著者 : しのとうこ
翡翠牌の持ち主である皇族の末裔を追う中で、猫猫たちは禁書でありながら優れた医学書でもある『華佗の書』を手に入れた。傷んだその書が復元されるのを待つうち、医官たちは抜き打ち試験を受けさせられる。猫猫は試験に合格して養父である羅門の下で投薬実験を行うことになり、羅門から医術について学べることを喜ぶが、その実験は大掛かりであり、市井の病人たちを使うというものだった。薬が効かぬ者は、場所を移されて外科手術が行われるというのだがーーーーー。
中央に戻り、外廷の医務室勤務になって医官たちの仕事を手伝う猫猫。後輩もでき、新しい部署にも慣れていく。しかし猫猫たちが不在の間に、宮廷では妙な派閥争いが起きつつあった。正しき血統を維持しようとする皇太后派と、新しき流れを作ろうとする皇后派。安氏と玉葉の意思とは裏腹に、周りは次第にきな臭くなっていき、特に若い武官たちの間では、傷害沙汰が繰り返されていた。そんな中、猫猫は姚に頼まれて「名持ち」の一族の会合に参加することになるのだった。
「神隠し」の言い伝えが残る村の廃校で、幼い少年が行方不明になった。芹たちは、北御門の元門人・夕木薙子の紹介で調査を請け負う。訪れたのは、石仏が立ち並び子供の霊があちこちにいる異様な村。そこで対面した依頼人は、過去のある事件と関わる人物だった。手分けして少年を捜すが、皇臥と式神・珠は珍しくぎくしゃくした様子。珠は「奥方に預ける」と、複雑な心情を芹だけに話し始める。皇臥の祖父・享慈に造られた珠の話から、北御門の花嫁に隠された秘密の一端も明らかになりー。退魔お仕事嫁物語、緊迫の第八弾。
西都に残る人たちと別れ、一年ぶりに中央に帰ってきた猫猫たちは、また以前の仕事に戻る。蝗害、西都のお家騒動からようやく離れることができて、平穏な日々が戻ってくるかに思えたがーー。猫猫が帰って来てもまだその友人たちに居候されて困る羅半。上司のげんこつを食らいながら、毎日面白そうなものを探す天祐。面倒くさい客の相手をしながら、どのように技女を引退するか考える女華。弟の恋についてあれこれ画策する麻美。お嬢さまの心境に不安しかない燕燕。言動と心境にずれが生じ、ちぐはぐな行動ばかりしてしまう姚。蝗害の災禍にたった一人立ち向かい、生きて西都に戻った羅半兄。西都でも中央でもそれぞれ違う人生があり、皆が皆、自分なりの悩みを抱えて生きていた。
玉鶯は、蝗害は異民族のせいで起きたと憤る民を鎮める名目で、砂欧に戦争を仕掛けようとしていた。壬氏は戦を避けようと頭を悩ませていたが、玉鶯の暗殺という思わぬ形で戦を回避することになる。しかし、領主代行を失った西都の舵を取る者がいない。壬氏は、いやいやながら西都の政務を執ることになった。 猫猫は、心身ともに疲弊する壬氏を気遣いながら、怪我人や病人を診る日々を送っていた。そんなある日、壬氏は、領主代行だった玉鶯の息子たちを、西都のために後継者として政治を教え、育成してほしいと頼まれる。しかし、玉鶯の長男・鴟梟はどうしようもない無頼漢であった。他の二人も後継者教育を受けたことなどないことがわかり、猫猫は頭を抱えてしまうのだがーーーー。
“北御門”が呪詛で狙われた廃遊園地の一件を切り抜け、大学でも新年度を迎えるころーところが芹は、どうにも体調が優れない。その様子に呪いの兆候を感じた皇臥は、芹に北御門への呪詛が効かなかったのは、すでに彼女が別の呪いを受けていたからだという可能性に思い至る。皇臥は事態を重み見て、災いを受け流す役割を持った式神・青竜を呼び覚ますのだが…なんとその姿は、若い頃の皇臥そっくりで!?呪いも旦那も増殖中?受難の仮嫁とぼんくら旦那は、呪いの源に迫れるか!?
戌西州を襲った大蝗害。過去の蝗害を知る者は少なく、人々は混乱する。西都や国境近くでも、食糧の強奪や暴動が頻繁に起きていた。猫猫は何もできない自分を歯がゆく思いつつも、できる限りのことをやっていた。それは中央からの客人である壬氏も同様で、身の安全のためという名目の軟禁生活を強いられながらも、蝗害を予見していたことで、中央からの支援物資を早く受け取ることができた。だが、その手柄は壬氏ではなく西都の領主代行・玉鶯のものとして扱われてしまう。手柄の横取りに猫猫は腹を立てるが、当の壬氏はどこ吹く風で、皇弟という立場を最大限に利用して戌西州への支援要請を行うのだがーーーー。*本商品にはドラマCDは付いておりません。
無事に西都に到着した猫猫。環境は変化しても仕事は相変わらずで、薬屋として、また医官手伝いとして働いていた。どこに行っても呑気なやぶ医者に、何を考えているかわからない新人医官・天祐。猫猫は、壬氏の火傷が二人にばれないようにとひやひやしながら西都での日々を過ごしていた。 壬氏もまた皇弟として政務をこなす毎日だが、西都側は壬氏を名前だけの権力者として扱っていた。そんな中、猫猫は農村部を視察するために連れて来られた羅半兄とともに農村へ行くことに。視察するにあたって、かつての羅漢の部下・陸孫が動いていることに気付く。彼は、中央とは異なる農村部のやり方に疑問を持っていた。一方、かつて起こった大蝗害の生き残りの老人と出会うのだがーーーーー。
廃遊園地を訪れた芹たち一行は、突如として園の周りを不吉な圧力に囲まれ、何故か出られなくなってしまった。その現象の主と目される、黒ずくめのミステリ作家・鷹雄光弦曰く“北御門”を狙った呪詛であり、仮嫁とはいえ北御門の芹も呪いの対象になったためだという。そうと知れれば一家安寧のため、芹は園内を逃走する光弦との追いかけっこに挑む!一方で、急いで芹の元へと向かう皇臥には、光弦との因縁に心当たりがあって…?嫁のピンチに、ぼんくら旦那が駆けつける!退魔お仕事物語。
壬氏の一世一代の行動の結果、とんでもない秘密を共有することとなってしまった猫猫。折しも後宮は年末年始の休暇に入る時期。実家に帰りたくない姚は、猫猫の家に泊まりたいと言い出した。とはいえお嬢様を花街に連れていくわけにもいかず、姚と燕燕は紹介された羅半の家に泊まることになる。一方、口外できない怪我を負った壬氏のために、猫猫は秘密裏に壬氏のもとに通わなくてはならなかった。できる範囲で治療を施していくが、医官付き官女という曖昧な立場に悩まされる。壬氏が今後さらに怪我を負わないとも限らないが、医官にはなれない猫猫は医術を学ぶことはできない。そこで、羅門に医術の教えを乞おうと決めるのだがーー。
短期バイトを兼ね、笑と旅行に出かけた芹。立ち寄った伯母一家の食堂で、偶然『廃墟研究会』のメンバーと会う。彼らはミステリ作品の聖地巡礼で閉園した遊園地に行くらしい。すると笑も行きたいと言い出してーー?
毒で体調を崩した姚が医局勤めに戻れるようになった頃、猫猫のもとに大量の書物が届いた。送り主は、変人軍師こと羅漢。碁の教本を大量に作ったからと猫猫に送り付けてきたらしい。興味がないので売り飛ばそうと考える猫猫の考えとは裏腹に、羅漢の本によって、宮中では碁が流行していった。一方、壬氏はただでさえ忙しい身の上に加えて、砂欧の巫女の毒殺騒ぎや蝗害の報告も重なり、多忙を極めていた。そんな中、宮廷内で碁の大会が企画されていることを知った壬氏は、羅漢のもとに直接交渉をしかけに行く。開催場所を壬氏の名前で提供する代わりに、さぼっている仕事をこなすように説得するのだがー。
お得意様の紹介で出張祈祷に出かけた芹たち一行。帰りに急な天荒不良にあい、やむを得ず近くのオーベルジュに一泊することに。予定外の美味しい食事付き旅行と思いきや、その宿は今まさに降霊会を行うところでーー?
神から人々に与えられた能力『スキル』。その売り買いを可能とする、世界にひとつだけの特別なスキル『売買』で商売しながら旅を続ける青年、廃スキル回収屋ー通称「回収屋」。『不死』のスキルで得た不老不死に苦悩する女性、『演技』のスキルで芝居の面白さに目覚めた魔王、『透明化』のスキルで着ている衣服が透けてしまう女王ーと多くの客を訪ね歩いた回収屋は、久々に拠点の宿屋へ戻る。宿屋はギャンブルで連勝するスゴ腕ギャンブラーの美女に沸いていた。ギャンブルに負けた宿屋の女将が宿屋の権利を奪われたと知った回収屋は、権利を取り戻すためにギャンブルを挑むが…。「私のことはカイムロゼ、とでもお呼びください。チップは貴方の命です」ギャンブラーの正体は規格外のスキル『賭け』を所有する回収屋への刺客でー。“廃スキル回収屋”とスキルに悩める人々が織りなす不思議な物語、第二幕。
里樹妃との一件が片付いたのもつかの間、猫猫の元に高順が厄介ごとを持ってやってくる。どんな用事かと言えば、猫猫に女官試験を受けないかというものだった。猫猫は、半ば強制的に試験を受ける羽目になる。新しく医官専属の女官となった猫猫の前に現れるのは、面倒くさい変人軍師に厳しい上司の医官たち、それと同僚たる同じ女官たちだがーー。猫猫は同僚たちにお約束の通り嫌がらせを受ける。特に、女官の首領である姚(ヤオ)は猫猫に対して突っかかってくるのだった。
神に与えられた能力『スキル』を誰もが所有する世界。人々はスキルによりさまざまな恩恵を受けたが、なかには役立たずのスキルや、持ち主を不幸にするスキルもあった。そうした不要なスキルを買い取り、売ることができる世にも珍しいスキル『売買』で商売する青年がいた。行商人として世界を巡る青年は、彼を知る客からこう呼ばれている。-廃スキル回収屋。通称「回収屋」。どんなスキルも使い方次第で何かの役に立つ。客から不要なスキルを買い取り、それを欲しがる他の客に売り歩くのが回収屋の商売であった。“廃スキル回収屋”とスキルに悩める人々が織りなす不思議な物語。
ぼんくら陰陽師・北御門皇臥のプロ嫁として、今日も厳しい家計をやりくりする野崎芹。そんな中、本家の嫁のお披露目をしろと叔父の武人がやって来る。無骨な武人は、姑・史緒佳と相性がよろしくないようで、門前からバチバチと火花を散らして嫌みの応酬!いつもは敵の史緒佳だが、今回ばかりは一時休戦で、最強嫁姑タッグ成立か!?そして、本間先輩の持ってきたいわくつきの白無垢が北御門家にさらなる混乱を招きー?旦那使役スキルもますます上がる、退魔お仕事嫁物語、第三弾!
野崎芹は陰陽師・北御門皇臥と契約結婚をしている。彼の式神が視えたことで見初められ、生活上の利害の一致から決断したのだ。だが、かつての時代の公務員たる陰陽師一家の家計は厳しかった!それも皇臥が怪奇な事件が苦手なぼんくら陰陽師だったからで…。そこで芹はプロの嫁として、持ち前の機転と旦那使役スキルで依頼を解決。すると今度は姑から、結婚のお披露目を迫られる!さらに友人からは悪霊に憑かれたという相談事が舞い込んで…?前門の霊、後門の姑な退魔お仕事仮嫁語、待望の第二弾!
やむなき事情で住処をなくした野崎芹は、生活のために通りすがりの陰陽師(!?)北御門皇臥と契約結婚をした。ところが皇臥はかわいい亀や虎の式神を連れているものの、不思議な力は皆無のぼんくら陰陽師で……!?