2022年10月15日発売
観光で松本を訪れていた男が、泊まっている宿の名前も場所もわからないと、交番に保護された。自分の名前すら思い出せないという。その男に放火の容疑がかかった。市内の住宅街で白昼起こった火災現場近くの防犯カメラによく似た男が映っていたのだ。松本署・道原伝吉の捜査の結果、静岡市清水区に住む味川星之助と判明するが、味川は認知症を発症しており何も覚えていないという。やがて、日本平で味川の刺殺体が発見され、事件は予想外の展開を見せ始めた…。会心の書下し長篇旅情推理!
気がつくと、酒と女性と言葉に淫し、まだ書けることに豊かな生を見出すようになっていた。文章を磨くことは、ふさわしい言葉をみつけてふさわしい場所に置き、美しい流れを作ることであった。書くこと自体が彼の中では大いなる冒険であった。書くことへの飽くなき飢えを貫いたひとりの男の物語。
「すごいな、ラビ!新しい力を使えるようになったんだ」ダグラスが最盛期の力を取り戻したことに加え…養女のラビが魔法の特殊能力に目覚めた!?しかし、最強の親子を召し抱えようとするリース王国に軟禁されてしまう。自由な暮らしを望み固辞するダグラスだが、国王は諦めようとしない。「…俺とラビを引き離す、だと?」さらにラビが人質になる恐れまで出て、怒ったダグラスは行動を開始する。かつて交流した仲間の協力を得て、王宮中を巻き込んだ大脱走を敢行!!「ラビ、しっかり掴まっていてくれ!!」ダグラスとラビは、二人だけのスローライフを取り戻すことが出来るか?
末期がんで苦しむ母の看病、妻との離婚を目前にし、幼いころの父の死が亡霊のように付きまとうヨンム。夫とはすれ違い、愛を渇望するも満たされず、若い男とのひとときの恋に走るヨンムの妻・ヨジン。貧困の連鎖から逃れられず、社会に出てもバイトを転々とし、恋人との環境の違いに悩むヨンムの部下ソジョンの物語とが交錯する。「甘ったるい春夜の空気を物悲しく」感じる人々のストーリーは不幸という共通分母の中で一つになり、三人の人物が感じる「静かにうごめく喪失感」が小説の根底に流れている。それぞれがその喪失感を乗り越え、成長していく四月の物語を、やさしい視点で描き出す。
十一代将軍家斉の徳川幕府爛熟の時世に、こともあろうに中山道の大宮宿に「ラスベガス」が出現した。公儀にとっては由々しき事態で、一刀流免許皆伝である青年旗本・桂主水介が歓楽の驕りを成敗するべく大宮宿に立ち向かった。