著者 : ゆうきみすず
カンカン照りのヨコハマ丘の上、聖マリア女学院のミキたち3人組は、とんだ災難にみまわれていた。チャーリーというヘンテコ外人に弱みを握られ、かくまってやることに。ところが、そのことを知ったBFのゆーさんが、珍しくあわてている。「チャーリーは、世界を破滅させる薬を完成させたんだ」だって。女子高生に冷し中華を8杯もたかる男が、まさか?ギリシアの神殿に満月がのぼるとき、夏休みのハードボイルドが、はじまるのだ!
さわやか5月の21日は、私、ミキの通う、ヨコハマ丘の上、聖マリア女学院の創立記念日。年に1度の栄えあるお芝居の主役に、ノーテンキお嬢のメグが選ばれたから、さあたいへん!おまけに相手役が、教育実習生のイイ男・龍造寺先生とくれば、みんな黙っちゃいない。よしのと私は、お芝居つぶしの隠謀からメグを守る、損な役まわり。トホホ…。しかも、ドサクサにまぎれて、学園の秘宝を狙う悪い奴も現われるし。楽屋裏は、大混乱!
「ミキ、わたしはあなたが気に入りました」そのとき、ヨコハマ丘の上、聖マリア女学院の平凡娘こと、私、ミキはビビってしまった。目の前で熱っぽいなまざしを向けているのが,大好きなゆーさんだったから…じゃなくて、高貴すぎて美しすぎる転校生、マーナ王女だったから。いくら私でも、王子にはなれないもん。だけど、マーナはとってもいい人。誘拐だの暗殺だの企んでいるのは、どこのどいつだ!ゆーさん、とめないで、私、マーナを守る!
薄命館-なんて素敵な響き。ミキも憧れてた、女優南百合香が、短いその生涯を送った洋館は、ヨコハマの丘の上、わが聖マリア女学院のお隣さん。それなのに!薄命館は悪徳不動産屋の手にわたり、な、なんとギンギラのラブホテルになっちゃうなんて!怒り爆発で乗り込んだ私たちを待ち受けていたのは、美女のユーレイ。まさか百合香が?大好きな薄命館を守りたい気持ちは、おんなじ。よーし、ユーレイに、味方する。