府に押され気味の朝廷権威を回復したい後鳥羽院は、そんな定家に、将軍・源実朝に京への憧れを植え付けるため和歌を指南せよと命ずるが…。史実をきらびやかに描きながら「百人一首」の謎を解き明かす力作長篇。
一生に一度だけ、神から授けられる特別な武器『神器』。強い神器を手に入れれば冒険者になる道が開けるが、英雄に憧れる少年ラストに授けられたのは、誰が見ても最弱なハズレ武器「さびついた剣」だった。しかしある日、ボロボロの剣がトンデモ性能の「呪われた魔剣」に進化!さらに敵の神器を吸収できて…!?どんどん強くなる最強武器を相棒に、英雄への道を駆け上がる大逆転ファンタジー、開幕!
冒険者育成クランの家事担当として、チートな能力を無駄遣いしながらスローライフを満喫中の悠利。そんなある日、指導係の一人、ジェイクの師匠から別荘への招待を受ける。書庫で見つけたレシピに触発され錬金釜で規格外の「髪染め薬(特殊容器仕様)」を作ったり、見学で訪れた人工遺物の「現し身の間」で何故か自分そっくりな現し身におもてなしされたり…。もやしやレタスを使ったヘルシー料理を作りつつ、相変わらず無自覚で色々やらかす第13弾!!
神々と一緒に旅した西方緒国を離れ、樹海迷宮の「中」にある要塞都市アーカティアを訪れたサトゥーたち。そこで出会ったのは、ルルに瓜二つの超絶美少女ロロだった。彼女が営む店を手助けしながら迷宮攻略に向かうが、今回の修行ではアリサたちの提案でサトゥーは手を出さずに見守ることに。サトゥーが新アイテムを開発したり、若旦那に間違われたりしている間に、迷宮では怪しい動きが起こっていて…?ほのぼの異世界観光記二十三巻、新たな迷宮を攻略開始!
周囲の応援や精霊王の寵愛を受け、アトリエオープンという夢を叶えたデイジー。美味しいパンに高品質なポーション、唯一無二の品揃えは冒険者から貴族までみんなを虜に!しかも「鑑定」スキルも謎の進化!?チーズやマヨネーズを作ったり、錬金術の師匠とものすごい合金を生み出したり、同じく精霊王の加護を持つ鍛冶職人の女の子と友達になったり…モノづくりもますます満喫中!そんな中、素材採取の冒険で「ある場所」に迷い込みー?