著者 : 三秋縋
メディアワークス文庫創刊15周年を記念して、レーベルが誇るレジェンド&人気作家15名が大集結! 「1人15ページ」というルールで紡がれていく、15編の物語。 図書室で見つけたのは、異なる時が流れる魔法の小部屋?(「余白の隠れ家」)。ある日届いたメールは二十年後の自分から?(「前略 十五の僕へ」)。中一の夏、病院で出会った彼女が突然失踪した理由とは?(「星空に叫ぶラブソング」)など、15ページとは思えない超濃密な展開に没頭すること間違いなし。 トキメキ、切なさ、衝撃、ワクワクーー全てを詰め込んだ15編を収録。いつでも、どこから読んでも楽しめる! 今をときめく人気作家があなたに贈る、15ページの物語。 【参加作家一覧】 三秋 縋/佐野徹夜/松村涼哉/斜線堂有紀/一条 岬/綾崎 隼/村瀬 健/こがらし輪音/青海野 灰/古宮九時/遠野海人/天沢夏月/入間人間/時雨沢恵一/高畑京一郎 されど世界の終わり 三秋 縋 わたしたちの教室 佐野徹夜 息継ぎもできない夜に 松村涼哉 じゅうごしゅうねん、おめでとう 斜線堂有紀 穴があったら入りたい 一条 岬 十五年後もお互い独身だったら結婚しようねと約束した二人の物語 綾崎 隼 いざ、さらば 村瀬 健 超能力者じゃなくたって こがらし輪音 星空に叫ぶラブソング 青海野 灰 余白の隠れ家 古宮九時 初恋灯籠 遠野海人 世界が十五になる前に。 天沢夏月 見花 入間人間 前略 十五の僕へ 時雨沢恵一 朝の読書だnyan 高畑京一郎
何から何までまともではなくて、 しかし、紛れもなくそれは恋だった。 「ねえ、高坂さんは、こんな風に考えたことはない? 自分はこのまま、誰と愛し合うこともなく死んでいくんじゃないか。自分が死んだとき、涙を流してくれる人間は一人もいないんじゃないか」 失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。一見何もかもが噛み合わない二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。 しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことをーー。
もう一度、あの恋に賭けてみようと思った。 二ヶ月連続、上下巻構成で贈る三秋縋の完全新作。 ずっと、思っていた。この醜い痣さえなければ、初鹿野唯の心を射止めることができるかもしれないのに、と。「電話の女」の持ちかけた賭けに乗ったことで、僕の顔の痣は消えた。理想の姿を手に入れた僕は、その夜初鹿野と再会を果たす。しかし皮肉なことに、三年ぶりに再会した彼女の顔には、昨日までの僕と瓜二つの醜い痣があった。 初鹿野は痣の消えた僕を妬み、自宅に閉じこもる。途方に暮れる僕に、電話の女は言う。このまま初鹿野の心を動かせなければ賭けは僕の負けとなり、そのとき僕は『人魚姫』と同じ結末を辿ることになるのだ、と。
公衆電話の受話器を取ってしまったその瞬間、不思議な夏が始まる。 上下巻で二ヶ月連続刊行。 「賭けをしませんか?」と受話器の向こうの女は言った。 「十二歳の夏、あなたは初鹿野さんに恋をしました。しかし、当時のあなたにとって、彼女はあまりに遠い存在でした。『自分には、彼女に恋をする資格はない』。そう考えることで、あなたは初鹿野さんへの想いを抑えつけていたのです。……ですが、同時にこうも考えていました。『この痣さえなければ、ひょっとしたら』と。では、実際に痣を消してみましょう。その結果、初鹿野さんの心を射止めることができれば、賭けはあなたの勝ちです。初鹿野さんの気持ちに変化が起きなければ、賭けは私の勝ちです」
「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか?」 何もかもに見捨てられて一人きりになった二十二歳の秋、僕は殺人犯になってしまったーーはずだった。 僕に殺された少女は、死の瞬間を“先送り”することによって十日間の猶予を得た。彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。 「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」 復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠された真実に近付いていく。それは哀しくも温かい日々の記憶。そしてあの日の「さよなら」。
どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。 未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるが、何をやっても裏目に出る。空回りし続ける俺を醒めた目で見つめる、「監視員」のミヤギ。彼女の為に生きることこそが一番の幸せなのだと気付く頃には、俺の寿命は二か月を切っていた。 ウェブで大人気のエピソードがついに文庫化。 (原題:『寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。』)