著者 : 三月みどり
卒業式前日。 レナは深夜になっても眠れずにいた。 高校最後の一年はとても楽しかった。 ライバルがいて、大切な出会いもあった。 でも、ハリウッド女優を目指しアメリカに行くことを決めた。 夢を叶えに行くことに迷いはないけれど、不安はあった。 そんなレナの背中を押すため、彼女の母・ライカは昔話を始めた。 ライカとユクエの恋は波乱万丈で、たくさんの困難に直面し、二人とも一度はどうしようもない理由で夢を諦めた、と。 でもーー。 「いつだって、何個だって夢を抱けるから、安心して全力で叶えようとしなさい!」 「うん、行ってきます!」 これは大好きを諦めなかった二人の物語。
小学生の頃、引っ込み思案でなかなか友達ができなかった。 でも、そんな私の手を取ってくれたヒーローがいた。 胡桃知英。 公園で私に声をかけてくれて、それからずっと仲のいい親友だ。 彼女はダークヒーローの映画が好きで、よく二人で一緒に観た。 そんな楽しい日々がずっと続くと思ってたけど、中学二年のある日を境にクラス の中心の子に目の敵にされてしまい……。 今度は私が知英ちゃんを助けたいけど……。 そうだ、ダークヒーローを演じてみよう! 翔と同じように人間関係に悩み学校に行けなかったレナが、なぜ演技の魅力に気づいたのか? 役者を目指すきっかけを描く前日譚!
夢ってどうやったら叶えられるんだろう。才能がなければ、ダメ? 高校最後の一年は特別だった。桐谷くんと、たくさん遊んで、たくさん笑って。なによりハリウッド女優になるという私の夢も、彼は応援してくれて、アメリカに行くって決断もできた。だから、絶対に叶えてみせると思ってこっちに来たんだけどーー。 たまたま出会ったヴィクトリアは一流のハリウッド女優で、その演技に目を奪われてしまった。「本物」はやっぱり遠いな……。絶対に追いついてやると思ってはいるけど、やっぱ簡単じゃないや……。 でも、私は絶対に諦めないよ! 桐谷くん、君はどうしてるかな?
ずっと劣等感を抱いていた。 勉強や運動はもちろん、料理や裁縫もいまいちで得意だと言えるものは何もなかったし、友達を作るのも苦手。 しかも、弟は俺と違って何でもできる優等生だ。 なんでもいいから人より上手くできて、誰からでもいいから特別だと認められたかった。 「俺の生きてる意味ってなんだよ! 誰か教えてくれよ」 それでもキミと一緒に見たあの日の花火は俺に『特別』を教えてくれた。 だから挑戦してみるよ、また一緒に花火を見たいから。 あの夏の体験は現実だったのかーー。 これは『特別』になることを諦めていた少年が大切なものを見つける不思議な夏の物語。
あたし、綾瀬咲は真面目だった。 小さい頃からママの言うことをきちんと聞いて、練習も一生懸命にして、みんなが演技を褒めてくれた。 勉強も頑張って、誰もが認める“優等生”になることができた。 あたしはもっともっと上手くなって大人になったら大女優になるの! そんな夢も絶対に叶うと思っていた。 でも、“優等生”な演技で面白みに欠けると言われ、子役としての仕事は段々と少なくなっていった。 ファンレターを励みに諦めずに努力を続けていたけどーー。 七瀬レナの演技を見て分かってしまった。あぁ、これが“天才”なんだって。 悩めるエリートがもう一度前を向くための青春が始まる!
「旅は一人に限る」が信条の高校生、月島海人。好きな時間に好きな場所へー効率よく計画通りに進められる魅力に惹かれ、バイト代を貯めては全国を一人旅していた。しかし父の再婚で義妹ができたことで、計画通りに行かない毎日が始まる。北海道から来た連れ子の美少女・冬凪栞は同い年の若女将。仕事をするうちに「旅」に憧れた彼女は、海人の旅行についていきたいと言うのだ。当然それを拒否する海人だが、栞の心中を知り仕方なく了承。代わりに、二人でそれぞれ一人旅をする「二人一人旅」ということにして、日帰り旅行から始めるがー。旅を通して、お互いを知っていく。心温まる二人の物語、出発です。
もしもあのとき、間違えなかったらどうなっていたのだろう……? 中学時代の「告白」をきっかけに親友と幼馴染とすれ違い、クラスでも居場所を失い、プロを目指し頑張っていたサッカーもやめてしまった。 結局、高校に入学してからも登校せず家でゲームばかりして過ごしていた。 だけど二か月ほど経ったある日、ついに教師が自宅にやってきてしまい……。 桐谷翔と名乗ったその先生は、この星蘭高校の卒業生らしい。しかも、俺と同じように学校に行かなかった時期があったらしい。でも、自分らしくいる大切さを気づかせてくれた人と出会えて変わったらしい。俺にもできるのだろうか……?
単位さえ落とさなきゃいいや、学校に行くのは最低限でも。でもまあ、無難に勉強はして、普通に大学にも行って、なんとなくサラリーマンとかになって…。家に籠ってゴロゴロしながら、そんなありきたりな未来を思い描いていた。でも高校最後のあの春に、破天荒で天真爛漫で、そして誰よりも夢に向かって真っすぐなキミに出会い、染められてしまったんだ。正反対のはずだった二人が出会い惹かれ合う。恋と夢の実現という天秤で揺れる、二人の選択はー。本当の自分自身と向き合い、うわべだらけの昨日にサヨナラを宣言し、青い春に狂い咲け!
桜宮雫さんは、学内一番人気の同級生。完璧で、美しく、そしてなぜか猫っぽい。一方の僕・根津紡は、チワワに吠えられただけでも逃げ出してしまうビビりな男子高校生。周囲からはチューくんって呼ばれてる。そんな相性の悪い桜宮さんと僕だったが、お互いの親友同士の恋を叶える作戦のため協力関係を結ぶことに。でもちょっと待って桜宮さん、なんで僕の匂いを嗅いでるの!?「あなたのことを押し倒しますが、よろしいですか?」って!?桜宮さんに振り回されるうちに、いつの間にか猫と鼠は少しずつ仲良くなっていってー捕食者に目を付けられながらも少しずつ心惹かれていく、天敵関係な二人のラブコメ、開幕!
「はぁはぁ、優吾くぅん。ぐふふ、優吾くんの匂いってすご〜い」「どうしたんだ、天真?」「え!?ど、どうして優吾くんが…」「天真こそなんで俺の部屋にいるんだ?」「そ、それは…それより、アテナちゃんのおうちってとっても広いんだね!」「あ、ああ…そうだな。まさか俺より先回りして夏休みの予定で天真たちを家に招くとは。どんだけ俺の邪魔をしたいんだよ」「お風呂は広いし、トランプでアテナちゃん考案のゲームをしたり、とっても楽しいよね」「ああ。それに月宮姉妹の母・ディアナさんまで現れて…ほんと告白できるんだろうか。あのさ、それより天真、おまえ一体ここで何をして…」
「わたくしは星羅(せいら)ルナ。月宮(つきみや)アテナの友人でラブコメの神様ですわ。桐島(きりしま)さん、あなたはアテナが惚れた男性だとか」 「俺は天真(てんしん)って女の子が好きなんだ。でも、何度も告白しても月宮が無茶苦茶な方法で邪魔してくる。星羅、俺の告白の手伝いをしてくれないか? お前じゃないとダメなんだ!」 「っ! わ、わたくしでないと……わかりました。桐島さんの恋を叶えてみせますわ!」 「えーと、その、頼んでおいてなんだが、本当に良いの?」 「わたくしがアテナに告白の邪魔をさせないようにすれば良いのですね? お任せくださいですわ!」 「そ、そうか。じゃあよろしく頼むな。見とけよ月宮ーー今度こそ絶対に天真に俺の想いを伝えてやるからな!」
「優吾よ、そんなに天真陽毬が好きなのか?」「あぁ。俺は天真が好きだ」「ど、どうして我のことをす、好きになってくれないのだ。我はこんなにも美しくて胸も大きいというのに。我は優吾のことが好きだ!だからわ、我と付き合ってください!」「すまん月宮。俺はお前とは付き合えない」「そんな!?我じゃダメなのか?お前の想いは絶対に天真には届かないぞ。何故なら、我がラブコメの神様でこの力で優吾の告白を邪魔し続けるからだ!」「お前はそんなに俺の恋を邪魔したいのか?」「うん」「即答!?」「だ、だって…わ、我は、優吾のことが好きなんだもん!だ、だから、優吾は早くあの女を諦めて、わ、わわ、我を好きになってください!」第14回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作。