2024年7月発売
フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。容疑者は「四つ首城」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?時代の濁流が兄弟の運命を翻弄する。
険しい山々に抱かれた花蓮の町の近くで、あたしの級友の真子さんは原住民の青年ハロクに恋をしたのよー日本統治下の東台湾で生まれ育った亡き母が、一人娘の琴子に語った古い恋物語。そのどこまでが真実だったのか?戦前の台湾と戦後の日本を生きる人々の歩む道と思いが交錯する幻惑に満ちた文芸長篇。
百年前の戦争の苦しみと哀しみ、歴史に埋もれた声がよみがえる。セネガル歩兵のアルファは、瀕死の友をまえに決断を迫られていた。第一次世界大戦でフランスに動員された20歳のアルファと同郷の友マデンバ。対ドイツ軍の塹壕戦で、マデンバは死に瀕していた。腹を切り裂かれた苦しみは凄まじく、一思いに殺してほしいというマデンバの懇願に、アルファはー。この日を境にアルファは変わった。ドイツ兵を捕らえ、腹を引き裂き、苦しむ相手を殺してやり、手を切り落としてゆく。仲間からは英雄扱いされるものの、持ち帰る手が増えるたびに、恐れられていった。それでもアルファの復讐は止まらずに…。戦争という極限状況におかれ、人間性と非人間性、服従と自由に引き裂かれてゆく青年の心理を鮮烈に描き出す、新たな戦争文学の傑作。ブッカー国際賞、高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。フランスで25万部突破。
「友おじさん、どうして人は色とかお金とかに目がくらむの?」「人はいつだって、今の人生をとにかく変えたいと思ってるからだよ。」目に見えないものが見える中学生のキヨカと、近所に住む友おじさんの、ささやかだけれど大切な連帯。暮らしの哲学が詰まった最新長編!
中高生に人気のベストセラー小説『君と、青宙遊泳』。それは、高校教師・卯之原朔也がかつて封印した物語に酷似していた。今は亡き高校の同級生・日邑千陽と過ごした7年前の夏、あれは「僕たちだけの物語」だったはずなのに。覆面作家ルリツグミの正体を探る卯之原の前に、当の本人が転校生として現われるー。
中学校には馴染めず、厳しい母親に叱られ家庭でも居場所がない。夏子は日々を無気力に過ごしていた。心の支えは、妹のチイちゃんと共にお話を創ることと、チイちゃんの推しのアイドル・羽猫くんの動画を一緒に視聴すること。しかしそんな様子を見かねた母親は、夏子が目を背けてきた「現実」を突き付けてくる。さらに羽猫くんが活動を休止してー。すべてを失った夏子は、巡礼の旅に出る。喪失を知った少女の再生を描く、ひと夏の奇跡をたどる青春小説。第12回ポプラ社小説新人賞奨励賞受賞作。
目が覚めるとそこは孤島の廃病院だった。いまだ朦朧とする意識の中、集められた男女に次々と打たれていく注射。その中の1本に、生きている人間を、人肉を食べなければ死ぬ化け物=屍喰鬼に変えてしまうウィルスが!運営の目的すら分からぬまま地獄のゲームに放り込まれる参加者たち。ゲームの期間は7日間。1日1回、裁判が開かれ、グールだと思う者を多数決で決めて処刑する。予想が当たれば参加者の勝ち。だが、外れれば罪なき者が処刑され、その夜は誰かがグールの餌食となる。1人、また1人と消えていく参加者たち…。果たして、グールは誰なのか?クセモノ揃いの31人。出口なき廃墟の中で始まる殺戮と推理のデスマッチ!エブリスタ“最恐小説コミック原作大賞”竹書房賞、エイベックス・ピクチャーズ賞W受賞の怪作!
王允一派を粛清し戦後処理に追われる司馬懿たち。そんな折、孫堅が列侯に任じられ、それを知り激怒した袁術は…。歴史の常識を覆し、物語はどこへ行くのか!?
女子高生の南海は、VRMMOPRGの魔法職をやらないかと幼馴染みに誘われた。キャラメイクの自由度に惹かれ、南海は憧れの魔法ジジイキャラをつくりあげる。「ウォレス」と名乗りロールプレイを楽しもうとしたが、老魔法使いなのは見た目だけでステータスが弱いという事実を指摘され、半端な自分が許せなくなる。南海は実力をつけ振る舞いにもこだわり立派な魔法ジジイになろうと、独自路線で魔法職を究めて、-いつのまにか、未知のルートを進んでいた。
二度目の早駆け祭りがいよいよ始まる。オンハルトやランドルの参加で前回よりもさらに混戦模様のなか、ケンは連覇できるのか!?そして、なぜか初対面でケンを目の敵にする美人なエルフと遭遇。これが、まさか運命の出会い…!?さらにはシャムエル様うりふたつの謎のリスもどきが出現。そのまま始まったのはダンスバトル…!?祭りもその後も、やっぱりてんやわんやの第八巻!
「大魔女」と呼ばれている祖母ネリーと二人で暮らしているエリスは、森の奥の小さな家で幸せな日々を送っていた。しかしそんな生活も長くは続かず、ネリーに最期の日が刻々と近づいてきていた。悲しみに暮れるエリスに、ネリーは死に際に命がけの“祝福”を施した。ひとりぼっちになってしまったエリスは悲しみに暮れながらも、ネリーからもらった“祝福”を胸になんとか前を向こうとする。そんなある日、エリスの前に現れたのはある一匹のスライムだったー
藪の中で、一人の男の死体が見つかった。だが、関係者の証言はそれぞれ食い違い、果たして真相はどこにあるのだろうか。芥川龍之介の名作が、和のモチーフを独特な感性で描く大迫力の作品で人気を集めるイラストレーター・おくによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第40弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
陸奥は紀州藩で重用された父の失脚により所払いとなり、高野山の学僧から身を起こそうと、尊皇攘夷の嵐の中、洋学を志す。勝海舟の海軍塾に学び、坂本龍馬の海援隊へ。薩長連合を実現させた龍馬の許で、桂小五郎、後藤象二郎らに接近。若き日の伊藤博文、アーネスト・サトウらと心を通わせる。しかし維新後、陸奥は新政府内で苦境に立つ。時代の流れは、龍馬が構想した世界とは違う方向に進んでいる。薩摩で西郷が蜂起し、これを千載一遇の好機と捉えた陸奥は、身の破滅に向かって最初の一歩を踏み出した…。「日本外交の父」が辿った波瀾万丈の若き日々。幕末維新史を一新する「19世紀クロニクル」。
13歳のアニエスは作家として華々しくデビューするが、本当の作者は親友のファビエンヌ。小説を書くという二人の「遊び」は、周囲を巻き込み思わぬ方向にー。2023年度PEN/フォークナー賞受賞作。
不器用ながらもまっすぐな感情を貫いた先にあったものー。京都・伏見の酒蔵を舞台に、激情と愛情のはざまで、しゃにむに生きた若人の悲しく、せつない物語。