著者 : はるおかりの
急死した烈国皇帝の葬儀に招かれざる客がやってきた。成国公主・史金麗ー先帝の後宮に入るはずだった美しき花嫁は顔も知らない婚約者の棺にすがりついて泣き崩れる。その様子を新帝・元世龍は疑わしげに見ていた。占いによれば金麗は「愛した男に天下をもたらす伝説の瑞兆天女」だという。側近は亡き父帝に代わって彼女を娶れと言うが、世龍は気が進まない。一方、金麗には世龍に嫁がなければならない「理由」があって…。
凱帝国皇帝・高勇烈は皇后・李宝麟を嫌っていた。不仲の皇太后の息がかかった后妃だからだ。一度も床を共にせず互いに顔も見ないよそよそしい関係に嫌気がさしていた宝麟は、気晴らしに氷嬉に興じていた時に宦官と知り合う。なぜか彼の前では自分を飾らずにいられる宝麟。だが、彼は実は同じく身をやつして気晴らしをしていた夫・勇烈だった。互いに正体を知らないまま惹かれ合う二人は…!?
冷遇されていた皇子、高垂峰は悲願の玉座にのぼった。しかし実際には太上皇の傀儡で、名ばかり皇帝に甘んじる日々。競って媚びを売る後宮の美女たちにも全く興味を持てずにいた。風変わりな妃嬪・危夕麗を知るまでは。吉祥文様を愛する生き生きとした勝気な瞳に、垂峰はなぜか目を奪われてしまう。哀しき亡霊たちが彷徨う絢爛豪華な宮中で、恋を信じられない二人はやがて互いに惹かれ合い!?
“聖女の箱庭”を意味する瑠弥麗火宮で園林の花々と共に隔離されて育てられた泥蝉王女、朶薇那。後の名を戻露珠は、凱の軍兵に襲われそうになった折、助けてくれた異国の皇子・高透雅のことを片時も忘れることはなかった…。紆余曲折の末、透雅の妻として迎えた初夜。二人の想いはすれ違ってー!?愛を信じることのできない透雅を、露珠は愛する花に想いを託し解きほぐしてゆくー。
幼い頃、母が皇族殺しという大罪を犯し、自身も母に斬りつけられたため、心身に深い傷を負った高秀麒は、崇成帝の皇子でありながら“ごくつぶしの六皇子”として日陰を生きてきた。そんな秀麒のもとに、皇太子の花嫁候補・念玉兎が花嫁になりたいと名乗り出てきた。秀麒に一目惚れしたというのが表向きの理由だったが、本当の理由は密かに関わっていた本の刊行の仕事を続けたかったためで!?この上なく本を愛する出版姫×人知れず物語を綴るごくつぶし皇子。中華後宮ミステリー!
三年前の春、帝の従弟で武人の高元炯は、紫の衣をひるがえして舞う後宮の宮妓・幽彩媚に一目惚れをした。以来彼女のことが忘れられずにいたが、恋愛に奥手な元炯は心の中で彼女を想うことしかできない。しかし蛮族の制圧で武勇を馳せた元炯は、褒美として皇帝から彩媚を下賜されることになり、二人は結婚することになる。元炯の初恋は実ったかに見えたが、実は彩媚は大の武人嫌いで…?
12人の妃を一度に娶った凱帝国の崇成帝・高遊宵は、すべての花嫁を出自に関係なく同じ位に拝命し、床を一緒にした者から順に位を上げていくと宣言した。そのため、花嫁たちは皇帝の気を惹こうと必死に競い始めるのだが、ただ一人、科学好きの令嬢・緋燕には全くその気が起きない。緋燕が後宮に入ったそもそもの理由、それは「貴重な科学の本が読めること」、そして「復讐」にあって…!?
凱帝国の三人いる公主のうち、今まで一度も縁談が来たことのない長女・鳳姫を見初めたのは、野蛮な国と名高い鬼淵国の若き王・神狼。周囲が同情を寄せるなか、鳳姫は父王の命令ならば従います、と覚悟を決めていた。というのも、鳳姫は母妃の不実によって生を受けたにもかかわらず、父王の慈悲により真公主として育てられた負い目があったから…。そんな鳳姫が見つけた、真実の愛とは!?
『後宮詞華伝』と同じ世界観!あれから…20年後の物語ー。都で腕利きの料理人として働いていた鈴霞は、ひょんなことから皇太子・圭鷹の正妃に迎えられることになってー!?しかし、圭鷹は妻を愛せない。それどころか、誰のことも…。君王となるために周囲から心を閉ざし、自ら育てた奈落芋だけを口にしている“偏食”皇太子を前に鈴霞は!?始まりは、偽りだらけの政略結婚だった…。身代わり花嫁の美味なる食譜が謎を解く、中華後宮恋物語。
継母から冷遇され笑顔を失った淑葉の慰めは、亡き母に教えられた書法に親しむこと。しかし、その能書の才さえも継母によって奪われてしまう…。そんな絶望の淵に沈む淑葉の元へ突然、皇兄・夕遼との政略結婚の命が下る。しかし、真に望まれていたのは淑葉の妹・香蝶ということが分かり!?すれ違う二人を繋ぎ、想いを伝えるのは、笑わぬ花嫁の筆ひとつ…!婚儀から始まる中華麗麗恋物語。
十七歳で宮廷に上がり、皇太子ヨハンと出会うその日まで…と、黄昏城に隠されているヴォーツェン帝国三大公爵家の一つメヴィラーデ家の令嬢ユティーリア。ところが、忍び込んできた宿敵シュナーツェル家の放蕩息子フェルジオと運命の出会いを果たして!?この人を愛してはならない…と思えば思うほど、互いに激しく惹かれあう禁じられた恋。はるおかりの禁断の花嫁三部作、第二弾!
カナリア色の髪を隠すように…黒のベールを身に着けた修道女ソフィカ。神の花嫁として一生を修道院で過ごすーはずが、リダーノフ大公女エミーネの身代わりとして、皇弟ルヴァートの婚約者のふりをするよう命じられて!?身代わりは無事成功し、しかもルヴァートは婚約者に首ったけ!!甘やかな蜜月に花ひらく、身分差を越えためくるめく恋模様。はるおかりの禁断の花嫁三部作、第一弾!
九年前、和平の証として敵国に嫁いだオリアローズ。その時、彼女はたった七歳で、夫となるのは十一も年上の男だった。政略結婚ではあるものの、夫を兄のように慕ってきた。だが最近、悩みがある。大人になったというのに、まだ一度も夫と結ばれたことがないのだ…(表題作)。他、運命に立ち向かう王女から、仕事に誇りを持って働く少女までー輝く主人公たちのハッピーエンドロマンス。
峻国で女官をしている鹿蓮姫。彼女は居心地の良い後宮で、日々、物語を書くなどして気ままに暮らしていた。そんなある日、物語を書いているところに、異国の青年が現れる。星流と名乗る金髪の青年は、訝しむ蓮姫をよそに、峻の文化についてあれこれと尋ねてくるように。後に、彼は水章国という小国の王子だと知るが、彼の故郷を想う気持ちに心を打たれ、蓮姫は強く惹かれるようになり…。
呪われた出生のため、不遇な公子時代を過ごした理鷲。その後、冷酷な王となり、後宮のどんな女にも心を許さずにいた。その理鷲が、政略結婚で花嫁を迎えることになる。相手は、“月宮の天媛”と賞されるほどの美姫・桜霞。婚礼後も頑なな態度を崩さずにいた理鷲も、桜霞の風変わりな性格に触れるうち、次第に惹かれるように…。だが、後宮の罠が次々と桜霞を襲い!?2010年度ロマン大賞受賞作。